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宮田 彰 院長の独自取材記事

双泉会クリニックすみだ

(墨田区/曳舟駅)

最終更新日:2020/04/13

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墨田区向島にある在宅療養支援診療所「双泉会クリニックすみだ」。地域に密着した在宅医療の提供により、病院に通うのが困難な患者の療養生活を24時間・365日体制で支えている。2018年末から3代目の院長を務める宮田彰医師は、ヒューマニズムに基づく人に優しい医療を理想とする消化器内科のベテラン。理知を振りかざすことなく、わかりやすい言葉でゆっくり穏やかに語りかけてくる様子に、病床の患者を思いやる、訪問診療中の姿が垣間見える気がした。そんな宮田院長に、将来を決定づけた幼少時の記憶や、在宅医療の良さと難しさ、今後の課題などについて聞いた。
(取材日2020年3月18日)

命への尽きない興味と死への恐怖が、医師の道を決めた

先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?

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僕は幼い頃、「生命」というものが、ものすごく気になる子どもだったんです。小さくてもろい存在だった子どもが、成長すると大きくて強い大人になるけれど、時がたてば、杖を使うようになって、やがて動けなくなってしまうのはどうしてなのか。そして、失った生命はどこに行ってしまうのか。すごく気になるんだけれど、いくら考えても全然わからない。そのことが、すごく恐ろしく感じました。そして、幼い頃から生命に関する本を読んだり、いろいろ勉強をしてみましたが、自分の知りたい答えはどこにも見つかりませんでした。どこに隠れていようと、死はいつか必ず訪れる。そういう生命の終わりに対する畏怖と関心が強く自分の中に居座っていて、医学の道に進めば、何かわかってくるのではないのだろうか。ひょっとすると、生命の終末という恐ろしい問題を先延ばしにできるんじゃないか(笑)、と思って医師になることをめざすようになりました。

消化器内科を選択した理由は?

ふるさとの高知で医師免許を取得し、医局の雰囲気が良いことに惹かれて、ここなら良い勉強ができそうだと思い、消化器内科を選びました。大学院での研究テーマは、免疫生体制御。分子生物学の一分野で、今、ウイルスなどの病原体を高感度に検出していく方法として注目されているPCR検査も、ちょうど僕の院生時代に広がり始めた科学技術でした。実は、消化器に興味を持った理由はもう一つあって、お酒、すなわちアルコールを摂取したときに胃や肝臓、膵臓がどのように働くのか、すごく知りたかったんです。土佐人のご多分に漏れず、僕もお酒をよく飲むので、自分にとって身近な生命の営みを解き明かしたいという気持ちがありましたね。

在宅医療に関わることになった経緯を教えてください。

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双泉会で仕事をするようになったのは、このクリニックの院長になる少し前、2018年4月に葛飾区のいずみホームケアクリニックで勤務を始めてからのことです。けれど、それまでも在宅医療と関わりがなかったわけではありません。大学院を修了して学位を取った後、高知県内の総合病院の消化器内科で2年間勤務したのですが、その病院では訪問診療や往診を日常的に行っていました。その後、1997年から約15年間勤務した都内の病院も、同様に地域密着型の医療を提供していたので、双泉会にやって来た時にもまったく抵抗はありませんでした。

時間をかけた診療で、患者の隠れた変化まで見つけたい

先生にとって、在宅医療の一番良いところは?

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病院に勤務し、一人ひとりの患者さんに十分な診察時間を取れなかった時に比べ、じっくりと時間をかけられるのが何よりの魅力ですね。病院の診察のように3分程度だと、できることは本当に限られます。入ってこられた患者さんに、お変わりないですか?と伺った後は、血圧を調べますね、お胸を診ますね……などと手順を踏み、今日も順調と診断したら、お薬の説明をしておしまいです。けれど、訪問診療では、必要に応じて、お一人に20分や30分を費やすことで、患者さんのいろいろな部分を深く診ることができます。今、在宅医療に関わっているからこそ、昔を振り返って、ひょっとすると3分ではわからなかった、隠れていた変化があったのではないかと考えるようになりました。

在宅医療の難しい点を挙げるとしたら、どんなところですか?

