南 一郎 院長の独自取材記事
さくら通り みなみ歯科医院
(浦安市/浦安駅)
最終更新日:2024/08/07

さくら通りと市役所通りが交わる東野交差点。各方面からの路線バスも多く通るこの一画に「さくら通り みなみ歯科医院」はある。2018年の開業以来、ファミリー層から高齢者まで幅広い年代の患者が訪れる歯科クリニックだ。南一郎院長は東京医科歯科大学で18年間、義歯や咀嚼機能、噛み合わせなどを専門に、臨床・研究・指導に携わってきた。大学病院で難症例を診てきたからこそ、地域のクリニックとして必要かつ重要な歯科医療は何かを見極める。「患者さんや時代のニーズを捉え、十分な価値を提供し続けたい」と穏やかな口調で語る南院長に、同院の特徴について、またスタッフや歯科医療への思いについても話を聞いた。
(取材日2024年5月8日)
20年、30年後に多くの歯を残せるよう予防に注力
こちらでは予防歯科に力を入れていると伺いました。

はい。「20年、30年後に1本でも多くの歯を残せるように」が当院のコンセプトです。開業前、私は東京医科歯科大学で臨床・研究・教育に従事していました。補綴分野を追究し、全顎治療などの重症疾患の治療にも携わる中で、予防歯科の重要性に気づいたのです。もちろん補綴を専門としてきましたから、クラウン、ブリッジなどの義歯治療には自信がありますが、それ以上に再発させないための環境づくりや、口腔内の良い状態を長く保つことをめざして力を入れています。予防歯科はクリーニングや歯磨き指導だけを指すのではありません。嗜好品の取り方や咀嚼の力加減など、生活に一歩踏み込んで根本から改善を図るのが、当院の考える予防歯科の在り方です。補綴にセラミックをお勧めしているのも、隙間ができにくく汚れがつきにくいため、虫歯の再発予防を考えてのことです。丁寧に診療し、歯が悪くなった要因を捉え、経過を予測した上で提案しています。
予防歯科の処置はどのように行われるのでしょうか?
当院では歯周ポケットが4mm以上の患者さんにはPMTCを保険適用で実施します。専用の機械で歯周ポケット内の歯の表面に付着したバイオフィルムを除去するための処置で、定期的な実施が大切です。歯科衛生士は常時4~5人体制で、先ほどの予防歯科に対する私の考えを共有し、生活習慣や習癖も含め、再発のリスクを下げるための包括的な環境づくりをめざして「アドバイス」というアプローチで提供しています。また、どの患者さんも必ず私がレントゲン写真やポケット診査データ、写真、治療内容、治療計画の妥当性などをチェックしていますが、常勤の歯科医師や衛生士もレントゲンや診査データを診る視点が私とそろうよう、全員にトレーニングも行います。患者さんとの距離が近い歯科衛生士、専門知識を持つ歯科医師、両者から説明することで患者さんの不安を信頼に変えていきたいのです。患者さんも、ご自分の口腔内の状態に詳しくなっていくでしょう。
予防歯科には、歯科医師だけでなく歯科衛生士の活躍が不可欠なのですね。

