松田 敏明 院長の独自取材記事
コハルデンタルクリニック
(大阪市阿倍野区/文の里駅)
最終更新日:2021/10/12
文の里駅からすぐ、ガラス張りとウッドデッキからのぞく「コハルデンタルクリニック」。歯科医院ならではの緊張感を少しでも取り除き、カフェのような雰囲気にすることにこだわったのは、松田敏明院長だ。同院は予防歯科に注力しながらも、虫歯や歯周病への治療のほか、審美的な治療やインプラント治療、子どもの治療や歯列矯正の相談など、幅広い診療に対応。患者のさまざまなニーズに応え、地域に根差した歯科医院として貢献することをめざしている。「サロンに行くような感覚で受診してほしい」という想いを持つ松田院長に、診療への考えについて話を聞いた。
(取材日2020年8月20日)
入りやすい雰囲気を重視。理想はカフェのような場所
カフェのような雰囲気ですが、どのようなこだわりがあったのでしょうか?
院内に足を踏み入れたときの歯科医院特有の緊張感が嫌だったので、受付周りは特にカフェやサロンのような雰囲気になるようこだわりました。私は昔から歯科医院に通院することが多かったのですが、入った瞬間に目に映るホワイトカラーや歯を削る音、薬のにおいがすごく苦手で……。当時の記憶から、院内に入ったときの雰囲気を違ったものにしたいという気持ちが強くありました。高校生の頃から仲の良い友人が内装業をやっていたこともあり、彼にデザインをお願いしたんです。歯科の仕事をよくやっているという設計士さんにも協力をお願いして、3人でいろいろ相談しながら進めることができました。そのおかげで、イメージをかなえてもらえたと思っています。
どのような患者さんが来院されていますか?
開業した当初は高齢の方が多い印象がありましたが、現在は小さなお子さんから高齢の方まで、幅広い世代の方にご利用いただいています。小さいお子さんの診療がきっかけで、ご家族で通院されるようになったケースも多いですね。相談内容は一般的な虫歯や歯周病の治療に加え、お子さんだと歯列矯正、30代から50代の方はセラミックなどの審美的な治療、高齢の方は入れ歯など、さまざまです。どのような患者さんのニーズにも応えられるように、豊富なメニューを用意しています。
先生の専門分野について教えてください。
口腔外科に憧れていた時期もあったのですが、最終的に選んだのは総合診療科です。もともと開業を視野に入れていて、歯科治療全般に対応できるようになることが大切だと思い、臨床研修では一般歯科の先生のところに勤務しました。開業前まで勤めていたクリニックの院長はアメリカでインプラント治療の研鑽を積まれた方で、専門的な知識や技術を学ばせてもらうことができましたね。私は患者さんの希望があると断りたくない気持ちがある一方で、できないことを無理してまでやろうとするのは良くないと考えています。興味がある治療や、患者さんからのニーズがあればまずは勉強してみて、診療に取り入れるかどうかを判断するようにしています。
重視しているのは「治療ではなく予防すること」
注力して取り組んでいることはありますか?
開業当初から予防歯科に注力して取り組んでいて、それは今でも変わっていません。日本では「歯科医院は治療するところ」というイメージがあると思いますが、アメリカでは「予防するところ」と認識されているんですよ。当院での診療を通して、口腔内の状態を一緒に考えるきっかけになればと思っています。そのため、診療では「放っていたら治療期間が長くなってしまいますよ」というお話をしています。定期的にクリニックに通うことで、短い間隔で口腔内の状態を把握できるため、トラブルがあった場合もすぐに対応できて治療期間が短くなる上、費用も軽減できるでしょう。当院のスタッフも共通認識を持って働いてくれているので、クリニック全体で注力して予防歯科に取り組んでいます。
スタッフさんも先生の理念を共有されているのですね。
3人いるスタッフ全員が私と同じ気持ちでいてくれているので、心強く感じています。予防を徹底するために、当院では歯科衛生士が担当制でメンテナンスと定期検診を行っています。そうすることで、患者さんの口腔内の些細な変化にもすぐに気づくことができますし、毎回同じ歯科衛生士が担当すると患者さんとの関係性も築けます。何より、安心感につなげていただけるのではないでしょうか。歯科医師一人だけだと診療は成り立ちませんから、スタッフも私のスタンスを共有してくれていることは、本当にありがたいです。
お子さんの診察はいかがですか?
