三井 俊賢 院長、藤井 明子 先生の独自取材記事
さくらキッズくりにっく
(世田谷区/桜新町駅)
最終更新日:2024/09/11

桜新町駅西口から徒歩約1分。大通り沿いのビル2階にある「さくらキッズくりにっく」。首都圏に複数の小児医療拠点を展開する「医療法人社団育心会」を立ち上げた三井俊賢先生が院長を務め、小児神経の専門家として同法人の児童発達部門も統括する藤井明子先生らが診療に加わる。風邪といった感染症やアレルギー疾患などを診察する小児科診療、予防接種・健康診査と並行し、発達障害に特化した診療にも対応。また、病児保育室と児童発達支援室を併設し、朝8時半から診療、24時間ウェブ予約も受けつけるなど、共働きの親たちが利用しやすいサービスも提供する。診療の核を担う三井院長と藤井先生に、同院の特徴や診療内容を中心に詳しく話を聞いた。
(取材日2024年7月13日)
小児診療、病児保育、発達支援の3本柱で小児を支える
まずはクリニックの成り立ちと特徴を教えてください。

【三井院長】川崎市にある「ミューザ川崎こどもクリニック」の分院として、2019年1月に開院しました。法人の理事長として複数の小児科クリニックの運営、診療にあたる中で、子どもたちの心身ともに健康であるウェルビーイングを支える取り組みが不足している国内状況を痛感。なんとかしなければとの思いで立ち上げたクリニックです。一般小児診療に加え、児童精神発達の専門診療も提供。多職種が関わる児童発達支援室と、働くパパママを支える病児保育室を併設しているのが特徴です。
【藤井先生】開院以来、院長として幅広い診療に対応してきました。今回、当院同様に児童発達支援に力を入れる「どんぐり発達クリニック」が法人に加わったことをきっかけに、そちらの院長を拝命。法人内の児童発達部門も統括する立場となりました。隔週土曜と月曜に限られますが、こちらでの診療も続けています。
それぞれのご専門について教えていただけますか?
【三井院長】内分泌・成長が専門ですが、小児科の医師はゼネラリストであるべきというのが私の考えです。社会情勢や時代とともに変化する、患者さんのニーズに幅広く応えていくべきだと思っています。不登校が珍しくないなど、心と発達の問題を抱えたお子さんたちが増えていることから、当院を含め、当法人では専門を問わず、すべての医師が精神発達分野の診療にも対応できる体制をめざしています。
【藤井先生】小児神経を専門に、東京女子医科大学病院や長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センターなどで研鑽を積んできました。長年発達の遅れやアンバランスが気になるお子さんを診てきた経験から、それぞれの子どもとそのご家族が、前向きな一歩を踏み出せるアドバイスをできればと考えています。
病児保育室の併設も、時代のニーズに応えるためということでしょうか。

【三井院長】はい。核家族化や情報化が進む現代社会で、困難を抱えながら子育てをしている親御さんを支えたいとの思いからです。このエリアは共働きの親御さんが多いようで、病児保育室へのニーズが高いと感じています。お子さんを預けてからの出社も可能なよう、平日朝8時半から診療するなど、利用しやすい体制を取っています。
【藤井先生】私自身、3人の子を働きながら育ててきた中で、病児保育室にはとても助けられました。当院は、診療部門と病児保育室が同フロアで隣接しており、お子さんの体調に変化があればすぐに医師の診療を受けられます。インフルエンザなどの感染症には隔離室での対応が可能ですし、安心してご利用いただけるのではないかと思います。
病気だけでなく子どものすべてを診るゲートキーパーに
発達支援に特化した診療について詳しく教えてください。

