永久歯が抜けたらインプラントも選択肢
治療から術後の流れを解説
松本歯科医院
(堺市西区/鳳駅)
最終更新日:2021/10/12


- 自由診療
何かの原因で歯を失った場合、義歯やブリッジ、インプラントなどの治療法がある。それぞれにメリットやデメリットがあり、適するケースも異なってくる。その中でも、義歯やブリッジよりも新しく、自由診療となるインプラント治療について、他の2つよりも優れた治療法であるというイメージを持っている人は多いのではないだろうか? 治療法は、医学的な見地と患者の希望とを考え合わせて選択すべきもの。患者が納得し、かつ満足できる効果を期待できる治療法が適用されるべきだろう。そこで今回、インプラント治療にはどんな特徴があり、どのようなケースで採用されるのか、長期間にわたって生活の質(QOL)の向上につながることを基準に治療法を選択しているという「松本歯科医院」の松本航院長に、話を聞いた。
(取材日2020年4月9日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qインプラント治療の特徴やメリットについて解説してください。
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A
インプラント治療は、チタン製のネジを顎の骨の中に埋め込むという治療法で、骨の中に埋まっている部分をインプラントと呼びます。インプラントの上につく歯の形をしたかぶせ物は、インプラントとは別のものです。チタンは人間の体に優しい、生体親和性の高い金属で、チタンだからこそインプラント治療が成立します。インプラント治療の大きなメリットは、両隣の歯を削ったり、金具をかけたりする必要がないということです。一方、長期安定性については、どの歯を治療するのかによって異なります。例えば、前歯から6番目の歯や犬歯など、特に力がかかる歯については、現在のところインプラント治療のほうが優れているといえるでしょう。
- Qおおよその費用や治療期間を教えてください。
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A
インプラント治療は自由診療なので、クリニックによって費用に差があります。インプラントのメーカーはとても数多くあり、製品価格もまちまちです。当院では、顎の骨の中という特殊で、過酷な環境でも、長期にわたって劣化しないことを重視して選んでいます。高価ですが、長期にわたって生活の質(QOL)の向上に役立つ治療を提供するためには、品質をしっかり確認したものを使用しています。当院では、費用は消費税別で1本40万円が基本です。治療期間は、インプラントが骨に定着するための期間が必要で、最短で半年と考えてください。
- Qインプラント治療のためにどんなことを重視されていますか。
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A
長期安定性を重視して、信頼できるブランドのインプラントを使用することが、やはり最も大事にしているポイントです。また、インプラント治療は「よくわからないから恐い」という方が多いので、患者さんが不明点や疑問が解消できるまで、専用のコンサルテーションルームで時間をかけて丁寧に説明します。治療計画については、医学的な見地だけでなく、患者さんのもつ価値観も合わせて考えます。また、手術室や大学病院で導入されている滅菌装置を用いるなど、安全に手術を行うための環境をしっかり整えています。さらに、どうしても恐いという患者さんのために、緊張した気持ちをリラックスさせる笑気ガスを使用することもあります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1カウンセリング
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専用のコンサルテーションルームで聞き取り、説明が行われる。なぜ歯を失ったのかなどについて確認され、現在、歯がどういう状況なのか、今後、どのような推移が予想されるのかなどについてわかりやすく説明を受けることで、自分の口の中の状態を知ることができる。インプラント治療を適用するかどうかについては、現状把握ができ、患者が要望を伝えた上で判断されるので、カウンセリングが複数回にわたることも少なくない。
- 2検査
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レントゲン、歯科用CTを使って肉眼では見えない歯の根や顎の骨の状態についてチェックし、歯の型採りが行われる。また、インプラントを入れるためには、口腔内をできるだけ清潔な状態にしておくことが大切な条件となる。このため、歯肉のチェックが行われ、必要と判断された場合は、歯周病の治療が先行することもある。口腔内を清潔に保つことは治療を受ける上で非常に大切なので、カウンセリング時から歯磨き指導も行われる。
- 3手術
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表面麻酔をした上で、注射器で時間をかけて麻酔が注入される。さらに、歯科衛生士によるクリーニング、口の周囲の消毒が行われ、手術着に着替えて手術室に移動する。手術中は意識があり、所要時間は短い人なら30分程度。手術のプロセスについては、CT画像などを用いて事前に手術のシミュレーションが行われているため、スムーズに進行していくことがほとんど。手術後は隣接したリカバリールームで休憩の後、帰宅できる。
- 4定着期間
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手術の翌日に受診して、問題がなければ1週間後に抜糸。その後、インプラントが骨に定着するまで、3ヵ月程度の期間が必要となる。インプラントを入れた部分以外に何らかの問題がある場合は、この期間に治療やケアが行われる。定着が確認されると歯茎の処置と型採りを行い、かぶせ物を制作、装着する。かつてはインプラントとかぶせ物はセメントで固定されていたが、現在は細菌の侵入リスクの少ないネジ式が主流となっている。
- 5定期メンテナンス
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インプラントが骨に定着し、かぶせ物がついた後は、少なくとも3ヵ月に一度のメンテナンスを長期にわたって受ける必要がある。受診すると歯と歯茎の状態をチェックし、歯周病にかかってインプラントの周囲の歯茎が腫れないように、正しい歯磨きの仕方などについてもしっかりと指導を受ける。インプラント治療をした歯は、自然の歯と若干違う形状をしているので、とりわけ歯茎との境目のブラッシングにはこつが必要なのだそう。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/手術料:5万5000円(1部位)、インプラント体:27万5000円、骨造成術:5万5000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。