神原 佑介 院長の独自取材記事
かんばら歯科クリニック
(大阪市平野区/平野駅)
最終更新日:2025/10/14

平野駅から東へ徒歩1分、南港通に面したビルの1階で「かんばら歯科クリニック」が診療を始めたのが2017年12月。祖父や父の背中を追って歯科医師になったという神原佑介院長が「自分や家族が受けたい丁寧な治療」を理念に掲げて開業した。今や子どもから高齢者まで幅広い年代の患者が訪れ、一般的な歯科診療はもちろん、親知らずの抜歯といった口腔外科、さらに歯列矯正、インプラントなど、外科的な処置を含めた難症例の治療も日常的に行うクリニックへと成長。「技術面とともに、スタッフによるカウンセリングなど診療環境のレベルアップも、専門性の高い治療につながっています」と神原院長も手応えを語る。取材では開業からの今日までの変化や、注力する歯周病・インプラント治療に対する考えや診療内容を詳しく聞いた。
(取材日2025年9月30日)
「自分自身が受けたい治療」を追求し専門治療にも注力
ご開業から間もなく8年、地域とのつながりを実感されることはありますか?

この周辺は以前からよく通っていて、親しみを感じて開業しました。患者さんは下町らしく飾らない、明るい方が多く、気さくに話してくれますので、診療はしやすいですね。駅前という立地や、19時まで診療を行っていることもあるのか、ご高齢の方をはじめ、お子さんやその親御さんと、さまざまな年代の方が来られています。当院では開業当初から専門の歯科医師による歯列矯正を行っていますが、小学生の時に矯正を受けに通っていたお子さんが高校生になり、メンテナンスを希望して久々に来られたりすることも。見違えるように大きくなった子から「やっぱり慣れているので、安心できるここへ来ました」などと言われると、うれしくなりますよ。
あらためて、こちらの診療方針をお聞かせください。
「自分自身が受けたい丁寧な治療」、これは開業当初から今も変わりません。具体的には、患者さんにご自身の状態をよく知っていただき、治療のゴールを一緒に設定して、納得してもらえる診療をしたいと考えています。このため初診では、治療が必要な歯だけでなくお口の中全体を見せてもらって治療方針を検討し、わかりやすい説明を行って、患者さんが納得し安心されてから実際の治療に進むようにしています。今の症状を一時的に改善するのではなく、お口の中全体を良好に保ち、残せる歯はできるだけ残して、全身の健康にもつなげていきたいのです。だから当院では、歯周病や口腔外科、インプラントといった専門的な治療や外科的な処置も、院内で行えるようにしています。
歯周病は、なぜ治療をしないといけないのですか?

歯周病は今や国民病とも呼ばれ、30歳以上になると約8割の方が歯周病だといわれます。ですが、初期の歯周病は症状がほとんどなく、歯茎から少し出血する程度です。進行すると、歯茎が見てわかるほど腫れたり膿んだりする、噛むと痛い、歯がぐらぐらする、出血が増えるといった自覚症状が出てきますが、こうなるとすでに中等症から重症で、歯を支える骨が溶けていれば抜歯が必要になることも。また、歯周病は糖尿病など生活習慣病とも関連しています。ですので、自覚症状がない時期に初期の歯周病を見つけて、歯科衛生士やご自身のケアで進行を防ぐことが何よりも重要です。また重度の歯周病になっていれば、当院では歯茎を切開して深い部分についた汚れを取る外科的な治療や、歯周組織を再生する治療など、歯を抜かずに治療ができないかどうかも探っていきます。
歯周病の治療を土台に、長期的な口腔の健康をめざす
インプラント治療も、こちらで受けられるそうですね。

