山村 恭一 院長の独自取材記事
いつもジェネラルクリニック
(相模原市南区/古淵駅)
最終更新日:2025/09/03

古淵駅から徒歩約2分の医療ビルにあるのが、「いつもジェネラルクリニック」だ。急性期疾患・慢性期疾患問わず、内科・外科・皮膚科そして小児科まで、地域を守るかかりつけ医として診療科を限定せず幅広く対応している。休診日を設けず、平日夜間や土日祝日も診療にあたるなど、患者ファーストの姿勢を貫いているのが特徴だ。2025年8月に院長に就任した山村恭一先生は、これまで救急・集中治療分野を専門としてきたとのこと。「救急医療現場での経験や知識を、かかりつけ医としての診療にも生かして、地域医療に貢献していきます」と語る。そんな山村院長に、診療のことや地域医療への意気込みを聞いた。
(取材日2025年8月5日)
「いつも」気軽に立ち寄れるクリニック
最初にクリニックを紹介していただけますか?

クリニック名に「いつも」とあるとおり、休診日や昼休みを設けず、土曜日・日曜日・祝日も診療しています。特に、月曜日と水曜日は21時まで診療しており、夕方以降に体調を崩しやすいお子さんや、会社帰りの方でも気軽に受診できる体制です。私自身は、これまで救急医学・集中治療医学を専門に東京都立多摩総合医療センター、千葉大学医学部附属病院、東京都立小児総合医療センターなどで、小児から成人までの重症患者さんを診療し、日本救急医学会救急科専門医を取得しました。その傍ら、初期研修時の先輩である金児民(きむ・あみん)前院長から声をかけていただき、当院の立ち上げ当初から非常勤医として診療に携わってきました。2024年の春からは常勤となり、2025年8月に金先生が理事長専任となるのに伴い、院長職を引き継ぐことになりました。
どのような診療をしているのですか?
風邪・胃腸炎などの急性期疾患から、生活習慣病をはじめとする内科的慢性疾患、擦り傷・切り傷・やけどなどの軽い外傷や外科的疾患、アトピー性皮膚炎・湿疹・イボなどの皮膚疾患、花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー疾患まで、診療科を限定せず幅広く診療しています。新型コロナウイルス感染症の流行もあり、これまでは感染症を中心とする急性疾患の患者さんに特に多く利用いただいてきました。一方で、今後さらに力を入れていきたいと考えているのが、生活習慣病をはじめとする慢性疾患の診療です。私がこれまで救急診療に携わってきた経験からも、比較的若くして脳卒中や心筋梗塞などにかかる方もいれば、元気に長生きしている方もいます。その差には、生活習慣病などの日頃の健康管理が大きく関わっています。救急科医だからこそ伝えられる経験や感覚をもとに、成人の生活習慣病などの健康管理には、より積極的に関わっていきたいと考えています。
こちらをかかりつけとして利用する患者のメリットは?

先述のとおり、受診の敷居が低いことは一つの売りですが、一番肝心なのは診療の質の部分だと思っています。私は救急が専門ですが、当院にはさまざまな専門家が在籍しており、院内で医師同士が意見を交わす機会も多くあります。一般的に、1人で診療しているクリニックでは新しい知見を得る機会が限られますが、当院では大規模病院ほどではないにせよ、「過去にこういう症例を経験した」「最近はこういうことが話題になっている」といった情報を、異なるバックグラウンドを持つ医師同士で共有できています。これは私たちにとって非常に有益であり、患者さんにとっても大きなメリットになると考えています。あとはやはり、在籍しているほぼすべての医師が、縫合処置ややけどの処置などの、外科的疾患の対応が可能なことでしょうか。これを実現できるクリニックは、思っている以上に多くはないはずですし、非常に価値あることだと思っています。
自然体で、人としてより患者の日常に寄り添う診療を
訪問診療も開始したそうですね。