【三井院長】風邪などで受診されたお子さんでも、詳しく話を聞くと集団生活になじめず学校に行けていないなど、問題を抱えているケースがよくあります。自閉スペクトラム症や注意欠陥・多動性障害といった発達障害の可能性を持ちながら、適切な医療に結びついていない子がたくさんいるのです。当院では、小児医療のゲートキーパーとして、気がかりのあるお子さんのファーストタッチを受け持ち、適切な医療へと結ぶ役割を果たしていきたいと考えています。
【藤井先生】発達障害は診断をつけて治療するといった類のものではありません。何らかの特性があっても、本人が生活上の問題を感じていなければ、診断は不要なのです。しかし、特性により社会との折り合いが悪く、二次障害的な問題がある場合、折り合いをつけるために何ができるのかを考えていく必要があります。ご家族と一緒に何ができるか、何をすべきかを考えるのが私たちの役割だと考えています。
児童発達支援室ではどのような支援が受けられるのですか?
【三井院長】発達障害の診断有無にかかわらず、遅れが気になるお子さんに対し、興味に合わせた社会性を促すトレーニングや言語聴覚士による言語訓練などを提供しています。3歳からの言葉の遅れに対する早期療育や個別療育、ソーシャルスキルを促すグループ療育などに対応しています。臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングは、子ども本人だけでなく、親子や親のみを対象としたものも対応可能です。
【藤井先生】加えて、より専門的な診療や検査、リハビリテーションが必要な場合には千歳烏山の「どんぐり発達クリニック」との連携も可能です。
さまざまな役割を担っているクリニックなのですね。

【藤井先生】病気だけでなく、お子さんのすべてを診るクリニックでありたいと思っています。私自身3児の母ですし、子育てを経験したスタッフも多数在籍しているので、日々の子育ての悩みなども気軽にご相談いただきたいですね。
【三井院長】近年増加傾向にあるアレルギー疾患では、指先からの採血で即日結果がわかる低侵襲検査や、根本に迫る舌下免疫療法もご提案しています。また、夜尿症や思春期早発症の診療にも対応しています。女児の場合月経が始まると治療が難しくなるので、できるだけ早期にご相談いただき、一緒に成長を見守っていければと思います。
社会ニーズに応える医療でウェルビーイングをサポート
さまざまな院内イベントも開催されているそうですね。

【三井院長】「キッズドクター体験」は、失われた体験の場を提供するため、コロナ禍でも感染症対策を講じながら継続してきた大切なイベントです。ここから未来のドクターが誕生することを楽しみにしています。また、専門家からの役立つ情報を提供しながら、孤立しがちな子育て中の親御さん同士をつなぐ場として、サロンも開催しています。
【藤井先生】病院に行くほどではない、ちょっとした悩みを話せる場所、いつも頑張っているママさんたちがちょっと息を抜ける場所を今後も提供できると良いですね。
ところで、先生方が小児科の医師をめざされたきっかけは?
【三井院長】成長因子が関わる医療を実践できるのは、産科と小児科に限られます。治療に加えて成長という要素がある小児科医療に特別な面白さを感じました。実際、子どもたちの成長を見守るやりがいは大きく、小さな頃から診ている子が成長してさまざまに活躍している姿を見るのはうれしいものです。
【藤井先生】人と接するのが大好きで、また直接感謝してもらえるところに魅力を感じて医師をめざしました。終末期医療について書かれたノンフィクションを中学生の頃に読んで感銘を受けたのもきっかけです。医学生時代に教会の日曜学校で先生をしており、子どもと接することの楽しさに目覚めました。その時担当していたお子さんが亡くなり、「親よりも子どもが先に死ぬこともある」という現実にショックを受けたことも小児科を選んだきっかけかもしれません。お子さんの全身を診られ、診察を通して本人とご家族の人生に関われる点にやりがいを感じています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【三井院長】今後も、社会と時代のニーズに応える小児医療で、子どもたちとご家族の心身のウェルビーイングを支えていきたいと考えています。まずは当院と法人内クリニックでの児童発達支援を充実させ、拡大していきたいと思います。
【藤井先生】日々の診療を通して実感するのは、子どもたちには成長する力が備わっているということ。その子の生きる力を信じ、そっと見守ることで前に踏み出せるというケースも多く目にしてきました。今後も心身の両側面に寄り添いケアしていきたいと思っていますので、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは健康診断/1ヵ月:4000円、1歳:3500円、5歳:3500円(世田谷区の助成利用可能)