多胡 親孝 院長の独自取材記事
TAGOデンタルクリニック
(戸田市/西川口駅)
最終更新日:2025/12/29
西川口駅からバスで約5分。喜沢一丁目停留所からすぐの場所にある「TAGOデンタルクリニック」。明るく清潔感のある院内が印象的な同院は、かかりつけの歯科医院として、口の中の症状に幅広く対応。中でも、大学院で歯ぎしりに関する研究にも取り組んだという多胡親孝(たご・ちかたか)院長は「噛み合わせ」の治療に注力している。同院では、虫歯や歯周病の悪化や、顎関節症、歯が割れることの原因にもなるという噛み合わせの不調に対し、専門性の高い検査や診断、治療を実施。口の中の問題を根本から解決することで、地域の人々が末長く、健康に過ごすことができるよう努めている。そんな同院の診療について、多胡院長に話を聞いた。
(取材日2025年11月11日)
噛み合わせの治療に力を入れる
最初にクリニックを紹介していただけますか?

当院は、地域の皆さまのかかりつけ歯科医院として、虫歯や歯周病の治療といった歯科一般から、入れ歯、噛み合わせ、インプラント、矯正、審美歯科まで、総合的に診療しています。その中で、患者さんが不調を訴える部分だけでなく、口全体の機能を診て根本的な原因から治療することを心がけています。例えば、虫歯の場合はその歯だけを治療しても同じ場所に再発することがあります。それは、根本的な原因が解決されていないからです。インプラントやセラミックの詰め物やかぶせ物、矯正なども、あくまで治療する手段の一つでしかありません。局所的にではなく、口の中を総合的に診断し治療することが長い目で見ると大切です。そのため当院では、口の中を総合的にしっかりと診断した上で、必要な治療について説明し、選択肢を提示して、患者さんに選んでいただく方針です。
力を入れていることはありますか?
噛み合わせの治療です。良い噛み合わせとは、顎関節の痛みなどの症状がなく、自分の天然の歯や、詰め物やかぶせ物をして治療した歯が早期に壊れることもなく、歯茎などの歯周組織に余計な負担がかからず、歯周病が悪化しないようなバランスの取れた状態です。そうしたトラブルをすべて含めて「機能障害」といいますが、それがない状態が良い噛み合わせです。成人の噛み合わせと小児の噛み合わせは、まったく違うということもポイントです。小児の場合は、これから乳歯が永久歯に生え替わり、顔面の骨格が完成して成人になっていくにあたって、その骨格を良くするために治療を行います。一方で成人の場合は、顎関節の痛みや治療したところが壊れてしまうなどの問題が起きる原因が、噛み合わせの悪さである場合に、骨格のバランスも取れていて、顎関節の症状などの機能障害がない状態をめざして治療を行います。良い噛み合わせをめざすというゴールは一緒です。
口の中の不具合や顎関節の症状の原因が、噛み合わせの悪さであることは多いのですか?

非常に多いと思います。例えば、歯周病を予防したり、悪化させたりしないためには歯磨きが大切だといわれます。確かにそれは否定しませんが、歯周病が悪化する大きな原因の一つは、歯に過剰な負荷がかかっていることです。歯というのは常に負荷がかかる場所です。食事の時などもそうですが、最も負荷がかかっているのは眠っているときの歯ぎしりや食いしばりです。そのときの負荷が、歯自体や歯周組織、顎関節に大きな影響を与えています。その過剰な負荷を避けるためには、接触しているのが歯同士である以上、噛み合わせの問題への対処が必要になります。つまり、噛み合わせをいかにコントロールするかが重要になってくるのです。
専門的な検査や診断、治療で適切な噛み合わせをめざす
噛み合わせが悪いと他にどのような症状が出ますか?

