通院困難な患者と家族をサポート
在宅医療の質の向上もめざす
春日部在宅診療所ウエルネス
(春日部市/春日部駅)
最終更新日:2026/02/25
- 保険診療
春日部市内牧を拠点に半径8km圏内の在宅医療を行う「春日部在宅診療所ウエルネス」。笹岡大史院長は慢性期や終末期の高齢者・成人から、障害がある子どもまで多世代の通院負担を軽くして笑顔を増やしたいと日々奔走する。終末期の患者宅では家族も温かい言葉でサポートするなど、心の領域にも踏み込んで診療を行う同院。そんなケアを可能にするのが、現場を支えるスタッフと専門分野を有した非常勤医師たちの存在だ。痛みの治療と緩和ケアに精通した加藤実(かとう・じつ)先生も、同院を支える非常勤医師の一人。働く環境を整備し、人材を支え、新たな在宅医療体制の構築をめざす笹岡院長と、病院の医師・在宅の医師での連携が患者や家族の満足度につながると語る加藤先生に、在宅医療の現場での働きがいや役割分担などについて語ってもらった。
(取材日2025年12月16日)
目次
患者と家族にとってより良い在宅医療につなげるために、スタッフの働く環境にも配慮
- Q現場スタッフは在宅医療においてどんな役割を果たしていますか?
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A
▲医師・看護師・相談員がチームで患者に寄り添う
【笹岡院長】大きな病院では専門ごとに役割分担が決まっていることが多いのですが、在宅医療スタッフは非常にマルチタスクです。中でも特に重要なのが、医療やケアの質を維持するための橋渡し役です。患者さんやご家族と密接に関わり、容体が変化したら迅速に医師と連絡を取ります。また患者さんやご家族の精神的サポートも行い、不安やストレスの軽減にも尽力していますね。他にも病院との入退院調整、ケアマネジャーさんとの連携、在宅医療制度を理解した上で適切なアドバイスをすることも役割の一つです。現場のスタッフは培った多様な経験とスキルを生かしながら、多岐にわたる重要な役割を果たしてくれています。
- Qこちらの在宅医療の特徴を教えてください。
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A
▲情報を共有することでスタッフ同士も助け合える環境をつくる
【笹岡院長】24時間対応が求められる在宅医療において、スタッフ同士が協力して相互にサポートし合えるよう、環境の整備に尽力しています。育児と仕事の両立が図れてやりがいも感じられるというのは、仕事のモチベーション向上にいい影響を与えるのではないでしょうか。スタッフが気持ち良く働けることで、患者さんへ良い診療が届けられると思います。また、幅広い疾患や特定の治療が必要な患者さんにも対応するためには、多分野の医師の協力が不可欠です。当院では、緩和ケア、循環器内科、小児科、外科、放射線科、血液内科、認知症など、各分野に精通した非常勤医師が多数在籍しており、多様で専門的な医療を提供できる体制が整っています。
- Q加藤先生も非常勤医師として活躍されているそうですね。
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A
▲週1回勤務する加藤先生。患者宅や施設に訪問し、診療を行う
【加藤先生】もともと子どもから高齢者まで痛みの診療に長年携わり、春日部市立医療センターでは緩和ケア病棟を立ち上げました。そこで入院中の患者さんを在宅診療につなぐにあたり、医療者として患者さんが在宅でケアを受けることのリアルを知りたいと思い、現在病院勤務を続けながら週1回こちらで診療にあたっています。緩和ケアの経験を生かし、病気の治療だけでなく、ご自宅でも安全な方法で体や気持ちのつらさを和らげていくためのお手伝いをしています。多分野の医師と連携し合うことで、複数の目で診て意見交換ができ、より質の高い医療を提供できるのが、ここのクリニックの魅力ですね。
- Q在宅診療において大切にされていることは何ですか?
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A
▲医師・スタッフたちは患者が話しやすい雰囲気づくりを心がける
【加藤先生】「患者と家族を中心に据えた、希望をかなえるための医療」をめざし、患者さんの希望を前提に、僕たちに何が手伝えるかを考えるようにしています。特に在宅医療では、病気は「生活」の中の一部。主役は患者さんとご家族ですから、不安や伝えたい想いにじっくり耳を傾けて信頼関係を築き、理解も得ながら一緒に進んでいけたらと思っています。ここでは患者さんと向き合う時間を最大限確保できるよう、訪問の際は医師と看護師、事務が各自プロフェッショナルに役割を果たしつつ、接遇面以外で効率化を図っています。チャットツールなどの情報共有の仕組みもしっかりと確立されているので、スタッフ間での円滑な連携が可能です。
- Q在宅医療に対する今後の展望をお聞かせください。
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A
▲在宅医療の重要性と魅力について語る笹岡院長
【笹岡院長】これからの医師は、今必要とされている分野を見極めていかなければならないと思います。社会からどんな医療が求められているのか、常にアンテナを張っていくことが大切でしょう。そういう視点で考えると、在宅医療は今後よりニーズが高まっていく分野だと感じています。実際、病院に勤務し緩和ケアを行っていた医師が、患者さんやご家族の生活の質の向上にも貢献したいと在宅医療に転向するケースは少なくありません。また在宅医療に興味を持ってくれる若い医師も増えている印象です。医師になって最初に在宅医療を経験し、知見を広めたいと考える人もいるようですね。一緒に充実した在宅医療につなげるために尽力できたら幸いです。