在宅医療というのは、将棋に例えるなら、早指しの将棋のようなものだと思うんです。さっき、診療に時間をかけられると言ったのとは反対に、その中の場面場面では、すばやく“次の一手”を考えなければいけません。訪問診療は月2回が基本です。外来の場合は、患者さんが少し調子が悪ければすぐに来ていただくことも可能ですけれど、在宅の患者さんは往診のご依頼がなければ、次の訪問までお待ちいただくことになります。従って、決まったスケジュールで伺った際、患者さんの急な変化に直面することが多く、そんな時にはクルクルと頭を働かせて、最善の手を見つけ出さないと間に合わないのです。

瞬時の判断力とともに、準備を怠らないことも大事になりそうですね。

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はい。患者さんのお宅に到着してから、しまった、あれを忘れたなどということがあってはご迷惑になってしまうので、準備には神経を使いますね。聴診器とか採血や血圧などの検査機器とか、診療において基本的な道具はまず大丈夫なのですが、たまに困るのが、インフルエンザの検査キットが急に必要になって、切らしてしまっている場合。あと、カテーテルを使用している患者さんのとき、管の交換をしようとしたら、いつも使っているものがなくて焦ったこともありました。慌ててクリニックまで取りに帰るのですが、患者さんやご家族に時間のロスを負わせることになるので、極力そのようなことがないように意識しています。

オンライン診療の推進でより充実した在宅医療の実現を

クリニックの今後の課題についてお聞かせください。

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今、一番注目しているのはオンライン診療で、これを積極的に導入することが今後の目標の一つです。在宅医療とオンライン診療は、すごく親和性が高いと思っています。スマートフォンを使えば、音声通話で患者さんやご家族と現在のご様子について話すのはもちろん、皮膚病変の部分をご自宅で撮影してもらい、その画像をこちらが見ることで、ある程度の診療を行うことも可能になります。定期的な訪問にオンライン診療をプラスして、より手厚く患者さんを見守るイメージですね。双泉会全体でも推進しているところですが、まだまだハードとソフトの両面で不十分な点が多いので、引き続き充実を図っていくつもりです。

先生はお休みのときには、どのように過ごしているのでしょう?

当クリニックは365日・24時間体制を敷いていますが、医師とスタッフの職務は昼・夜に当番分けされ、患者さんがいつでも利用できるコールセンターも整備されているので、各自、休息をきちんと取ることができていると思います。僕は基本的に昼番で、診療は18時まで。いつもほぼ決まった時刻に帰宅して、家族とゆっくり過ごすことが多いですね。翌日の診療に響かないよう、普段はアルコールを控えめにしていますが、土曜・日曜の休日前夜だけは、しっかりと飲んでいますよ(笑)。スポーツをしたり遠くに出かけるようなことはあまりなく、最近はインターネット配信で海外の映画を見るのが楽しみです。強いて運動する時間を探すとすれば、図書館の行き帰りに歩くことぐらいですかね(笑)。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

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2018年12月に院長となってまだ日は浅いですが、定期的にそれぞれの患者さんのもとへ通う時間に、言い知れぬやりがいと責任を感じています。医学、医療において僕が一番大切だと思うのは、ヒューマニズムです。人に対する優しさ。これこそが最も貴重な才能であり、医療関係者に必要なものと信じています。中でも在宅医療は、そうした優しさを持ち続けていないと、良い仕事ができないのではないでしょうか。もちろん、あえて患者さんを甘やかさないことも、それが患者さんのためになる限りにおいて、立派なものです。けれど、僕にはそのような厳しい優しさは真似ができません。だから、これからも人に優しく、思いやりのある医療をめざして頑張っていきます。もし、墨田区とそのお近くで訪問診療の利用をお考えでしたら、ぜひ一度、ご相談ください。優秀な協力医師とスタッフともども、お待ちしています。

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