地域かかりつけだからこそ実現する
「顔の見える」訪問診療
みずのクリニック
(大阪市北区/天神橋筋六丁目駅)
最終更新日:2025/04/11


- 保険診療
超高齢社会を迎え、その必要性がしきりに話題となる訪問診療。現在は一般にも知られつつあるが、対応する医師や医療サービスの内容、手続きなど、なんとなくハードルを感じている人も少なくないだろう。こうした疑問に回答してくれるのが、地域のかかりつけとして近隣住民の診療に力を注いできた「みずのクリニック」の水野龍義院長。開業時から行ってきた訪問診療をさらに強化すべく、2025年から新たな体制で時代のニーズに臨んでいる。「外来であれ在宅であれ、診療に対する姿勢や情熱に何ら変わりはありません」と穏やかに話す水野院長。そのきっかけとなった地域への思い、同院ならではの取り組みとともに、訪問診療の基本をじっくりと解説してもらった。
(取材日2025年4月2日)
目次
外来診療と訪問診療を両立することで、急変時の検査・診断にも対応
- Q訪問診療とは、どのような医療サービスでしょうか?
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A
▲外来から訪問診療まで切れ目なく患者のニーズに対応
何らかの理由があって自宅から病院やクリニックまで通院できない方に対し、医師が自宅まで出向いて診療を行うのが訪問診療です。同じ在宅医療でも高熱などの緊急時にお伺いする往診とは違い、平時であっても月に1〜2回を目安として定期的に提供する医療サービスとお考えください。訪問頻度に関しては、患者さんの病状や重症度などからご相談の上で決めさせていただきます。また、訪問診療には基本的に医療保険が適用されますが、訪問先は医療機関から半径16km以内と定められています。超高齢社会にあって皆さんが安心して在宅医療を受けるためにも、訪問診療に対応した地域かかりつけ医師の存在が今後ますます重要になるといえるでしょう。
- Qどのような人が訪問診療の対象となりますか?
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A
▲患者とその家族にとって最適な方法を模索する
これまでなんとか通っていたが高齢になって歩けなくなった、認知症や寝たきりなどの理由で外来に通えないなど、通院でお困りの方は意外と多いもの。また、中には重い障害があり、呼吸器などの医療器具を装着して自由に動けない方もおられるでしょう。こうしたケースであれば、既存の外来患者さんであれ新規のご依頼であれ訪問診療の対象となります。特に深刻なのは高齢で一人暮らしをされている方ですが、ご家族がおられても介助が困難というケースは決して珍しいものではありません。患者さんの病状や事情によっては訪問診療が適していると判断される可能性がありますので、悩みを抱えたままにせず、まずは気軽にご相談いただければと思います。
- Q先生が訪問診療に注力する理由をお聞かせください。
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A
▲開業医をする中で改めて訪問診療の必要性を感じた、と話す院長
大きな病院と比較するとクリニックは患者さんとの距離が近く、地域の皆さんの求めには極力お応えしたいという思いが開業時からありました。それは在宅であっても同じこと。決して切り離せるものではないと考え、これまで1人で外来診療と訪問診療をこなしてまいりました。この地域にはご高齢の方が多くお住まいですが、外来が混み合う時期に「先生もお忙しいでしょう。お体に気をつけて」と、逆に温かいお言葉をいただくことがあります。そんな地域の皆さんに恩返しをしたいと、2025年から在宅医療専任を含む複数の先生方の手をお借りして訪問診療を強化することになりました。さらに充実した医療の提供に励みますのでご期待ください。
- Q訪問診療を希望する際に必要な流れを教えてください。
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A
▲具体的な流れまで丁寧な説明を心がけている
通院が困難と思われた時点で、ご本人でもご家族でも構いませんので、まずは当院まで電話で直接お問い合わせください。すでに在宅で介護や看護を受けておられる場合はケアマネジャーや訪問看護師、病院職員からのご依頼でも構いません。そこはあまり難しく考えず、気軽にお問い合わせいただければと思います。その後、ご家族だけでも一度当院までお越しいただき、実際に訪問を担当する医師が面談や診察を実施。詳しい病状をお聞きした上で適応などを判断しますので、訪問診療を受けるか受けないかはそれからでも決して遅くはありません。同意をいただければ訪問診療の開始日時を決定しますが、早ければ当日からスタートすることも可能です。
- Qこちらの訪問診療には、どのような特徴がありますか?
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A
▲安心して相談に来てほしい、と語る院長
当院は外来診療が出発点で、どのような患者さんも受け入れるというスタイルで診療メニューや医療設備の充足に努めてきました。こうした外来体制と在宅専任の医師が共存し、シームレスに対応できることが当院の特徴といえるでしょう。万一ご自宅で急変があった場合も、車いすのまま乗れる介護用の特別仕様車で患者さんを当院までお連れし、外来にバトンタッチすることが可能です。訪問診療では高度な治療や検査はできないといわれていますが、院内の機器を使って検査を行えば、在宅か入院かといった差し当たっての方向性をご相談することができるわけですね。いざという時の安心感があって初めて、訪問診療を導入する価値があると私は思います。