これからは高齢者の増加がさらに進み、クリニックや病院だけでは対応しきれなくなることは明らかです。通院自体が難しい方も今後ますます増えていくでしょう。そうした方すべてに入院や施設入所をしていただくことは現実的ではありません。当院は開院8年目を迎えた今年、訪問診療を開始しました。在宅医療は今後より一層重要になると考えています。また、幅広い病気や急に出現した症状に対応する救急医療と訪問診療は、意外にも相性が良いのではないかと感じています。まだ始まったばかりですが、今後は在宅療養中の患者さんも包括的にサポートできる体制を整えていきたいと考えています。
小児診療の経験もお持ちと伺いました。
医師になる前は小児科医をめざそうと思っていたんです。結局救急科医になったのですが、縁あって都立小児総合医療センター救急科でも経験を積む機会に恵まれました。専門性の高い小児救急科医たちに師事し、直々に指導・トレーニングを受けられたのは、今振り返ってもかけがえのない経験です。当院は子どもの患者さんの比率がとても高く、主訴は風邪やアレルギー疾患、軽度の外傷が大多数ですが、その中にあるリスクを見逃さず必要な医療へつなげることが大切です。もちろん、私は小児科医ではないので、専門性を要する症状の患者さんは適切な医療機関へ紹介しますが、今後もプライマリケアに従事する医師として、お子さんたちの診療には力を注いでいきたいです。ある意味で、小児科医を志していた当初の夢もかなっている形ですね。
患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

本格的にクリニック診療に携わってまだ1年ちょっとで、偉そうなことはあまり言えません。しかし、この1年を経て何となく考えているのは、自然体を大切にしたいということです。最初は、「患者さんから好かれたほうが良いかな」とか、評価を気にしすぎるあまり、少し無理をして自分を演じていたところもありました。しかし、今はそんな場当たり的な好印象を狙っても意味はないと感じています。優しさや愛情は最大限持ちつつも、医師としてきちんとお伝えするべき病状や治療について真摯に伝え続けることで、自然と患者さんから信用されていくのではないでしょうか。
ピンチを救うヒーローのような姿に憧れ救命救急の道へ
医師を志したきっかけと、救急の道に進まれた理由は何ですか?

父が外科医、母が看護師という家庭で、幼い頃から医療を身近に感じてはいました。医師になれと言われたことはないですが、自然と志していました。数年間祖父の在宅介護に携わった経験もきっかけの一つ。看護師の母の存在もあり、自宅でハイレベルな看護が実践されていました。私は医師になりましたが、医療の根源は看護だとも思っており、看護師という職業へのリスペクトは強いです。救急の分野に飛び込んだのは、初期研修医時の経験からです。病棟で急変があると、救急科医たちがすぐに駆けつけ、蘇生処置にあたります。当時の私は何もできず困惑する中、迅速に処置を進める先生たちの姿がヒーローのように見え、単純ながら本当にかっこいいと思いました。そこから救急科医を志すようになりました。実はその時の先輩方の一人は、現在いつもジェネラルクリニック千葉院院長の望月健太朗先生だったんです。改めて振り返ると、不思議な縁や運命を感じますね。
休日はどのように気分転換していますか?
自宅で好きなレコードを聴きながらゆっくり過ごしたり、神社仏閣を巡るなど、癒やしを求めて静かな時間を過ごすことが増えました。読書や資格試験の勉強をすることもあります。医学部入学以来、医学知識の習得ばかりに時間を取られてきたあまり、一般常識が抜け落ちていると感じることがあります。それを補うためにも、教養を身につける一環で資格試験を受け始め、先日はFP(ファイナンシャル・プランナー)試験に合格しました。救急科医時代には過酷な生活リズムで心身ともに酷使してきましたが、今は意識して身体のケアやリフレッシュすることにも、意識的に努めています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まず、地域の医師会に加入することになりました。これにより、健康診断やワクチン接種なども行えるようになりますので、より地域の健康推進に貢献していきたいと考えています。前院長の金児民先生が作りあげてきた当院の歴史や良さも残しつつ、今後は自分なりにさらにパワーアップさせていきたいと思っていますので、患者さん皆さまには、ぜひとも期待していていただきたいなと思っています。来院患者さんが多い時には、十分な診察時間を確保できないこともあり心苦しいのですが、フレンドリーなスタッフとともに、いつでも皆さまをお待ちしています。