好士 理恵子 院長の独自取材記事
久我山あおぞら歯科医院
(杉並区/久我山駅)
最終更新日:2025/11/14
大学院で歯周病を学び、スポーツ歯科にも詳しい好士理恵子(こうし・りえこ)先生は、義父にあたる好士哲雄先生の歯科医院を承継し「久我山あおぞら歯科医院」を開業。院長となった。同院では、虫歯や入れ歯治療、予防歯科などに加え、専門的な歯周病診療とスポーツ歯科に対応している。また現役のマラソン選手でもあり、市民マラソンのメディカルランナーや、医療ボランティアにも積極的に参加。アスリートらしい爽やかな行動力と、常に患者の立場に配慮する優しさを兼ね備えた魅力的な歯科医師だ。そんな好士院長にクリニックの診療の特徴や専門分野、展望などを聞いた。
(取材日2025年10月29日)
前身のクリニックの歴史を継承、進化させて開業
まず、こちらの成り立ちを教えてください。

夫の父が開業した「好士医院」が前身です。そろそろ引退をしたいという義父の意向で、私が院長を引き継ぎ、建物や設備をリニューアルして2018年に「久我山あおぞら歯科医院」としてスタートしました。クリニック名には、お口の健康は体の健康につながることから、「地域の皆さんが何歳になっても青空の下を気持ち良く自分の足で歩けるように」という願いを込めています。保険診療が中心ですが、治療の選択肢はすべてご紹介して、できるだけ患者さんの希望に沿った治療ができるよう心がけています。検査にも注力し、歯科用CTを備え、歯周病や虫歯などの段階的なリスク評価ができる唾液検査も導入しています。義父は訪問診療も手がけていましたが、高齢化が進み、嚥下などの専門性も必要ですので、今は訪問診療専門の先生にご紹介しています。
どのような患者さんが多いのでしょうか。
住宅街であり、また開業後、義父が診療を手伝ってくれたこともあり、好士医院の頃から来てくださっている高齢の方が多いですね。100歳を超えてもご自分で歩いて来られる方もいらっしゃいます。リニューアル前に休診期間もあったのですが、通われていた患者さんも戻ってきてくださって、ありがたく思っています。また、柴犬のハクという看板犬がいます。この地域は犬を飼っている方が多いので患者さんにも人気で、スタッフの癒やしにもなっているようです。院内の人間関係が良く、アットホームな雰囲気なのも、ハクのおかげかなと感謝しています(笑)。
先生のプロフィールを教えてください。

歯科の道に進んだのは、父が歯科医師で、歯科医師という職業が身近にあったことからですね。父がとにかく楽しそうに働く姿を間近に見て、また、物作りというか、手先を動かすことが好きなところも受け継いだので、当然のように同じ職業をめざしました。歯学部卒業後は、大学院で歯周病を学び、大学病院などで勤務し、スポーツ歯科の研鑽も積みました。そして、やはり歯科医師である夫と結婚したのですが、たまたま義父とは大学の医局の先輩後輩の間柄で、診療に関しては実の父より話が合うのです。世代が違いますので、治療方法はかなり異なりますが、計画的に手際良く治療を進めていくところは参考にしています。そして、「木を見て森を見ず」にならないように、悪い歯だけではなく、一口腔一単位として全体を見渡して治療を進めていく方針を受け継いでいます。
歯周病とスポーツ歯科。異なる分野の専門性を生かして
歯周病診療について教えてください。

歯周病の治療のゴールは問題点の改善だけでなく、口腔全体の健康づくりで、基本となるのは、歯磨きと定期的なメンテナンスです。大学病院では歯周外科治療を多く手がけてきましたが、当院では、歯周外科治療が必要とならないようにする治療や予防が中心です。歯周病が進行すると、特に高齢の方は誤嚥性肺炎をはじめ、脳血管障害、心疾患など全身疾患にも関わるので、歯科衛生士と連携して口腔ケアを徹底的に行っています。糖尿病患者さんへの歯周病治療にも力を入れ、近隣の内科の先生から糖尿病患者さんを紹介されることもあります。虫歯などで来院された患者さんにも主訴の治療を行ってから、必要に応じて歯周病検査を行い、歯科衛生士が歯磨き指導などを行っています。
スポーツ歯科ではどのような診療をされているのですか?
健康維持のために運動されている方やアスリートを対象として口腔内の外傷予防のマウスガードを作ったり、運動選手の歯科検診や治療、予防のサポートなどを行ったりしています。最近では、クラブでスポーツをしている小学生や、運動部の中学生・高校生にマウスガードを作ることも増えています。
先生の診療方針を教えてください。

