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松岡 俊江 院長の独自取材記事

松岡婦人科クリニック

(松山市/勝山町駅)

最終更新日:2021/10/12

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック main

伊予鉄バス愛大農学部前バス停から徒歩約5分の場所にある「松岡婦人科クリニック」。約20年間産婦人科の医師として研鑽を積み、院長としても勤務経験も重ねた松岡俊江院長が、2018年に婦人科に特化して開業したクリニックだ。一人ひとりの患者と時間をかけて話をし、同じ女性として共感を持って寄り添う診療スタイルは多くの患者から信頼を得ており、院長を頼って以前の勤務地など市外から足を運んで来る患者もいるそうだ。親しみやすい院長の人柄もあるからか、スタッフも訪れる患者もいたわるやさしい雰囲気が漂う。「女性の体と心の健康を支援するクリニック」として、幅広い年齢層の女性たちに門戸を広げ、それぞれのライフステージが豊かなものになるように支援したいと語る院長に詳しく話を聞いた。

(取材日2019年7月10日)

患者に寄り添いともに考える、ゆとりと実りある診療を

医師という職業を選んだ理由と、開院のきっかけを教えてください。

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック1

姉が医学の道に進んだので、私も後を追うように医師をめざしました。姉も現在産婦人科の医師をしているので、困った時や悩んだ時には助けてもらうこともある心強い存在です。開業する前は東温市の産婦人科クリニックで院長として勤務していた経験があったこともあり、思い切って自分の思う診療を実現しようと、出身地であるこの場所で開業しました。あまり大々的に開業のお知らせもしないまま診療を始め、最初は近所の方たちが来てくださり、やがて人から人へと話が伝わって、以前勤務していたクリニックの患者さんたちも市外からわざわざ足を運んで来てくださるようになりました。

開業にあたって診療科を婦人科に絞られたのはなぜですか?

産科はどうしても、お産が最優先になります。喜びが大きくやりがいのある仕事ですが、外来の患者さんがいてもお産が迫った妊婦さんがいるとそちらを優先せざるを得ません。他の患者さんに申し訳ない気がしますし、患者さん自身も妊婦さんがいると少し遠慮してしまうことがあるようです。皆が妊婦さんを気遣うようなことは素晴らしいことなのですが、婦人科患者さんをしっかり診てあげられる場を提供できればと婦人科に集中することにしました。今は一人ひとりの患者さんと、ゆっくりと時間をかけて話をすることができています。患者さんと一緒に考え、最終的に納得して帰っていただけるように診療を進めることを心がけています。

開業されて、ご自身が変わったと思う点はありますか?

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック2

患者さんを診る時間にゆとりができたのと同時に、私の心にもゆとりができたようです。以前はとにかくすべてにおいて急いでいて、患者さんの話を「それは違います」と遮ってしまうことまであったのですが、今はきちんと耳を傾け、じっくり話し合うことができています。特に更年期障害の患者さんの場合、外出して誰かと話をしているだけで楽になることもあるので、診察や指導というより世間話をしている時間のほうが長いこともあります。また私自身が更年期障害に共感できる年齢になってきたので、必要な薬を処方するだけでなく「つらいですよね」と患者さんの立場で思いやることができるようになりました。今のスタイルは私に合っているなと感じていて、毎日がとても充実しています。

行くところがわからず悩んでいる女性の入り口に

どのような症状で来られる患者さんが多いのですか?

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック3

多いのは更年期障害に悩む方たちですね。閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた期間、女性ホルモンの減少で、のぼせやめまい、動悸、精神不安定などさまざまな症状が出るのですが、多くの方は「体調が悪いけれどどこで診てもらえばいいのかわからない」と困って来院されます。例えばめまいの症状は、内科、耳鼻科、それとも婦人科なのか判断できなかったり、なんとなく不調が続いて婦人科と心療内科で迷っていたり。まず婦人科で相談してもらえれば、切り分けをして必要なら適切な医療施設も紹介します。更年期障害の場合は何より本人にその症状を理解していただき、「時間が経てば落ち着くものですよ」と伝えます。それだけで気持ちが楽になることもあると思います。前向きな気持ちになってもらえることが一番大切ですね。

