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岡田 健一郎 院長の独自取材記事

のぞみハートクリニック

(大阪市淀川区/新大阪駅)

最終更新日:2021/10/12

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック main

新大阪駅から徒歩4分、オフィスビル1階にある「のぞみハートクリニック」は、2018年5月にオープン。外来では循環器内科、呼吸器内科を中心に内科全般の診療を行っている。また、地域のかかりつけ医としてだけでなく、オフィスで忙しく働く人々の健康管理を担っているクリニックだ。岡田健一郎院長は、心臓疾患を専門とし、多くの診療経験を持つ先生。病院勤務時代に、感じた課題に取り組むべくクリニックを立ち上げた岡田院長に、現在の診療内容と、今後の方針について語ってもらった。

(取材日2018年7月24日)

母を治療する父の姿に感銘を受け、医師の道へ

小さい頃から医師をめざしていたのでしょうか?

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック1

当院で一緒に診療を行っている父は、この春まで40年間、大阪市西区で内科医院を開業していました。しかし、私はあまり勉強熱心ではなく(笑)、後を継ぐことは意識していませんでした。ところが私が高校時代、母が尿路結石を患ったことがありました。痛みや血尿がひどく、自宅でもがき苦しんでいたのですが、私はそばにいても何もすることができませんでした。診療を終えた父が急いで帰宅して母を診たところ、痛みが落ち着いたんですね。その様子を見て、自分の無力さを痛感し、父の姿に感銘を受けたことで、初めて医師になろうと思いました。

どのような学生生活でしたか?

大阪医科大学ではソフトテニス部に入部しましたが、練習も上下関係もかなり厳しく、部活のために大学に行く感覚でした。父にも「クラブと医学どっちが大事なんだ」と怒られたほどです(笑)。でも社会人になってから、部活仲間とのつながりをありがたく感じています。私は特に、卒業後に大学を離れ、大阪大学大学院に進みましたので、疎遠になりかねないものなのですが、学生時代に築いた関係はとても強く、今も2年に1度OB会があり、情報交換をし、みんなの頑張りが励みにもなっています。

循環器内科に進んたのはなぜですか。

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック2

内科ではがん患者さんを多く診るのですが、当時はまだ治癒は難しい病気で、私はどう患者さんと向き合えばいいのか自信が持てなかったんです。心臓には、がんはほぼありませんが、全身と関係している臓器です。外科的な要素と内科的な要素がともにあり、また、手術可能な心臓の状態かどうかの診断など、他の科から頼られることも多いんですね。私は、回り道をして医学部に入学して人より社会人になるのが遅かったので、早く一人前にならなければ、早く人の役に立てるようにならなければという思いが強かったんです。やりがいのある分野に行きたいと循環器内科に進み、大学院では心不全の研究を行っていました。

慢性心不全の再発予防や予後改善へ向け尽力

心臓疾患を専門とし、チーム医療に取り組むようになったきっかけは?

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック3

心臓疾患はカテーテルなど治療介入によって、すぐに患者さんの回復が期待できる一方で、予後改善、再発予防ための心臓リハビリテーションは重要です。医師だけでなく、看護師や薬剤師、理学療法士ら多くのスタッフの力が必要となります。そのため、大阪府済生会千里病院勤務時に組織を立ち上げ、当時まだ少なかった「チーム医療」に取り組み始めました。

チーム医療の重要性はどういうところにありますか。

どんな心臓疾患でも最終的には心不全になって、息切れやむくみ、倦怠感などが出現し生活の質が低下します。また、2025年以降で約3人に1人が65歳以上という時代がやってきます。治療法は進化しているものの、人の心臓では、1日10万回の心拍がありますので、年齢とともに心臓が弱ってくるのは避けられません。心臓だけを診ていてもだめなんですね。看護師が生活習慣の見直しについて指導し、理学療法士が運動療法、管理栄養士が食事療法、薬剤師が薬物療法についてそれぞれ患者教育をしていく必要があります。いろんな職種が介入し、チーム医療で取り組んでいかないと、超高齢社会には対応できないと思います。