歯を失った場合には、噛む機能を補う必要があり、当院でも入れ歯やブリッジ、インプラントなどを扱っています。このうち、インプラントは周囲の歯を削ったりして負担をかけることなく入れられる点が、大きなメリットですね。また、他の方法より清掃がしやすいのもインプラントの特徴です。ですから費用面や治療期間などの負担はありますが、適応があればインプラントはお勧めしたい治療だと考えています。インプラントを入れるには、土台となる歯茎の安定が欠かせないので、歯周病があればそれも事前に治療します。また、インプラントを埋め込む顎の骨にも一定の量が必要ですが、当院では骨造成などさまざまな方法で骨の量を補うための治療も行っています。
他には、どのような治療をされていますか?
開業当初から歯列矯正には力を入れ、専門の歯科医師が定期的に来院して治療を担当しています。当院では主にワイヤーによる矯正を実施。職人技とも呼べる技術でワイヤーをかけ、歯がスムーズに動くように調整していきます。お子さんだけでなく30~50代で「歯並びがコンプレックスだった」と歯列矯正を希望される方は多く、その方に合った方法を提案しています。また、虫歯や小児歯科、予防歯科などの一般的な治療ももちろん行っています。定期的なメンテナンスでは1時間の枠を取り、小さな病変が見つかれば枠内でなるべく治療まで対応します。現在は私を含め2人の常勤と非常勤2人、計4人の歯科医師が交代で診療にあたり、歯科衛生士などのスタッフも開業当初からかなり増えていますね。
専門的な治療を行うために、ハード面での変化はありますか?

歯科診療でもデジタル化が進んでいて、4年ほど前にはデジタルスキャナーと、セラミックの詰め物やかぶせ物を自動で作製できる機器を導入しました。口腔内カメラでデジタルスキャンを行うと、歯の部分にあたる上部構造がデザインでき、インプラントを埋め込む位置もパソコン上でシミュレーションできます。型採りも不要で、スムーズな治療に役立っています。また、年内には歯科用のマイクロスコープを導入します。現在も診療には歯科用ルーペを使っていますが、治療範囲をさらに拡大して見えますので、傷や削る部分の少ない、より繊細な治療をめざしたいですね。それから、落ち着いた環境で患者さんと話せるように、以前のキッズスペースをカウンセリングルームにしました。その代わり各診療チェアの足元にカーペットを敷き、子ども用のタブレット型端末なども用意。お子さんが、治療中の親御さんの近くで過ごせるようにしています。
スタッフの力で治療の流れや説明もレベルアップ
診療では、スタッフの担う役割も大きいと聞きました。

定期的なメンテナンスや歯周病治療では、歯科衛生士が中心になって検査や歯石の除去、ブラッシング指導などを行います。歯周病の知識を深めた歯科衛生士も多く、担当患者さんでメンテナンスを続けても改善が見られない場合や、新たな症状が疑われる場合は、歯科衛生士のほうから「歯周外科治療をお願いします」とアプローチがあることも。治療の流れを的確にサポートしてくれます。また、以前から勤務していた話の上手なスタッフが専門的な勉強をしてくれて、現在は歯科医師とはまた別の立場でカウンセリングを担当しています。各患者さんに必要な情報を選んでわかりやすく説明してくれますし、患者さんも歯科医師には聞きにくいことも相談しやすいようです。専門的な内容でも患者さんの理解が深まり、治療をスムーズに進めやすくなったと実感しています。
プライベートについてもお聞かせください。休日はどのように過ごしていますか?
以前はゴルフなども楽しんでいましたが、実は子どもが生まれて。少し大きくなったので、子どもを連れて遊びに行きたいなと思っています。もともと子どもは好きなので、自分ではあまり意識していませんが、スタッフには「子どもの患者さんを見るときはずっと笑っていますね、良い表情をされていますよ」と言われますね(笑)。
最後に、今後の目標や地域の方々へのメッセージをお願いします。

患者さんのことを家族だと思えば、目の前の症状だけを治す治療にはやはり抵抗があります。全体を確認した上で、お口や全身の長期的な健康をめざして、最善な治療を提供したいのです。そのためには幅広い歯科診療の引き出しが必要で、難症例や専門的な治療にも取り組んできました。もともと歯科診療の勉強をするのは好きなほうで、現在もセミナーなどには積極的に参加していますので、勉強した成果を患者さんに全力で還元できるよう、今後も頑張っていきます。また、治療以外にも患者さんからのお声をもとに改善してきたことは多く、当院が成長する機会になっています。些細なことでも構いませんので、気軽にご相談いただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周病治療/5万円~、インプラント治療/33万円~、骨造成/5万5000円、全顎矯正/99万円~、セラミックの詰め物/6万6000円、セラミックのかぶせ物/11万円