そのとおりです。クリーニングや歯磨き指導はもちろん、当院の歯科衛生士たちは口腔機能の発達不全や低下にも目を向けているんですよ。例えばトレーニングを通じてお子さんのきれいな歯並びを作るためのお手伝いをしたり、口腔機能の低下から食事が取りにくくなったご高齢の患者さんにアドバイスをしたり、患者さんのお口を総合的にサポートしています。新たな分野についても意欲的に学び、それを歯科情報としてSNSで発信することで、自らの知識を深め続けているんです。その知識を予防歯科の現場で生かしています。
さまざまな治療に対応するための技術と体制を整える
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんの悩みに寄り添い、ご希望に沿った治療が行えるよう心がけています。というのも、町の歯科医院では、大学病院レベルの高度な治療が必ずしも求められているとは限らないからです。ご予算やライフスタイルによっても、めざすゴールは異なります。その思いをくみ取って複数の選択肢を提案し、デメリットも含めてお伝えするようにしています。もちろんどの治療法を選択されても、一つ一つの工程を丁寧に行い、真摯に取り組むことに変わりはありません。さまざまな治療に対応できるだけの技術と体制が、当院には備わっていると思っています。
院内設備や医療機器について教えてください。
補綴治療の一環として、セラミック審美修復システムを導入しています。これは3Dデジタルスキャナーで歯型を採取し、コンピューター制御によってセラミックのかぶせ物や詰め物を作製するシステムです。実は大学院時代からこのシステムの研究に携わっていました。セラミックは審美性があり、汚れがつきにくいというメリットもあります。当院では強度や材料などさまざまな種類のセラミック治療に対応しています。印象材で歯型を採る時と比較して不快感も少なく、治療時間も短いので、患者さんの負担軽減に役立っていると思います。ただすべての治療をこのシステムで行っているわけではなく、歯科技工士さんに依頼する場合もあり、症状に適した治療方法を用いています。その他にマイクロスコープも導入しています。ただ、手の感覚による治療で長年経験を積んできましたので、すべての治療に使うというよりも、最終的な確認をする際に活用していますね。
衛生管理も徹底されているのだとか。

開業当初から感染症予防には特に力を入れ、大学病院と同レベルの滅菌対策をめざしています。治療器具は十分な数をそろえ、高圧・高温洗浄機やクラスBの滅菌器などを活用しています。治療が重なる慌ただしい時間帯でも、クリーンな器具を用意しています。ユニットには屋外排出タイプの口腔外バキュームを備え、吸引した粉じんが屋外に排出される仕組みです。空気清浄機も複数設置し、常に院内の空気を入れ替えるよう管理しています。
患者や時代のニーズを捉え、十分な価値の提供を
ところで、南院長はなぜ浦安での開業を決めたのですか?

もともと浦安市内に住んでいまして、地元で医療貢献していきたいと思っていました。場所を探していたところ、知人からこの場所を紹介してもらったのがきっかけです。周辺にはファミリーから高齢者まで幅広い年齢層の方が暮らし、人の通りも多い立地です。私は東京医科歯科大学卒業後、一貫して義歯や補綴、噛み合わせを専門に、幅広く研究と診療を行ってきました。ここでなら大学病院での経験を生かせるのではないかと思ったのです。患者さんのお悩みはさまざまで、初めて歯科医院を訪れたという方や、デンタルフロスの使い方がわからない方もいらっしゃいます。ただ最近は、全体的に歯科意識が高くなってきていると感じています。治療のたびに予防の重要性をお話ししているので、患者さん側の理解が深まってきているのかもしれません。
開業から月日が流れ、患者さん側の意識も変わってきたのでしょうか?
予防歯科についての理解という意味では、そのとおりだと思います。またそれ以外にも、新型コロナウイルス感染症の流行という未曽有の事態に直面し、この数年間で世の中全体の意識が大きく変わったように感じています。歯科治療やクリニックに関する情報も簡単に手に入りますし、患者さんの目は一層シビアになったと思います。このような時代に私たち医療提供者は、あらゆる面においてクリーンでなくてはなりません。技術の高さだけでなく、治療に関する偽りのない説明や、医療費の明細提示についてもです。当院では開業時よりそのような意識で運営してきましたが、図らずも世の中がそれを強く求めるようになってきたのではないでしょうか。これからも患者さんに対して誠実に、歯科医療に対して真摯に向き合っていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院の歯科医療は、あらゆる面で本質的なレベルに到達したと自負しています。これは私一人では成し得なかったことです。開業以来、チームで進めることの大切さを実感してきました。現在、当院では若い歯科医師の育成にも力を入れています。歯科医師は私を含めて2人体制となりました。技術・接遇ともに十分な価値を患者さんに提供できるよう、これからもスタッフ一丸となって努めていきます。患者さんに向けて定期的にアンケートも実施していますので、気になることは何でもお聞かせください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/49万5000円~、セラミックインレー/7万7000円~、セラミッククラウン/11万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/33万円~、自由診療の入れ歯(両側設計)/44万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。