清野 洋一 院長の独自取材記事
せいの耳鼻咽喉科クリニック
(品川区/西大井駅)
最終更新日:2021/10/12

「実はわが家にも小さい子どもがいるので、小さいお子さんは大歓迎なんですよ」と顔をほころばせるのは、「せいの耳鼻咽喉科クリニック」の院長、清野洋一先生。この清野先生こそ、数多くの手術に携わり、患者と家族を笑顔にしてきた頭頚部がんのエキスパートだ。これまでのキャリアを生かしつつも、地域に根ざした耳鼻咽喉科クリニックとして、大学病院レベルの高度な医療をより気軽に提供したいと、2018年6月に開業した。そんな清野先生に、開業への思いから今後の展望まで、じっくり聞いた。
(取材日2018年7月4日)
すべての患者に大学病院レベルの診療を
まずはクリニックの特徴について教えてください。

急性扁桃炎、急性中耳炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎などの炎症性疾患から難聴、めまい、声帯ポリープ、睡眠時無呼吸症候群といった疾患に至るまで、耳鼻咽喉科全般の診療に対応しています。また、小さなお子さん連れでも安心してお越しいただけるよう、ベビーカーのまま中へ入れる設計で、おむつ交換台や授乳室も用意してあります。開業してまだ1ヵ月ですが、小さなお子さんから高齢の方まで、幅広い患者さんにお越しいただいています。また、頭頚部外科では鼻腔がん、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がんなど各種頭頚部がんや甲状腺腫瘍の診断を行っています。もし、首から上のがんに関していきなり大学病院はハードルが高いと感じている方や、一度専門の医師に診てもらいたいという方などにも、ぜひ気軽にご利用いただきたいと思っています。
まるで大学病院のような設備がそろっていて驚きました。
私はずっと大学病院にいたので、この点はこだわりました。開業にあたってはNBI内視鏡から重心動揺計、聴力検査室、エコー検査など、クリニックながらも大学病院のレベルを意識して設備を整え、専門的な医療を提供しています。また、大学病院などで採用しているのと同じハイパワー空気清浄機を3台設置し、空気中のPM2.5からウイルス、細菌、微粉塵、花粉や臭いなどをすばやく除去できるよう配慮しています。風邪のはやっている季節など、病院に行くことで他の病気に感染してしまうかもしれないと不安に思われる親御さんも多いと思いますが、院内感染を防ぐため最大限の努力をしておりますので、安心してお越しいただければと思います。
患者と接する時に心がけていることを教えてください。

治療は医師が上から押しつけるものではありません。自分の体がどのような状態なのか、なぜその治療が必要なのかを患者さんに理解し、納得していただけるよう、丁寧でわかりやすい説明を心がけています。そのために大切にしているのが視覚化です。例えば中耳炎で鼓膜がどのような状態になっているか画像で見せたり、眼振という目の動きを動画で見せたりすれば、患者さんも言葉だけの説明より納得できると思います。治療の中には停滞期があるものもありますが、きちんと理解できていないと、「この病院は駄目なんじゃないか」と短絡的に考えてしまうケースもあります。そうならないためにも治療前にきちんと理解し、納得していただくことを大切にしています。また、治療に関しては小さいお子さんに対してやたら抗生物質を使えばいいというわけではないと感じています。お子さんの様子をよく診て、必要最低限の処方をしておりますので、安心してご相談ください。
最善の治療のためにも、適切な時期に適切な診断を
医師をめざしたきっかけや、開業までの経緯をお聞かせください。

