中山 新太郎 院長の独自取材記事
高輪台整形外科クリニック
(港区/高輪台駅)
最終更新日:2024/11/08

都営浅草線・高輪台駅より徒歩1分、メディカルプライム高輪にある「医療法人社団AZroad 高輪台整形外科クリニック」は、若年層から高齢者まで、スポーツでのケガや体の痛みなど幅広い整形外科の診療を行っている。また、リハビリテーションに力を入れている同院は、理学療法士のスタッフが多数在籍し、専門的な運動器リハビリテーションの提供を行っている。2024年9月から新たに院長に就任した中山新太郎先生は、数々の総合病院やクリニックで整形外科の診療を続けてきたベテランのドクターだ。また、専門とする膝関節の人工関節置換術をはじめとする手術にも造詣が深い。インタビューでは穏やかな人柄の中山院長に、診療にかける思いやモットーについてじっくりと話を聞いた。
(取材日2024年10月4日)
これまでの豊富な経験を診療に生かす
2024年9月に院長に就任されたそうですね。

私は慶應義塾大学医学部卒業後に複数の医療機関で整形外科の手術や診療を行ってきました。さまざまなタイミングが重なり、ご縁があってこちらのクリニックで院長を務めることになりました。まだ就任して間もないですが、この地域にお住まいの方は「健康についての意識が高いな」という印象です。当院は理学療法士の人数が多く、リハビリテーション室も充実していることが強みだと考えています。整形外科での治療やリハビリテーションは、日常生活のクオリティーを上げることと密接に関わっています。ですから、体の痛みがあったり、動かしづらい部分があったりして困っている患者さんに寄り添い、豊かな人生を送ることができるようなお手伝いをしていきたいですね。
先生のご専門について教えてください。
私は整形外科の中でも膝関節を専門としており、若い方からご高齢の方まで数多くの症例の手術に携わってきました。具体的な例を挙げると、スポーツなどのケガによる膝前十字靱帯損傷の膝関節鏡視下手術や、高齢者に多い膝関節の人工関節置換術などがあります。勤務医時代は手術で入院した患者さんとのコミュニケーションも重視していましたね。毎日の回診の中で、治療に直接関係する話題はもちろんですが、患者さんとの何げない会話の中で個々の背景を把握することで、どんなアドバイスができるのかを模索するのです。このスタンスは外来の診療でも変わりません。患者さんに答えていただける範囲で生活上の困り事などをお聞きしながら、治療にどう結びつけるのかを思案し続けてきました。
これまでの経験をどのように生かしていきたいとお考えでしょうか?

長年にわたり多くの患者さんの診療を行ってきましたが、患者さん一人ひとりに合わせた適切な診断が大切だとあらためて考えています。患者さんによっては「今は手術をしないほうが良い」という場合もあります。患者さんによって答えはまったく異なりますし、とても難しいことではあるのですが、症状をしっかりと見極めて判断することで、患者さんをより良い方向へ導いていきたいと考えています。本来なら手術が必要な患者さんにもかかわらず、クリニックで抱え込んで手遅れになってしまわないように、なるべく早い段階で然るべき医療機関につなげることも当院の重要な役割だといえるでしょう。
リハビリテーションでは医師と理学療法士が密に連携
理学療法士さんについても教えてください。

