通院困難な患者宅を訪問
慢性期から終末期までをサポート
春日部在宅診療所ウエルネス
(春日部市/春日部駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
春日部市内牧を拠点に、半径8km圏内の在宅医療を行う「春日部在宅診療所ウエルネス」がある。笹岡大史院長は慢性期や終末期の高齢者・成人から、障害がある子どもまで多世代の通院負担を軽くして笑顔を増やしたいという思いから日々奔走している。ベビーブームから超高齢社会になった今の医療のあり方について、その訪問診療チームに同行しながら取材を行った。終末期の患者宅では体調を聞き取りながら薬を処方し、家族には「無理をしないでできる範囲で温かく見守ってあげましょう」と伝えるなど、心の領域にまで踏み込んで診療する笹岡院長の姿が印象的だった。また相談員として訪問診療チームのリーダーを務める杉村円さんには、現場スタッフとしての働きがいや、現場の役割分担などについても語ってもらった。
(取材日2020年3月13日)
目次
貴い命を預かる仕事にやりがいを感じながら、生き生きと働くスタッフチームが訪問
- Q院長先生にとって共に働くスタッフはどのような存在ですか?
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A
【笹岡院長】在宅医療は私1人ではできないですから、スタッフは「忠恕(思いやり)」の理念を共有しながら、地域医療で求められる役割を担ってくれる大切な仲間です。診療所の名前でもある「ウエルネス(Wellness)」の意味は、「輝くように生き生きしていること」ですが、当院の職員も人の命に直接・間接的に関わることができる貴さや使命感を感じ、生き生きと働いてくれています。一方、3人に1人が高齢者となったわが国では、在宅医療が医療の中の大きな柱になり、じっくりと患者さんと向き合う時間と場所があります。患者さんとご家族が元気になる姿が身近に感じることができて、これほど素晴らしい医療はないと思います。
- Q現場スタッフの役割についてもお聞きします。
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A
【杉村さん】ケアマネジャーなどの多職種連携の窓口となっているのが相談員で、訪問する時には医師の助手や運転もします。今日は、終末期に自宅で過ごしたいという患者さんに院長と看護師の3人で伺って処方箋を手配し、この後の心配事について家族と相談しました。次に認知症を患い、膝を悪くされて寝たきりになっている患者さんのお宅では、血圧のチェックや不安に思われていることなどについてアドバイス。最後の訪問先は老々介護のご夫婦でしたが、看護師が採血して、医師が診療を行い服薬や食事面の状況を伺い、生活指導も含めたサポートを行いました。さらに、医療物品の管理や保険請求・制度まで知っていることが仕事に役立ちます。
- Q日々のスタッフの働き方はどのようになっていますか?
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A
【杉村さん】当院では、皆が正確に効率よく業務することを念頭に置いており、地域の事業所とも連携を図りながら、患者さんへの対応を行っています。女性スタッフのほとんどが、育児と仕事の両立を図っています。日々、職員同士協力し、チームワークを強化しているところです。そんな雰囲気が仕事へのモチベーションにもつながっていると思います。そして向上心を常に持ちながら日々知識習得に励んでいます。また、私が一番大事にしているものとして「人間力」があります。誰でも組織の中の一員として業務をしていく中で、不平不満は出てきますが、意識的にお互いを美点凝視することで職場も明るくなります。
- Q患者さんやご家族と接する時に気をつけていることは?
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A
【笹岡院長】やはり患者さんやご家族と同じ目線に立つことです。聞きたいことを自由に聞けるような雰囲気づくりも大切だと思っているので、深刻な状況ではない患者さん宅では安心させるためにも、時にはユーモアも必要だと考えて明るく振る舞っています。しかし深刻な状況であれば、姿勢を正して、どうすればご本人もご家族も満足される看送り方ができるかを、じっくりと本人家族と話し合います。 【杉村さん】患者さんもご家族もさまざまですから、その多様性に対応できる柔軟性を持つことです。また私自身、祖母の介護や子育てもしているママですから、ご家族と同じ目線に立ったアドバイスができる強みがあると思います。
- Q在宅医療と外来や入院医療との違いについて伺います。
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A
【笹岡院長】外来診療では患者さんが来院するので医療従事者にとっては効率的ですが、患者さん本位にはなりません。一方で、在宅医療は患者さんのもとへ私たちが伺う立場で主役は患者さんです。体調の悪い時こそ受診させるのではなく、医師が伺うのが思いやりであり、患者さんやご家族に喜ばれます。また訪問診療は、患者さんは普段の生活を続けながら医師が伺うので、通院時間や待ち時間ゼロです。患者さんが元気で健康に過ごすためには薬だけではなく衣食住の生活環境を整えることが大切で、医師の腕の見せ所です。病院勤務の医師の方々には、ぜひセカンドキャリアとして在宅で働くことも視野に入れてもらいたいと思います。