高田 幸太郎 院長の独自取材記事
イーライズ こども歯科・矯正クリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2023/03/31
小田急線などが通る藤沢駅周辺は子育てにも便利な地域。そんな藤沢駅から徒歩約5分の好立地で、小児の一般歯科と矯正を専門にするのが「イーライズ こども歯科・矯正クリニック」だ。虫歯や歯並びが悪くなる原因をつくらないよう「予防」「育成」を重視。虫歯や歯並びが悪くなる原因は、歯が生える前からの習慣などが原因のこともあるという。高田幸太郎院長は「お子さんの口の中や食事のことで疑問や悩みをお持ちなら、お気軽にご相談ください」と優しい笑顔を見せる。そんな院長に同院の予防と育成の考え方などを聞いた。
(取材日2023年2月9日)
「予防」と「育成」を軸に、乳幼児期の口腔発達を支援
「予防」と「育成」を重視しているとか。
一般的な小児の歯科医療は、虫歯や歯列・咬合の不正など悪くなった部分に対処するのが中心でした。これに対し、小児歯科と小児矯正を専門とする当院では、悪くなる傾向やそうなる原因を早めに見つけ、お子さんが小さいうちに修正していくことを重視しています。その方法が「予防」と「育成」。予防は食事の改善などで虫歯リスクを減らし、歯磨きやフッ素の利用で防御をしていくこと。育成では歯並びや噛み合わせの悪化を防ぐため、顎の発達などに関わる口腔機能の育成を行います。口呼吸や姿勢の悪さも歯並び・噛み合わせの悪化につながると考えられるため、全身を診ることも大切です。このため当院では食事や食べ方に関する「食育」、口呼吸を防ぐ「息育(そくいく)」、姿勢を正しく保つ「足育(そくいく)」をテーマにしています。
悪くなる傾向として、どのような例がありますか?
従来は幼稚園・保育園、小学校などに行く頃に「歯科検診で再検査になった」「生え変わり後の歯並びが気になる」などと受診されるケースがほとんどでした。しかし悪くなる傾向はその前からあり、例えば乳歯が生えそろう3歳くらいで、すでに歯並びや噛み合わせがずれていることも考えられます。特に乳歯の段階で隙間なく生えていると、生え替わった後の永久歯が並ぶスペースがないので要注意です。一見きれいな歯並びのようでも、実は顎の発達が遅れている可能性もあるのです。原因としては口腔機能の未発達が考えられ、発達を促すには舌をよく動かしたりしっかり噛んだりすることが大切。やわらかいものばかり食べないよう家庭で注意していただくほか、6歳以上のお子さんなら口腔筋機能の発達を促すことを目的とした、MFTという訓練も加えていただくようお話しします。
食事の悩みも相談できるそうですが?
口腔機能を育てるための食事内容や食べ方を「食育」と位置づけ、管理栄養士が親御さん方の相談に無料で対応しています。わが家にも小さい子がおり、突然ご飯を食べなくなるなど子どもと食の悩みは尽きませんが、皆さんもいろいろ苦労されていると思います。ただ、ご家庭の食習慣や日常の行動を見直すとそうなる原因がわかり、どう対処すべきかアドバイスできることもあります。例えば、ご飯を食べないのはパリパリした食感を好む時期に入ったためで、外側をパリッとした食感のもので包むなどの工夫で食べるようになる、といったことも。当院には管理栄養士が2人常勤しており、定期的にお子さんの食生活へのチェックと個別指導を行っています。ご自宅での食事風景を撮影した動画を共有いただき、歯科医師と管理栄養士でカンファレンス。食事の内容はもちろん、環境や姿勢などを含めた指導を行います。
管理栄養士、理学療法士ら専門家の視点から個別指導
改めて「食育」の重要性を教えてください。
きちんと食べることは体の栄養になり、舌や顎をたくさん動かすことで口腔機能の発達を助け、顎の発達を促して歯並びを整える下地をつくることにつながります。そのためには、発達に合わせて次第に硬いものを食べてもらうなど、いつ何をどのように食べてもらうかが大切。お母さん方は歯ブラシできちんと磨けているかを気にされますが、お子さんが何をどう食べているかが虫歯の原因となることも。間食や軟食をなるべく避け、食事の時間にしっかりと歯ごたえのあるものを食べていると、自浄作用が働きやすく口の中に汚れが残りにくくなるメリットもあります。その上で適切な歯磨きを行えば、虫歯になりにくい口腔環境を保つことをめざせます。
「息育」や「足育」はどのような点が大事なのですか?
