小山 俊一 院長の独自取材記事
まちだファミリークリニック
(町田市/鶴川駅)
最終更新日:2026/06/08
高齢化が進む東京都町田市とその周辺エリアにて地域医療を支えてきた「まちだファミリークリニック」。院長を務める小山俊一先生は、大学を卒業後「東京医科大学病院」に入局。高齢者の総合診療や全身管理、脳卒中の治療に従事してきた。同院では外来診療に取り組んでいるほか、特に注力しているのは訪問診療。主に患者の自宅を訪れ、診療から看取りまでに携わる。「患者さん、ご家族の気持ちに寄り添いながら、親身な診療を心がけています」。そんな小山院長に、クリニック名に込めた思いや、訪問・外来での診療、地域医療への思いなどについてじっくりと聞いた。
(取材日2026年3月18日)
目標は、患者と家族に寄り添い最期まで支える医療提供
最初にクリニックを紹介していただけますか?

2018年、在宅療養支援診療所として町田市大蔵町に開業したのが当院の始まりです。2023年2月には現在の能ヶ谷へ移転しました。現在も高齢者を中心に、多くの患者さんのご自宅への訪問診療を続けています。午前中に訪問診療、外来診療は、木曜日を除いた月曜日〜金曜日の訪問診療が終わった14時〜17時に行っています。地域のかかりつけ医としての診療に加え、町田市の健康診断やワクチン接種なども広く受け入れており、地域医療にさらに貢献できればと考えています。
訪問診療の取り組みについて、詳しく教えてください。
訪問診療対象エリアは町田市で、迅速な対応ができるようエリアを絞っています。その上でケアマネジャーやご家族と話し合い、当院で対応できる患者さんであれば、柔軟に対応しています。基本的に、医師と看護師が定期的にご自宅に伺います。当院は妻が看護師長として勤務しているので、私と2人で伺うこともあるんです。常勤の看護師をはじめスタッフとの架け橋として、いつも診療を支えてくれる妻にはとても感謝していますね。また、ご自宅に伺い、患者さんやご家族と深く関わる訪問診療では、やはり相性が大事です。患者さん、ご家族、担当ケアマネジャーと密にコミュニケーションをとらせてもらい信頼関係を構築することを重視しています。
ポータブルのエックス線撮影装置を導入したと伺いました。

緊急で往診に行く際の診断や、在宅療養中の患者さんの健診に有用だと考え導入しました。実際に、患者さんが自宅で体調を崩した際にはその装置を使い、その場で撮影と肺炎や心不全等の診断をし、直ちに治療を開始することも。重症度によって入院治療が必要な場合にはすぐに連携先の病院へ緊急搬送できるようになりました。また「市から健診の案内が来ているが行けない」という相談が以前から多く寄せられていましたが、この装置を導入したことで患者さんの自宅で健診を行うことが可能になりました。患者さんは布団の上に寝たまま、あるいは座ったままで撮影できます。撮影した画像はすぐにノートパソコンへ転送され、その場で確認できますので、ご家族にも画像を見せながら説明できますし、クリニックに戻ってから画像を詳細に確認することも可能です。さらに、AIの診断機能が搭載されているため、私自身の見落としをチェックできるなど非常に役立っています。
訪問診療と外来診療の両面から、地域医療を支えたい
在宅療養中の患者さんの容体が急変した場合は、どう対応していますか?

基本的には、24時間365日対応しています。私、もしくは協力医、看護師で、毎晩オンコール体制を取っています。容態が急変した場合はご自宅に伺って処置をしたり、状態によっては連携している病院に救急搬送することもあります。また、最期の時が近いと判断した場合は、お看取りまでさせていただきます。近年は一人暮らしの方や、家族と同居していても日中はお一人の方が増えています。この様な高齢者が入院することになった場合も、退院後に自宅療養を希望する場合には、訪問診療をスムーズに再開できるよう病院との連携にも力を入れています。
訪問診療で心がけていることはありますか?
当院の理念は、患者さんとそのご家族に寄り添いながら、親身な医療を提供することです。何か特別な機材を使って、特殊な治療を行うよりは、患者さんとご家族の話をよく聞くことを心がけています。人生の最終段階を迎えるにあたっても、時間をかけて、時にはご家族と膝を突き合わせて、後悔のない人生の終わり方について納得いくまで話し合います。また「医療関係者でも他人に家へ上がってほしくない」とお考えの方も多いものです。そういう場合も、患者さんが仕事をされていた頃や趣味の話から糸口を見つけて、コミュニケーションを取っています。その上で全身管理から通常の治療、看取りまで、一貫して診させていただきます。私、そしてスタッフも、患者さんやご家族の支えになりたい一心で診療しています。
外来診療についても教えてください。