こちらでは訪問診療、特に慢性心不全の治療やケアに尽力しています。

訪問診療では内科全般に対応しており、循環器疾患のみならず、がんなどの在宅緩和ケアから看取りまで行っています。特に慢性心不全の治療やケアに関しては、当クリニックは、東京都豊島区にある、慢性心不全の在宅ケアを中心に行う「ゆみのハートクリニック」と同法人ということもあり、そのノウハウを生かして診療にあたっています。こちらには心臓疾患を得意とする看護師や、ソーシャルワーカーも在籍しており、さまざまな分野のスタッフとともに、病院とも連携してチーム医療で取り組んでいます。

病院ではなく、クリニックで在宅ケアをと思ったのはなぜですか。

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック4

病院で心不全の方を多く診てきましたが、患者さんは水分や塩分などの食事制限や、投薬管理、定期的な運動が求められます。しかし、どれだけ治療や指導を行っても、ご自宅に帰ってからもその生活を維持することは難しく、再入院する方が後を絶ちません。一方で、厳しく生活を律することでうつ状態になってしまう患者さんもいらっしゃるんです。こういう状況が医師としてとても悔しく、患者さんの生活目線で診ていきたいと思うようになりました。

困ったことがあれば外来で何でも相談してほしい

在宅緩和ケアでは、意思決定など難しい面も多いかと思います。

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック5

まずは患者さんの希望を確認することが重要です。在宅ケアでは、どういうスタッフが必要か、介護度はどの程度か、家族の支援はあるか、家屋の状況はどうかなどを考え、患者さんとご家族、スタッフ全員が一同に会した場で、意思確認を行います。入院が必要な状態でも、患者さん本人が「家に帰りたい」と希望された段階から在宅ケアが始まります。しかし自宅に戻ると、病院から見放されたのでは、関係が切れたら二度と入院できないのではと不安になることもあります。そのため、まずは病院の主治医と私たちの間に信頼関係があることを伝え、患者さんや家族に安心していただくことが大切なんです。当クリニックには病院勤務経験があるソーシャルワーカーが常勤しており、病診連携もスムーズな体制を整えています。

先生が患者さんと接する際に心がけていることをお聞かせください。

常に謙虚な姿勢で、丁寧に接すること。そして、自分が患者さんの立場だったら、僕の家族だったらと考えて接するように心がけています。医師と患者さんの関係ですと、こういう治療の選択肢がありますよ、自由に選んでください、というスタンスになりがちです。患者さんは専門家ではないので、決められない、先生決めてくださいとなることもあります。僕であれば、または僕の母親なら、という視点でお話ししたり、僕のこれまでの診療経験に基づいてアドバイスしたりすることで、患者さんの安心材料になればと思っています。

開業したばかりですが、どういう診療を行っていきたいですか。

岡田健一郎院長 のぞみハートクリニック6

外来診療では生活習慣病や風邪など、内科全般の診療を行っています。心臓疾患を持つ近隣住民の方や、ビジネス街ですのでお勤めの方が中心で、僕が以前勤務していた病院で担当していた方も多く来院してくださっています。呼吸器内科の診療経験もあるので、長引く咳なども診療可能です。何でもお困りのことがあれば一度ご来院いただければと思います。必要であれば他の専門的な機関にご紹介しています。また、訪問診療、在宅ケアにおいては、どんな背景の、どんな疾患の方でも全員お受けすることにしています。他院で断られた方、在宅ケアは難しいとお考えの方もご相談いただければと思います。今後はより一層、訪問診療や看取りを含めた在宅ケアの拡充を考えています。病院勤務から転身して、まだまだ浅いですが、大きなやりがいを感じながら日々の診療に取り組んでいます。志を同じくする仲間を増やしていきたいですね。

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