口呼吸を続けていると口腔内や喉の奥が乾燥し、細菌やウイルスなどに感染しやすくなるため全身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。きちんと鼻で呼吸するには、口を閉じていられるよう口腔筋機能を高めることが大切という意味で「息育」をキーワードとしています。また歯並びには口呼吸、座り方・歩き方をはじめとした日頃の姿勢も関連していると考えており、正しい立ち姿・歩き方は足元からという意味で「足育」もキーワードにしています。当院では、お子さんの姿勢や体のバランスをチェックするなどします。もちろん「食育」「息育」「足育」はご家庭でも注意していただく必要があるため、当院とスムーズにやりとりができる専用アプリも導入しています。
理学療法士さんも診療に関わるとか。
お口の成長を診ることは人としての成長をチェックすることと位置づけた医療を展開する中で、口周りだけでなく全身へアプローチを広げる必要性を実感しました。お口に主訴を持って来院されたお子さんでも、お口の中だけを見ていては十分ではありません。トラブルの多くは全身のバランスに起因しており、むしろ全身を変えないと口周りは変わらないし、口周りのみを治療しても全身がそのままではいずれ後戻りしてしまうことに気づいたのです。そこで昨年から理学療法士をチームに迎え、個々に合わせたストレッチや体操、運動プログラムの指導を展開しています。育児書やインターネットには月齢に合わせた発達の目安が示されていますが、7ヵ月で歩く子もいれば1歳過ぎてもハイハイの子も。個性に合わせた個別指導が必要だと思っています。
ライフコースアプローチで子どもたちにより良い未来を
小児期の矯正ではどんな特色がありますか?
お子さんの年齢や状態に合わせて、顎の発達や口腔機能の育成をサポートしたり、歯並びを整えるための矯正を行ったりしています。例えば顎の発達が必要なお子さんには、専用の器具を用いて下顎の成長を促し、口腔機能が不足していると考えられる場合には、舌を正しい位置に安定させるため、筋機能の改善を主目的とした器具を使用します。さらに歯並びを整えるにはワイヤーによる矯正が一般的でしたが、当院では透明なマウスピース型装置による矯正も行っています。ワイヤー矯正は歯並びを整える目的では使いやすいですが、ワイヤーに唇が引っかかりやすく口唇部の筋肉の動きを妨げる恐れがあり、口腔機能の一部が未発達になることも考えられるからです。一方でマウスピース型の装置は非常に薄く、唇の動きを妨げにくいと考えています。
予防や育成に興味を持たれたきっかけは?
私の父が40年以上前から取り組んできたことなのです。父は北海道で小児歯科専門のクリニックを営み、多くのお子さんの口腔内を診ているうちに、歯並びや噛み合わせと日常生活での姿勢や習慣の関連に気づいて、「食育」「息育」「足育」を重視するようになりました。そうした考えを関東地区の皆さんにも知っていただこうと当院を開院しました。藤沢市を選んだのは子育て支援に力を入れており、子育て世代が増えていることなどが理由。江の島や鎌倉など自然や文化が豊かな場所も近いので、私もここで毎日子育てに励んでいるところです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
乳幼児の口腔発達を支援する場を提供したいと考えています。歯や歯並びはもちろん、言葉や発音、咀嚼、嚥下、偏食、歩行など、幅広い相談に歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士、言語聴覚士と専門家の力でトータルに応えられればと思います。現在も定期的に特定のテーマを据えた交流会を開いていますが、さらなる充実をめざします。また、在宅酸素の子らへの在宅診療も計画。地域でのハブとしてネットワークを広げていきたいですね。お子さんに「将来は歯列矯正を受けさせたい」と来院される親御さんも多いのですが、これはがんになる前に「がん手術を受けさせたい」と言っているようなもの。今できることを知り、実践すれば、未然に防ぐこともめざせます。高齢者医療も大切ですが、当院ではライフコースアプローチの視点から、お子さんのより良い未来をサポートしています。乳幼児期のチャンスを逃さずご相談いただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは・トレーナー 3万円
・レジンキャップ 5万円~
・チンキャップ 10万円
・マウスピース型装置を用いた矯正(1期) 45万円~
・マウスピース型装置を用いた矯正(2期) 50万円~
・部分矯正 15万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。