心の支えになってあげることも大切な役割の一つなのですね。

婦人科の症状は独特で、いわゆる「病気」ではなくホルモンなど体の生理的な変化の延長線上で出てくる症状があります。更年期障害だけではなく、生理痛や月経前症候群(PMS)などもそうです。必ず治療が必要なわけではありませんが、症状があると生活に支障が出ます。そして同じ悩みを持つ人にしかつらさをなかなか理解してもらえないという苦しみもあります。ですから悩んだら、どうかためらわずに来院してください。実際に、PMSでイライラしてご家族に当たり、一方的に悪者にされてつらいけれど、自分では家族にうまく説明できないと悩んでいた患者さんがいらっしゃいました。資料を渡して原因や症状、治療法をお伝えすると、「これで家族に説明して、協力してもらえます」と笑顔を見せてくれました。診察室で悩みやグチを話すだけでもスッキリするものですよ。

骨粗しょう症も診られるそうですね。婦人科ではどのような治療をするのですか?

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック4

骨粗しょう症は骨密度が低下して骨折しやすい状態になる病態です。加齢や代謝性疾患などのほか、女性は閉経後に女性ホルモンの減少が影響し発症することがあり、その場合は女性ホルモンを補充していきます。骨折などをしない限り自覚症状がないため、何かの機会に一度検査されると良いと思います。閉経が早かったり、ご両親に骨粗しょう症で圧迫骨折の経験があったりする方は早めの検査をお勧めします。当院ではレントゲンではなく超音波で骨密度を計測するので被ばくの心配もありません。

どの年代の女性も、これからの人生が楽しくなるように

若い世代の方も来院されますか?

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック5

学生さんや10代の方でピルの処方を希望される方も増えてきました。ピルというと避妊のために使うイメージがありますが、最近は生理痛やPMSのコントロールをめざした治療にも使われ、安全性や副作用についても以前よりもはるかに改善されています。生理痛などで悩んでいる方は相談していただければ、症状に合った治療法を提案します。また若い方の場合、近年は学校での性教育が早い時期に行われていることからも推測できるように、性に関する悩みや疾病を抱える年齢層が低くなっているようです。ご自身で少しでも心配なことがあれば、取り返しがつかなくなる前に受診してください。親御さんや周囲の大人たちも気をつけてあげて、気になれば早めの受診を勧めていただきたいです。

中高年ではどんなことに注意すると良いでしょう?

例えば更年期障害は、糖尿病、甲状腺機能障害、卵巣機能不全など、紛らわしい疾病が潜んでいる可能性がありますので、体の不調を我慢せず相談していただきたいです。また、市町村などが行う健康診断で毎年子宮がん検診を受けていても、超音波検査を受けなければ卵巣の異常は発見できなかったという例もあります。機会を見つけて婦人科で詳しい検査をすると、思わぬ病気を早期発見できるかもしれません。当院でも超音波検査などで子宮や卵巣の異常を診断していきます。女性の平均寿命が90歳に近づいている時代です。閉経後もまだまだ人生は長く続きます。骨粗しょう症に気づかず骨折をしてその後寝たきりになってしまってからでは、早く気づいていればと後悔しても時間は取り戻せません。これからの人生もずっと楽しく過ごせるように、老齢期に入る入り口をスムーズにつなぐサポートをしていきたいと思っています。

最後に先生からメッセージをお願いします。

松岡俊江院長 松岡婦人科クリニック6

病院は病気になってから行くところと思っている方もいるかもしれません。でも今は病気を防ぐために行ってみることが勧められている時代です。少しでも悩んだり迷ったりした時は、ぜひ早めに受診してください。たとえそれが空振りでもいいのです。何もなければ安心できますし、何かあっても早く見つかれば早く治療を始められます。婦人科は女性にとって、さまざまな病院の「入り口」の役割を持つのかもしれません。どこに相談すれば良いかわからない時にまず相談してもらえれば、正しく次の道筋を示します。どの年代の方も、それぞれのライフステージに応じて充実した日々を送れるように、私たちにお手伝いをさせてください。

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