頻尿の原因と検査・治療の重要性
その裏に多様な病気が潜むことも
後藤けんクリニック
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2023/07/18


- 保険診療
「最近、排尿の回数が多くなった気がする」、「夜中によくトイレで起きるようになった」。そんな体の異変を、単なる飲みすぎ、加齢のせい、と安易に考えてはいけない。「後藤けんクリニック」の後藤健院長は、「頻尿は病気によって引き起こされている場合が少なくありません」と話す。その代表的な例として挙げられるのは過活動膀胱だといい、男性であれば前立腺肥大症、女性では急性膀胱炎も多く見られる傾向にあるのだという。後藤院長によると、中には命に関わる膀胱がんや前立腺がんといった疾患が隠れているケースもあるそう。今回の取材では、頻尿の検査と治療の重要性について詳しく聞いた。
(取材日2021年6月30日)
目次
頻尿を多様な病気のサインと捉えてほしい。早期発見・早期治療のためには、適切な検査・診断が重要に
- Q受診の目安となる頻尿の症状を教えてください。
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A
▲頻尿の症状について話す院長
まず頻尿かどうかは、1日の排尿数で判断します。医学的には、8回までは正常で、9回以上は、頻尿に該当するという定義があります。また就寝後に1回でもトイレで起きれば夜間頻尿と言われます。ただし、頻尿の定義に当てはまっても、ご本人が苦痛に感じていなければ、治療が必要という訳ではありません。また、尿量にも注意が必要で、成人の場合、1日の尿量が1500cc~2000ccであれば正常、3000ccを超えると多尿と判断します。頻尿にはタイプがあり、回数は正常でも尿量に問題があったり、逆の場合もあります。こうした症状の裏には病気が隠れている可能性があるので、早めに受診することをお勧めします。
- Q頻尿にはどのような原因がありますか?
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A
▲院内にはさまざまな配慮がなされている
頻尿は単なる水分の取り過ぎでも起こりますが、この場合は生活習慣の見直しで改善に向かうことがあります。一方、気をつけなければならないのが、何らかの病気が引き起こしている場合。これは非常に多岐にわたりますが、特に怖いのが膀胱がんや前立腺がんといった悪性腫瘍による頻尿です。放っておくと命に関わるので、決して見逃せません。さらに、頻尿を伴う代表的な病気に挙げられる過活動膀胱のほか、尿路結石、男性の場合は前立腺肥大症が考えられますし、女性では急性膀胱炎を発病しているケースも多く見られます。夜間頻尿の場合は、抗利尿ホルモンのバランスが崩れている可能性が考えられます。
- Qこちらではどんな検査や治療が受けられますか?
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A
▲検査を行う部屋
頻尿が疑わしい患者さんに対して、必ず行うのが尿検査。その場で結果が出るので、感染症の可能性などを複合的に確認し、すぐに診断につなげます。必要に応じて行うエコー検査では、残尿や腫瘍の有無といった腎臓や膀胱の状態を確認。悪性腫瘍の疑いがある場合は、尿の細胞診や腫瘍マーカーでの検査を併せて実施します。また、重要なのが自宅で1日の排尿回数や尿量、トイレに行く昼夜の比率を記録してもらう排尿日誌。この数値が、頻尿に隠れる多様な病気を見つける際の貴重な判断材料です。当院では身体への負担が少なく検査が可能ですし、それぞれの病気ごとに治療を施し、重度の尿路結石やがんであれば、高度医療機関と迅速に連携を図ります。
- Q患者と接する上で心がけていることは何ですか?
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A
▲エコー検査は症状を把握するために欠かせない
男女問わず、痛い検査や恥ずかしい検査があるという先入観を持つ方がいるので、最初の問診の際に診察や検査の流れを丁寧にご説明し、安心していただくよう努めています。お話しする際に心がけているのは、常に自然体で接すること。言いにくそうにしている場合は、相手の緊張をほぐしながらこまやかに質問を投げかける、親身な対応を徹底しています。
- Q普段の生活で気をつけたほうが良いことはありますか?
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A
▲検査後の説明も丁寧にしてくれる
重要なのは、病気の早期発見・早期治療。排尿回数が多いと感じたら、それに伴う症状があるかどうかも重要です。排尿時の痛みがあれば膀胱炎が疑わしく、尿が出にくい感覚があれば前立腺肥大症、腰の痛みを伴えば尿路結石、血尿があれば膀胱がんの可能性があります。こうした病気を早く見つけることで重症化を防ぎ、適切な治療により回復と健康維持をめざしていっていただきたいです。また、頻尿は生活習慣病との関連も深いので、栄養バランスの悪い食事や運動不足といった不摂生な生活を見直すことも心がけましょう。健康的な生活が、さまざまな病気の予防につながることは言うまでもありません。