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菊岡 良考 院長の独自取材記事

川崎ライフケアクリニック

(川崎市幸区/川崎駅)

最終更新日:2020/04/01

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自分の生まれ育った地域に恩返しがしたい。「川崎ライフケアクリニック」の院長、菊岡良考先生はそんな思いを胸に、在宅医療を中心に行うクリニックを川崎駅近くに2014年に開設した。菊岡院長が掲げるテーマは「患者さんとご家族から頼りにされるクリニック」。患者のもとに「とにかく足を運ぶ」ことを大切にしており、そういった姿勢が重い病気の早期発見や患者側からの信頼の醸成につながったケースもあるという。「患者さんやご家族の希望、訪問によって知り得た生活背景を踏まえながら、質の高い医療を受けながらいかに自宅で楽しく過ごすことができるか提案をすることを心がけています」と話す菊岡院長に、診療への思いや取り組み、在宅医療の魅力などを聞いた。
(取材日2018年11月19日)

「とにかく患者のもとに足を運ぶ」をモットーに

まずはこちらに開院した理由と訪問地域、診療体制についてお聞かせいただけますでしょうか。

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ここ川崎は私の地元なんです。私はここで生まれ育ち、近くに住んでいる方々にお世話になってきましたから、恩返しというと大げさに聞こえるかもしれませんが、医師として少しでも地域に還元したいなと思ったんです。現在当院の訪問診療範囲は川崎市の幸区と川崎区、中原区、横浜市の鶴見区と神奈川区、港北区、そして東京の大田区です。スタッフ体制としては私の他に非常勤医師が4人、常勤の看護師、運転や物品の管理などを担うドクターサポート、事務員の計9人。訪問診療は、私と看護師、ドクターサポートの3人で訪問することが多いですね。

現在はどんな患者に対して訪問診療を行っているのでしょう。

当院はご自宅への訪問に力を入れていますから、患者さんの8割がご自宅にお住まいの方です。残りの2割は有料老人ホームやグループホームなどの施設に入所している方。患者さんとしては認知症や末期がんに限らず、神経難病や生活習慣病などでADL(日常生活動作)が低下してしまった方々もいらっしゃいます。患者さんやご家族の中には顔見知りの方もいらっしゃいます。私の祖父は私が生まれる30年ほど前からここでタバコ屋を営んでいて、私も小学生の頃から店番をしていましたから知り合いが多いんですよ。当時のお客さんや商店街での祭りを一緒にやった近所の方々の力になれているのはうれしいことです。

開業以来、先生はどんなクリニックをめざしてきたのでしょうか?

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患者さんとご家族から頼りにされるクリニックでありたいと考えています。そのために私が意識して行っているのは、とにかく足を運ぶこと。当院は365日24時間対応していますので、どんな時間であっても患者さんから緊急連絡があったら、まずは訪問して診察をするようにしています。そして患者さんやご家族にわかりやすく説明することを大切にしています。在宅で療養される方は、多くの不安を抱えていらっしゃいます。ちょっとしたことでもお話しすると、不安げな患者さんやご家族の顔がパッと明るくなる瞬間があって。私たちが携わることによって、少しでも安心して過ごしてもらえるように常に考えています。

浪人、就職を経て「背水の陣」で医学部受験に再挑戦

足を運んで良かったと思ったことはありますか?

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いろいろとありますが、今、ぱっと思い出せるのはつい昨日あったことです。患者さんの娘さんから「お母さんがいつもと違う」とご連絡がありました。ただ、意識ははっきりしているし、ご飯も食べられているとのこと。行ってみて患者さんの服に触れてみると、熱い。熱を測ってみたら40度もあり、呼吸の状態も悪かったのです。すぐに病院を案内して入院してもらったところ、肺炎でした。肺炎は高齢者がかかりやすく、かつ亡くなりやすい病気ですから、すぐに伺って本当に良かった。在宅医療だとこういったことが往々にしてありますから、電話で済ませずに直に患者さんを診ることがとても大事なのです。