お子さんも同じで、小さいうちから予防を意識することが大切です。小児歯科に関しては、どこに虫歯があったのか、なぜ虫歯になったのかなど、親御さんに丁寧に説明しています。というのも、お子さんの日々の歯磨きにおいて大切なのは、親御さんによる仕上げ磨きです。小学校2年生までは仕上げ磨きをしている家庭も多いのですが、できれば4年生までは磨いてあげてほしいというのが本音です。お子さん自身で問題なく磨けるようになるまでは、親御さんが思っている以上に時間がかかるだけでなく、小学校3年生以降は歯の生え替わりのタイミング。大きさや配置も変わってくるため、これまでと同じ磨き方だと磨き残しにつながる可能性があるのです。ほかにも、歯並びの相談を受けることも増えました。小児矯正に関しては専門のクリニックを紹介しているので、気軽に相談していただければと思います。
訪問歯科診療にも対応していると伺いました。
知り合いから声をかけてもらったことをきっかけに、訪問歯科診療を開始しました。開業当初は外来だけだったので、診療の幅が広がって新鮮ですね。歯科衛生士と一緒に、主に社会福祉施設に訪問して、高齢の方の口腔ケアや治療に従事しています。利用者の方からは、「お口の中がすっきりした」と喜んでもらうことが多く、これまでとはまた違ったやりがいを感じています。通院が難しい方こそ定期的に口腔ケアを受けていただくことが大切なので、今後も取り組んでいきたいと思っています。
患者の幅広いニーズに応え続けていきたい
診療で心がけていることはありますか?
診療スタンスとしては、治療に関する選択肢について、長期的な視点からメリット・デメリットを説明するよう心がけています。治療のプランを練る際はこちらが主導にならないように、まずは患者さんの希望を聞いて適切な方法を一緒に考えていきます。こちらが主導となって話を進めてしまうと、どうしても私が良いと思う治療の話だけをしてしまいますから、患者さん主導で話を進めて、要望をかなえられる治療をしたいと思っています。お子さんの場合だと、まずは歯科医院に慣れてもらえるような対応を心がけています。怖がるようであれば、初診ではユニットに座ってもらうだけにするなど、無理に治療は行いません。お子さんのペースに合わせて治療を進めるようにしています。
今後の展望について教えてください。
医療は日進月歩ですから、時代に乗り遅れないような歯科治療を提供していきたいと考えています。患者さんによって希望されている治療やゴールは異なりますので、それぞれの要望に応えられるような技術を用意しています。そのためには、定期的な勉強会への参加は欠かせません。さまざまな選択肢を提示するために、今後も知識と技術は深めていきたいですね。あとは、顎関節症に悩んでいる方からの相談も増えました。顎関節症に対しては、これまではマウスピース型装置でアプローチすることがほとんどでしたが、ボツリヌス毒素製剤の特徴を診療に生かせないかと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
患者さんにお伝えしたいのは、「しっかりと歯を磨いてください」ということに尽きます。虫歯と体質は密接に関係していて、まったく歯を磨いていなくても虫歯にならない方がいるのも確かです。しかし、虫歯にはならなくても歯周病がかなり進んでいる場合もあります。ほかにも、歯ぎしりや食いしばり、さらには糖尿病などの生活習慣病も歯周病に影響すると考えられているので、口腔内に違和感があれば一度ご来院ください。「歯医者に通院する」と思うと、どうしてもハードルが高く感じてしまいますから、美容室やネイルサロンに通うような感覚で予約を入れていただければと思います。お子さんに関しても、幼いうちから歯並びの問題を取り除いていただいたり、口腔ケアを頑張っていただいたりすると、体への有益な効果が期待されます。歯並びが悪いと姿勢にも影響すると考えられているので、早い段階で相談していただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5000円~、セラミック治療/8万8000円、ホワイトニング/1万6500円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。