高校生の頃、国立がんセンターの設立を描いたノンフィクションを読んで、「がんの世界は面白い!」と思ったことがきっかけで医学部に入りました。国立がん研究センター東病院、東京慈恵会医科大学附属病院及び附属柏病院で過ごした20代から40代の頃は、とにかく頭頚部外科の医師として自分にできる精一杯のことをやろうと、頭頚部がんの手術を無我夢中で頑張ってきました。そしてこのまま大学病院にいて管理職になるよりも、50代では自分のやりたい医療をやろうとずっと思っていました。長年手術に携わった身として、もっと適切な時期に適切な診断を受けることができていたらと思うケースが少なからずありました。だからこそ患者さんにとって最初の窓口となるかかりつけ医という立場で、経験を積んだ自分が早い段階で的確な診断をすれば、患者さんが最善の治療を受けられることになるのではないかと思い、開業を決意しました。
先生ならではの連携医療も特徴的ですね。
医療の高度化が進む中、先端の医療現場でそれぞれの専門分野のエキスパートと呼ばれる先生方の手腕を間近に見てきました。だからこそ、目の前の患者さんに対して自分にできることは全力を尽くしますが、自分以上に優れた先生がいる分野に関しては、その先生にお任せすることも大切だと思っています。幸い、私にはこれまで培ってきたネットワークがあり、必要に応じて各分野のエキスパートをご紹介させていただくことが可能です。地域の開業医として病気のスクリーニングをし、大学病院や他院の先生方と連携しながら、患者さんが最善の選択をできるようサポートしていきたいですね。
印象に残っている患者とのエピソードはありますか。

特にこの方と1人に絞るのは難しいのですが、今まで診てきたがんの患者さんは名前を聞いただけでわかります。実は大学病院時代の患者さんには特に伝えずに開業したのですが、何人かの患者さんがご自分で調べてわざわざここまで来てくださったんですよ。看護師にも驚かれるのですが、患者さんの名前を聞いただけでぱっとあの方だとわかります。それだけでなく、患者さん本人だけでなく、ご家族のお顔まで思い浮かべることができますよ。がんの患者さんばかりだったということもありますが、大学病院時代はそれくらい一人ひとりの患者さんに思い入れをもって診ていました。これからはホームドクターとして地域の皆さんとそのような関係を築いていければと思っています。
地域の開業医として、与えられた場所でベストを尽くす
お忙しい毎日だと思いますが、先生のリフレッシュ法について教えてください。

ずばり、家庭です。大学病院時代は休日に家族と食事に行った時でも、常に緊急連絡が入らないか携帯を気にしているような状態で、体は休みでも頭の中ではずっと緊張状態が続いていました。また、通勤に時間がかかったので、わが子が起きている時間帯に会うことはほとんどできない生活でした。だから今は家族と普通に接することができるのがうれしくてたまりません。一般的には開業してすぐは忙しくて大変な時期なのかもしれませんが、私にとっては仕事も家庭も今が本当に楽しくて仕方ないですね。これからは自分も家族も患者さんも、みんなが笑顔になれるよう頑張っていきたいと思っています。
今後の展望をお聞かせください。
たとえ他で診てもらっている時でも、何か本当に困った時は遠慮なくご相談いただければと思います。もちろんセカンドオピニオンも大歓迎です。大学病院レベルの水準で診断をし、その方に最善と思える治療計画を提案したり、必要に応じて本当に信頼できる専門の医療機関や先生をご紹介させていただいたり、地域のかかりつけ医としての責任と重要性は今後さらに増してくることと思います。私はずっとサッカーのゴールキーパーをやっていたので、ちょっとカッコつけすぎかもしれませんが、何かあった時に「困った時はここへ行けば大丈夫」と思っていただける守護神のような存在になれたらいいなと思っています。これからも地域に根差したかかりつけ医として、そして困った時の最後の砦として、全力で患者さんとご家族の笑顔を守っていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

私はずっと「与えられた所でベストを尽くす」ということを信念にやってきました。大学病院で一般的な耳鼻咽喉科疾患のほかに毎年多くの頭頸部がんの手術に携わってきたという経験を生かして、これからは地域のかかりつけ医としてベストを尽くしていきたいと思っています。また、開業して1ヵ月の間にインターネットで私を見つけて遠路はるばる頼ってきてくださった患者さんも数人いらっしゃいました。大学病院時代は初診でいらした患者さんを私が診るということはありませんでしたが、ここでは私1人ですから、より身近に、そしてより気軽に専門的な医療を実感していただけるのではないでしょうか。気になることやお困りのことがあればどなたでもお気軽にご相談いただきたいと思います。