ところで、先生はなぜ医師を志したのでしょうか。

医師をめざした5つ上の兄に影響を受けました。兄は私が幼稚園生の頃に親に医師になりたいと伝えて予備校に通い始め、私も後を追うように医師を目指すようになりました。しかし、私は結局理系の大学へ進み、商社に就職をしました。商社で仕事をする中で、仕事は面白いですし、評価もされていたのですが、何だか燃え切れていない自分もいたんです。結局私は幼い頃からの夢を思い起こして再び予備校に通い、翌年、試験に合格しました。当時は26歳で正に背水の陣で臨みましたから、現役の頃とはまた違った覚悟がありました。そして夢を叶え、医師になった今、当時商社で働き学んだことがいかされる場面も多いので、良い経験をしたなと思います。

そして、勤務医を続ける中で在宅医療に関心を持ったわけですね。

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ええ。私は北里大学の医学部を卒業して初期研修を終えた後、川崎幸病院などで主に内視鏡の検査や治療を行いました。開業した先生から「手伝ってほしい」と相談された時は在宅医療の実際なんてまったく知りませんでしたが、やってみるとこれが非常に面白かった。患者さんに病院に来てもらっての外来診療とはまた違った魅力がありました。川崎幸病院は内視鏡の検査と治療に力を入れていて先端的な器具も豊富。どちらにもやりがいを感じる中で次第に在宅医療を魅力に感じることの方が勝っていったのです。

同じ志を持つ仲間と協力して、在宅医療の質を高めたい

在宅医療の魅力とは具体的にどんなものなのでしょうか。

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患者さんの生活が見えて、健康へのアドバイスをより具体的にできることですね。患者さんのご自宅に伺うと、病院では知られなかったさまざまなことがわかるんです。食事はレトルト中心か、ご家族が作っているか、薬はしっかりと飲んでいるか、ご家族との関係はどうかなど。それに、外来よりも接する時間が長いですし、患者さんご自身も自宅にいてリラックスしているからか主訴以外の生活に関することもいろいろと教えて下さいます。自分で見たこと、患者さんから聞いたことを踏まえて、患者さんがご自宅で楽しく過ごせるためにはどうすればいいかを考えるのが好きなんですね。

お忙しい中で、休日はどんな風にお過ごしですか?

個人的には釣りやスキーが好きですが、開業してから24時間365日の体制で診療を続けていますから、なかなか遠出はできなくなりました。私と妻には高校2年、小学5年、小学2年の男の子がいて、上の2人はもう自分の生活を楽しんでいますから今は専ら一番下の子とよく遊んでいます。多摩川沿いを一緒にサイクリングしたり、その後に川で遊んだり。正直に言うと、私は仕事が好きで常に患者さんのもとに行きたい気持ちでいっぱいなのですが、妻にかけている負担はかなり大きいのも事実。これからは、頼める部分は他の先生に頼んで、少なくとも月に1度は連休を取れるような体制を作っていきたいと考えています。

最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお聞かせください。

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在宅医療を行う中でうれしい瞬間は、「来てもらってうれしかった」「お願いして良かった」などと人伝いに、間接的に患者さんやご家族の声を聞けた時です。もちろん直接お聞きするものうれしいですが、間接的に聞くと、本心が聞けたような気がしますね。今後も一つひとつのことを親身に丁寧に積み重ねていき、こういった喜びの声を多く聞けるとうれしく思います。在宅医療は高齢者の増加に伴って今後もニーズが高まる分野ですが、まだまだ担い手が少ないのが問題。複数の医師で協力し合うことで個々の負担が減るとともに全体的な医療の質も高まりますから、同じ志を持つ先生ともっと出会っていきたいですね。これから更に在宅医療を取り巻く環境の整備が重要になってくると考えています。患者さんやご家族が、より安心して、幸せに過ごせるようなしくみをつくれるよう尽力していきたいと思います。

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