水野 龍義 院長の独自取材記事
みずのクリニック
(大阪市北区/天神橋筋六丁目駅)
最終更新日:2025/02/10

2018年5月に開業した「みずのクリニック」は、胃や大腸内視鏡、レントゲン、エコー、血液検査機器などを備え、乳幼児から大人まで受診可能。天神橋筋六丁目駅から徒歩7分、本庄西二丁目バス停からは徒歩2分で、診療時間は午後8時までと通いやすさが特徴のクリニックだ。水野龍義(たつのり)院長は名古屋市立大学卒業後、消化器内科を専門としながら、将来的な開業を考え、高井病院で、科を越えた総合診療に携わり、その後済生会千里病院の小児科でもさまざまな疾患に対応してきた。水野院長がめざす「地域密着のクリニック」のあり方について、これまでの経緯や今後の診療方針など話してもらった。
(取材日2018年7月18日/情報更新日2021年9月24日)
病気を診るのではなく「人を診る」クリニックへ
院長が医師の道へ進もうと考えたのはなぜですか?

高校生の頃、実際に今後の進路について考えたんです。人にとって何が大切か、と聞かれた場合、家族だったりお金だったり、人それぞれ違うんですが、どんなものを大切にするにしても、まずは健康を維持できないといけないと思ったんですね。皆さんが健康であり続けるための手助けをしよう。そう考え、医学部に進んだんです。
卒業後は内科で消化器疾患を専門とされていました。
全身を幅広く診たいと、内科と外科で悩みました。ただ、外科は手術など興味深かったものの、手術時間はとても長くなることもあり、自分の体力では難しいかなと思ったんですね。将来的な開業も当時から考えていましたので、内科に進みました。本来、勤務年数とともに専門性が高くなるもので、僕も消化器を専門としていました。患者さんが来院され、診断をし、こういう病気ですよとお伝えしていた立場でしたが、振り返ると、患者さんから本当に多くのことを教えていただき、学ばせていただいたと痛感しています。
診療科を越えた、総合診療的な診察を経験されたとか。

奈良県天理市にある高井病院は、科目ごとに専門的に診る病院が多く集まる都心部とは違い、どんな疾患でも診察しないといけない環境にありました。高井病院の院長は「なんでも診療する」という理念で24時間365日いつでも対応し、総合診療的に診てこられていた先生です。その志に賛同し、消化器、心臓、腎臓、脳疾患のほか、生活習慣病、外傷、小児科、緩和ケア、救急と幅広く診療してきました。患者さんからすると病院もクリニックも変わらないわけで、消化器内科にかかったとしても頭痛や膝痛などほかにも症状を抱えていらっしゃることがありますよね。大人から子どもまで、「病気」を診るのではなく、「人」を、全身を診ることを、高井病院で経験できたことはとても糧となっています。
開業に踏み切ったきっかけや、この地域を選ばれた理由は?
勤務医時代は毎年、「今年はこの技術を習得する」「勉強会で発表する」「論文を書く」など目標を持ち、一つ一つ達成してきました。しかしある年、僕が飽きっぽい性格だからかもしれないんですが(笑)、「今年の目標」が見つからなかったんですね。その際に、これはもう開業しようと思ったんです。僕は生まれが旭区、育ったのが十三で、犬の散歩で河原をいつも歩いていたので、淀川沿いの地域にはなじみがあり、僕の兄が北区で歯科を開業していたこともあり、この街を選びました。僕自身が、自分の家の近くにどんなクリニックが欲しいかを考え、開業へ進めてきました。
多様な検査機器を備え、即日診断が可能
どのような患者さんが来られていますか。また、クリニックの特徴を教えてください。

下は2歳から、上は80代の方まで、幅広い年齢層の方が来られています。小児科や救急科の経験もありますので、お子さんは乳幼児の方から診察できますし、ケガの応急処置なども対応できます。症状としては、風邪や胃腸炎の方、糖尿病、高血圧、痛風などの生活習慣病の方も多く来られていますし、副院長が血液内科を専門としていますので、甲状腺疾患、貧血、多血症の患者さんも来院されています。どんな症状であっても、まずはきちんと診断することを大事にし、手術や入院、専門的な治療が必要な場合のみ、他院へ紹介する形を取っています。例えば、単に「息苦しい」という症状だけでは呼吸器内科と耳鼻咽喉科、どちらが適しているかわかりませんので、診断し、病名や見通しを明らかにしてから紹介しています。
血液検査や超音波検査など、即日診断が可能なんですね。
今まで急性期の病院で幅広く診療にあたってきましたので、開業してからも同じように診療を続けたいという気持ちがありました。このクリニックで広い範囲の診断、治療を可能にするため、診察室には超音波(エコー)画像診断装置を置いていますし、血液検査機器や、肝機能、腎機能、電解質、尿検査、インフルエンザ、溶連菌感染症なども、その場ですぐに診断できる検体検査機器も院内に備えつけています。
胃と大腸の内視鏡検査もクリニック内で実施しています。

胃カメラは経口、経鼻どちらにも対応しており、鎮静下で行うこともできますので、患者さんにご要望をお伺いします。絶食状態であればいつでも検査を受けていただけます。大腸の内視鏡検査は、下剤による前処置が必要ですので、基本、予約制となります。大腸内視鏡は鎮静下で行い、検査時にポリープが見つかった際、基本2cm以下であれば切除を行うことが可能です。女性の患者さんの中には大腸内視鏡に抵抗のある方もいらっしゃいますが、説明や検査は僕が行うものの、そのほかの対応は女性スタッフがすべて行っていますのでご安心ください。
「要再検査」の場合は早めの受診を。潜在的肝炎に注意
患者さんと接する際に気をつけていることは?

何らかの症状があってこのクリニックに来られていますので、その不安をなんとか取り除いてあげたいと思うんですね。それが治るものなのか、どういう症状が出てくるか、治癒や軽快までの期間、または、長期間の治療が必要かどうかなど、単に「薬を飲んでください」だけではなく、今後の見通しを必ずお話しするようにしています。また、必ずしも僕の見立てが正しいとは限りません。お薬を飲むとどういう状態になると予想されるか、もしそうならない場合は来院してください、こんな症状が出てきたらすぐに来てほしい、など、一歩先のことをお伝えするようにしています。
今後、どのように診療を続けていきたいですか。
一番の目標としては、地域住民の方に、この場所にできて良かったなと思っていただけるクリニックにすることです。それには、僕一人の力だけでは駄目で、受付や看護師のスタッフ全員で取り組まないといけないと実感しています。そのため、スタッフが楽しく、働きやすい職場でないといけないと考えています。ギスギスした環境では、患者さんへの良い対応はできませんよね。患者さんに、来院して良かったなと思われる雰囲気を保っていけるよう、尽力していきたいです。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

健康診断などで「要再検査」となっても、忙しい、怖いという理由で放置したり、遅らせてしまいがちです。当クリニックでは多くの検査に対応できますし、夜は午後8時まで診療していますので、先延ばしにせず、早めに受診いただきたいです。特に女性は、2016年の厚生労働省の調査によればがんによる死因の中でも1位は大腸がんですので、便潜血検査だけでなく、内視鏡検査もぜひ受けていただきたいです。また、肝炎について、血液検査でHBs抗原、HCV抗体が陽性であれば、精密検査が必要にも関わらず、あまりピンとこないためか、潜在的な患者さんがまだいるとされています。僕はもともと消化器が専門でしたので、たくさんの肝炎患者さんを診てきました。現在、B型肝炎、C型肝炎は薬で治療が可能ですので、不安がある方はいつでも相談に来ていただければと思います。