高血圧症や糖尿病をはじめとする生活習慣病を中心に、長期的な全身管理に力を入れています。加えて脳梗塞の後遺症や認知症、働き盛りの世代の皆さんの急な発熱、健康診断後の健康管理や治療まで、幅広く対応しています。そのような中で、外来で診ていた患者さんが年齢を重ねて通院が難しくなった際には、スムーズに訪問診療へ移行できるよう努めています。通院していた患者さんからの「そろそろ訪問診療に切り替えたい」という相談や、ご家族からの訪問診療についての相談にもお応えしています。
患者さんやご家族と接する際に大事にしていることはありますか?
院名にもあるように、常に良きファミリードクター(かかりつけ医)でありたいと考えています。そのために最も重要なのは、目の前にいる患者さんを自分の家族だと思って接することです。もし自分の家族だったら、自分はどういう選択をするだろうか、こういう時はどのように接するだろうか、といつも自問するようにしています。自分の母親だったら、父親だったらどうするかという視点で物事を捉えると、おのずと話をもっと丁寧に聞こうと思いますし、診療の姿勢も決まってくるように思います。スタッフにも、そのスタンスは常々話していて、同じ気持ちでサポートしてくれています。
家族の負担軽減のため訪問診療を気軽に利用してほしい
話は変わりますが、なぜ医師を志したのですか?

小さい頃はよくけがや病気をして、地域の小児科や耳鼻咽喉科、眼科などクリニックの先生方に非常にお世話になりました。今でも一人ひとりの顔がすぐに浮かぶほど先生方のことはよく覚えています。幼心に多くの影響を受けていたのでしょうね。進路を決める際には、先生方のような医師になりたいと考え、医学部をめざしました。また、私がまだ子どもの頃に家族が脳疾患で倒れ、後遺症を抱えながらも懸命に生きる姿を見て育ちました。医師免許取得後は、脳卒中など脳神経の勉強がしたくて、臨床経験が豊富な「東京医科大学病院」に入局しました。高齢者の総合診療を専門とする部門で、複数の病気が併存することの多い高齢者の全身管理を学びながら、脳卒中の診療にも従事しました。
医師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
勤務医時代は、患者さんから「ありがとうございます」と言ってもらえた時に医師としてのやりがいを感じました。一方、訪問診療は人生の最期の瞬間まで寄り添って、ご自宅や施設でお看取りすることが多い仕事です。ご本人もご家族も満足のいく最期を迎えられたのかもしれないなと思えたら、私も心からうれしく思いますね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

町田市は訪問診療に対応する医療機関が少ないこともあり、今後も訪問診療をさらに充実させ、緊急時の対応などもしっかり行っていきたいと考えています。そのために必要であれば、スタッフの増員や設備の導入も進めていくつもりです。また、在宅療養を支えるご家族の中には、不安や心配を抱えている方も多いと思います。ケアマネジャーをはじめ、地域には皆さんを支えてくれる人がたくさんいますので、一人で抱え込まないでください。「自分がやらなければ」と頑張りすぎて疲弊しないよう、訪問診療をうまく活用することも一つの方法です。ご家族が患者さんを医療機関へ連れて行く必要がなく、具合が悪くなった際にはすぐに相談できる、そんな便利な存在として利用していただければと思います。訪問診療がどのようなものか、まだよくわからない方も多いと思いますので、まずは話を聞くだけでも構いません。気軽にご連絡いただければと思います。