私たち歯科医師の立場からでは、1本の虫歯は何百症例中の一つですが、患者さんにとっては、大切な歯の1本が虫歯になってしまうということは、とても大きなことだと肝に銘じており、常に自分が患者さんだったらと置き換えて考えるようにしています。スタッフにも、もし自分が患者さんだったらと考えて、気分良く治療を受けて帰れるような接し方や、院内の掃除の仕方などを考えてほしいと話しています。開業後、しばらくして新型コロナウイルスが流行し始めました。スタッフといろいろ話し合いながら感染症対策に取り組んで乗りきってきたので、コミュニケーションもよく取れるようになりましたし、院内環境も整ってきたなと感じています。
ところで、先生は現役のマラソン選手とのことですね。
そうなんです。地域の仲間たちと地方のマラソン大会に参加していて、最近も自己ベストを更新したんですよ(笑)。また、市民マラソンのペースランナーや、メディカルランナーとして大会で走りながら医療支援のボランティアを行うこともあります。アスリートの気持ちや悩みもよくわかるので、ランナーとしての経験や、歯科の知識を生かして役に立っていきたいと思っています。
子育て世代や現役世代も気軽に受診できる歯科医院に
専門の立場から何か気になることはありますか?

スポーツ歯科に関しては、経済的な理由から市販のマウスガードを使っている選手が多いことが気になります。噛み合わせに合わないことも多いので、歯科医師が作製したマウスガードを使うことの重要性を啓発していきたいと思っています。少しでも使ってもらいやすいように、当院では費用面にも配慮しています。初心者やお子さんにもそれぞれのお口に合ったマウスガードを作ることができることも知っていただきたいですね。また、スポーツ選手は、脱水予防でスポーツドリンクを取る機会が多いので虫歯になりやすいといわれています。最近は、スポーツドリンクではなく麦茶を飲むことも増えているようですが、口腔の健康はパフォーマンスにも関わりますから、定期的に歯科検診を受けてほしいですね。
今後に向けての展望を聞かせてください。
地域に愛され、長く安心して通える歯科医院、どなたにも気軽に足を運んでもらえる歯科医院でありたいと考えています。このエリアは古くからお住まいの方が多い一方、再開発も進み、比較的若いファミリー世帯も増えていますので、お子さんや子育て世代、現役世代の方にももっと来ていただけるような歯科医院にしていきたいと思っています。子どもや若い人に関しては新型コロナウイルスの流行に伴うマスク生活の影響で口呼吸になり、唇など口の周りの筋肉が弱り、口の中が乾燥している人や、歯肉炎の人が目立ちます。若い世代の虫歯は減っていますが、歯肉炎は増えているようです。歯肉炎を放置すると歯周炎になることが多いので、若い世代に対しても歯周病予防の大切さなどを啓発していきたいなと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

お子さんの歯の健康を守るために、ぜひ親子、ご家族一緒に、歯科医院を受診していただきたいと思っています。お子さんの虫歯予防や歯列矯正に熱心な親御さんは多いのですが、ご自分のことは後回しになっている方も少なくないようです。家族では細菌の種類が似てくる傾向があり、親御さんのお口の中がきれいだと、お子さんの虫歯や歯周病のリスクも少なくなります。お子さんのお口の健康を守るためにも、親御さん世代も歯科医院を活用して、ご自分のお口の健康を維持していただきたいと思います。また、女性は、ホルモンの影響で周期的に歯茎に症状が現れることがあります。当院は、同じ女性として相談していただきやすいと思いますし、多様な年代、それぞれのライフステージに合わせた予防や治療をご提案していますので、気軽に来ていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯科検査コース(歯周病検査・唾液検査含む)/3000円~、マウスガード作製/5000円~