当院には常勤・非常勤含めて9人の理学療法士が勤務しています。診療中は全員が忙しくしていますから、連携がおろそかにならないように私とスタッフが集まって定期的にミーティングを開くようにしています。個別の患者さんについての治療方針が同じであるか、連絡事項の伝え漏れがないかどうかを都度確認することで、より良いリハビリテーションにつながると考えているからです。当院は比較的小規模なクリニックなので互いに顔が見える関係であることは大きなメリットであるといえます。もし「同性の理学療法士からリハビリテーションを受けたいです」といったご希望があれば、できるだけお応えするようにしますので、遠慮なくお伝えいただければと思います。
整形外科では体のさまざまな痛みが主訴となる分、難しい点も多いのではないでしょうか。
そうですね。私が特に注意しているのは、ほかの科の疾患が紛れていないかどうかを見極めることです。例えば背中に激しい痛みがある場合、大動脈解離などの大きな疾患が隠れている可能性が否定できません。そういった意味でも適切な診断が重要になってくるのです。それに、当たり前のように感じるかもしれませんが「丹念に目で診て、触診をする」ということも整形外科の診療では欠かせない要素になります。皮膚の色や触った感じで判断できることは多々あります。皮膚を触ってみたら実は帯状疱疹で、皮膚科での治療が必要だったというケースもあり得ますからね。診察の手順を省くことなく、基本を忠実に守ることが適切な診断の第一歩だと考えています。
診療において力を入れている点は何でしょうか?

画像診断については、超音波に関する専門的な知識と技術のあるスタッフが在籍していることが当院の強みであるといえます。超音波は、軟部組織の検査に力を発揮します。例えば、靱帯に損傷があるかどうかを確認する際に超音波の検査は非常に有用です。骨や関節にはエックス線、軟部組織には超音波というように、それぞれの得意分野を生かした検査を行うことで、より適切な診断へとつながります。技術的な部分以外のことでは、患者さんの顔をしっかりと見てお話を聞くことを大切にしています。パソコンに情報を記録することに集中するあまり、患者さんの顔色など重要なサインを見落とすことがあってはなりませんからね。「医師から話を聞いてもらえた」という安心感を持っていただくことも診療の大切な役割ではないでしょうか。
一人ひとりのライフスタイルを大切にした診療
先生が医師をめざしたきっかけについて教えてください。

それほど強烈な動機があったわけではありませんが、私のおじが開業医をしていたので、その仕事ぶりを見て憧れたことが最初のきっかけだったでしょうか。幼い頃にケガをして治療をしてもらった時などは、とても頼もしく思ったものでした。それと、私は理数系の科目が得意だったこともあり、医学部をめざすようになりました。大学に入学してみると、クラスメイトは非常に優秀な人ばかりでした。表立って勉強している姿を見せなくても、それぞれ陰で努力を重ねていましたから、私も彼らに必死に食らいついていったんです。大学時代にバスケットボール部に入っていたのですが、部活の先輩方の影響で私も整形外科の道に進みました。今思うと全身的なことが診療できるこの科を選んで良かったと感じています。
先生の診療におけるモットーはどんなことでしょうか?
診療の際は、緊張が途切れないようにすることを意識しています。見過ごしの原因となるような雑な診療をすることが絶対にあってはならないのは当然なのですが、医師が疲れた顔をしていたら、患者さんが不安な気持ちになってしまいますからね。それに、患者さんとの会話の中から、体の痛みの度合いを把握するようにしています。例えば、当院に来るまでの交通手段一つとっても、電車やバスに乗って歩いて来られるのか、体が痛くて家族の送迎やタクシーが必要だったのか……というように、患者さんの背景を知る手がかりとなるのです。医師になりたての頃、先輩から「患者さんの話をきちんと聞け」と言われていたのですが、その言葉の重みをあらためて噛みしめているところです。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

まずは、クリニック全体として地域の皆さまに信頼してもらえるような息の長いチームづくりをしていきたいと考えています。その結果、「何だか体の痛みがつらいな」という困り事が出てきた際に、「ここに行ってみよう」と最初に当院を思い出していただけるならば、こんなに幸せなことはありません。患者さんから頼りにされることが私の医師としてのやりがいになっていますから、小さなことでもご相談いただければと思います。当院は超音波検査の研鑽を積んだ経験が豊かな診療放射線技師のほか、理学療法士が多数在籍していることが強みだと考えています。地域の中で第一選択になれるようなクリニックをめざして、患者さんに丁寧に寄り添う診療を続けていきたいですね。