最初に現れる症状で多いのが、歯がしみるようになる知覚過敏です。歯ぎしりや食いしばりで歯に強い力がかかると、その力が歯の根元に集中するといわれています。すると歯の根元の構造が壊れ、歯の表面のエナメル質が欠落して中の象牙質が露出するといわれています。象牙質は網目状の構造をしているため、冷たさなどの刺激が歯の神経に伝わり、しみるようになると考えられます。また、歯には体の他の部分と違って自己修復能力がありません。そのため、かかった力が疲労として蓄積してしまいます。そして、その疲労が限界を超えると歯が欠けたり、過剰にすり減ったりするなど、さまざまなトラブルが起きます。そのトラブルが歯に起きるのか、歯茎に起きるのか、あるいは顎関節に現れるのかは、人それぞれです。
噛み合わせが悪いままだと、どうなってしまうのですか?
歯周病なら悪化して歯が抜けてしまいますし、顎関節であれば痛みや音、開口障害、顎の変形も出現してしまいますし、虫歯でもないのに歯の神経が死んでしまうなど、さまざまなトラブルが考えられます。また、入れたインプラントが壊れてしまうこともあります。それはなぜかというと、インプラントをすることになった歯を失った原因が解決されていないからです。そこにインプラントを入れても、悪い状態の噛み合わせ戻しているだけになってしまいます。これは、詰め物やかぶせ物での治療でも同様です。駄目になった部分だけを治療していると、同じことが繰り返されてしまいます。そうならないようにするためには、まずは詳細な診査・診断が重要になります。
どのように診断を行うのですか?

噛み合わせというのは、単に噛んだ時の歯の当たり方だけではありません。歯というのは横にずれたり、物を食べる時に円運動をしたりしています。つまり、上下だけでなく左右の動きも含めた、非常に複合的な動きをしているのです。そのため、エックス線やCT、口腔内写真の撮影や姿勢の観察など「止まっている」状態での検査と、実際に患者さんに口を動かしてもらったり、専用のシートを用いて睡眠中の歯ぎしりを測定したりするなど「動いている」状態での検査の両方を、特殊な機器も用いながら行います。そして、両方の検査結果を照らし合わせることで、より実際の顎の動きに近いデータを得ることができ、適切な治療につなげることができます。
自分自身で健康を守るという意識を持ってほしい
どのように治療をするのですか?

診断の結果によって異なりますが、多いのは歯の高さが足りないことで顎がずれているケースです。その場合、大人では「MEAW」という特殊な矯正装置を用いて、歯の1本1本を三次元的に動かすことをめざし、高さのコントロールを図ります。乳歯列期の子どもの場合は、「オーバーレイ」と呼ばれる特殊なかぶせ物を第一乳臼歯と第二乳臼歯に装着し、生えてくる永久歯の高さのコントロールを図ります。そうすることで顎の成長の方向の誘導が期待でき、正しい噛み合わせにつながります。また、出っ歯や受け口などの改善も期待できます。オーバーレイも、噛み合わせを考慮して形状を作るので、説明用のサンプルのような不自然さは少なく、天然歯のような自然な形態をめざせます。
話は少し変わりますが、先生が噛み合わせに注目したきっかけは何だったのですか?
歯学部の学生だった頃、噛み合わせを専門にしている先生方の集まりに出席しました。当時はまだ今ほど注目されている分野ではなく、重視していない先生も多かったように思います。しかし私は非常に科学的で説得力があると感じ、「これからの歯科医療だ!」と強く興味を持ったのが始まりです。その後、開業まで長年勤めた歯科医院で噛み合わせ治療について多くを学びました。さらに、働きながら神奈川歯科大学の社会人大学院で歯ぎしりの研究を行い、論文も発表しています。大学院での研究経験は、歯科医師としてのものの見方を大きく変えてくれました。客観的で科学的な視点を持って診療にあたり、先入観を持たずニュートラルでいることの大切さを教えられたのです。
読者へのメッセージをお願いします。

現在は、自分の口の中の状態を知り、管理していく時代です。歯科医院はもちろん困っているところを治療する場所ではありますが、悪くなったら治療することを繰り返すのではなく、患者さん自身で健康を守ることが重要だと思います。そして、噛み合わせが悪く過剰な負荷がかかる状態であれば、治療したところがすぐに壊れてしまうこともあります。ですから、顎が痛い、口を開けるとカクカクと音がするなどの機能障害がある場合はもちろん、前歯が噛んでいなかったり、逆に噛みすぎて下の歯が見えていない、顔が歪んでいる場合。さらには、治療した歯がすぐに駄目になってしまう、歯周病がいつまでも良くならないといった場合には、噛み合わせが悪い可能性があります。一度、ご相談にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/55万円程度、セラミックを用いた補綴治療/13万2000円~、MEAWを用いた矯正/115万5000円~、オーバーレイ/40万円~

