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伊藤 章 院長の独自取材記事

いとう歯科口腔外科クリニック

(大阪市天王寺区/玉造駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR、地下鉄の玉造駅からともに歩くこと5分ほど。昔ながらの風情をそのまま残す、玉造日之出通商店街の中に、「いとう歯科口腔外科クリニック」はある。ここはもともと、現在の伊藤章(いとう・あきら)院長の父が1972年から歯科を開いていた場所。その後を受け継ぐかたちで、2017年11月に新規開院した。伊藤院長は大阪大学大学院の歯学研究科に約15年間在籍。口腔全般を診る、“口のスペシャリスト”だ。大学での経験を生かし、持病を持つ患者の治療も行っている。伊藤院長は今回の取材で、思い出深い患者とのエピソードを語りながら思わず涙ぐんでしまうような、情に厚い人物。そんな伊藤院長に、自身がめざす医療などを聞いた。
(取材日2018年4月2日)

歯科医院と総合病院の口腔外科の間くらいの存在に

こちらは昨年11月の新規開院ですね。開院するにあたり、院内設備でこだわったことを教えてください。

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ここはもともと、父が1972年に開院した歯科なんです。それを僕が受け継いで、新規開院しました。以前は外装が、れんが造りで、院内も「昭和の歯医者さん」という雰囲気でしたが、内装も外装も全面的にリフォームしました。こだわったのは、車いすや杖をお使いの方も快適にご通院いただけるように、完全バリアフリーにすること。それと連動して、院内は土足で移動できるようにしています。器具も全身管理モニターに点滴、救急カート、挿管セットなどをそろえて、有事にも対応できるようにしました。診療スペースは3つありまして、当院は口腔外科が主体で器具が多いことと、車いすなどでも苦労なくお入りいただけるように、いずれも広めに設けています。

こちらには、どのような患者さんが来られるのですか?

一般歯科の患者さんはもちろんですが、当院は大阪国際がんセンターと連携を図っていまして、その関係で森之宮病院や大阪警察病院などからご紹介いただいた患者さんも来られます。がんなど大病を患っている方も多く、普通の歯科ではなかなか扱えない患者さんを中心に診ています。僕は大阪大学大学院の歯学研究科に15年間いて、ずっと口腔外科をやっていました。その関係で全身疾患の知識も、普通の歯科医師よりは多いと思います。そのことから、いわゆる一般歯科より診られる範囲が広い。一般歯科では対応できず総合病院に送らざるを得ない患者さんも、ここで診させていただけるケースも少なくありません。僕はいわゆる、「町の歯医者さん」になりたいわけではないんですよ。町の歯科医院と、総合病院の口腔外科の間くらいの存在をめざしています。

有病者の治療は、どのようなアプローチで行うのですか?

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がんに限らず心疾患や糖尿病などをお持ちの方も来られますので、初診の際は時間をかけてカウンセリングを行っています。治療の安全性を高めるために、これは必要なことです。治療に際しては血圧と酸素飽和度を測ったり、麻酔を打つ必要がある場合は、その前に心電図を見ます。60歳以上で麻酔が必要な方は、まず血圧を測って体調を見て、危険がないように診療しています。麻酔を打てば成分の関係で必ず血圧が上がるので、それを管理するのは当然だと思っています。ご予約をいただいていても、体調面で不安が見受けられたら、あえて治療をしないこともありますよ。そうやって患者さんの全身管理を行い、安心と安全を心がけています。

歯だけでなく、頬、口、唇、舌、口周り全般が守備範囲

そのほかに、こちらの院の特徴を教えてください。

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口の中のトラブル全般に、対応していることだと思っています。僕は自分は歯科医師ではなく、口腔外科医師だと考えているんです。歯だけではなく頬、口、唇、舌、口蓋、歯茎と、口の周りに関連することは、外でも中でもすべて診ます。外傷で唇をケガされた方が来られたら縫いますし、歯の補綴、顎関節症の治療、小さな腫瘍の治療も行います。口内炎で一番怖いのは、悪性腫瘍との鑑別なんです。疑いがある場合は、早めに検査をするようにしています。一般的な歯科ではあまり行わない細胞診や、組織を取って調べる生検も積極的に行っています。腫瘍が悪性だった場合など、この診療所で手に負えないものは大きな病院と連携してやらせていただいています。

口全般を見る町のかかりつけ医ですね。

そうなんです、まさにそれをめざしているんですよ。僕はこの街の、口腔外科のかかりつけ医になりたいと思っています。例えば心臓が悪ければ、大きな病院で治療してもらいますよね。そうして安定すれば普段は街の内科で薬をもらったり、診療してもらって半年や1年に1回、大きな病院で検査する。あるいは街の内科の医師が、普段から通ってくれている患者さんの心臓に大きな病気を見つけて、総合病院に送る。僕は町にいる側として、そういう医療をしていきたいと思っているんです。開院して間もないので、現状としてはまだまだですが、当院が口腔外科のかかりつけ医として定着するように頑張っていきます。

15年も籍を置いた大学から、開業医に転身しようと思われた理由は何ですか?

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大学に残って、研究職を続ける道もありました。ですが先ほどもお話ししましたように、口腔外科で地域と総合病院をつなぐ立場の歯科医師は少ないんですよ。僕が開業することを選んだのは、自分がその分野の開拓者となって頑張っていこう、大学でやってきたことを町に広げていこう、という思いからなんです。社会が高齢化の時代を迎え、病気のある方が増えてくると、普通の歯科医院では対応できない患者さんが増えてくるでしょう。これからの日本の歯科医療は、ある程度の専門性が求められるようになるでしょうし、僕はそれに応えたいと思っています。自分がパイオニアになって、後に続く人が現れたらうれしいですね。

大きな病気を持つ人にも安心、安全な医療を届けたい

大学時代は、どんな学生だったのですか?

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スキー部に入っていて、冬はずっと雪山に通っていました。当時はスノーボード全盛期で、スキーはダサいという時代でしたけどね(笑)。大学時代は、全日本歯科学生総合体育大会にも出ました。その大会は200人くらいが出場する中で、30番以内だったらポイントがもらえるんですよ。そこで僕がうちの大学のスキー部で創部以来、初めてポイントを取りました。だからといって、全国的にはまったく大したことはないですよ。しかも、歯科学生だけですから。腕前は全然で、好きでやっていただけでしたね。今でも子どもを連れて、兵庫県や滋賀県辺りのスキー場に行っています。

スキー以外に、普段楽しんでいる趣味などはありますか?

子どもと釣りに行っていますね。僕が好きなので、子どもを連れていくんです。アメリカに3年間留学していたことがあって、当時は上の子どもが3歳くらいでした。そのときから、ルアーを投げさせていましたよ。向こうでは自分のアパートの敷地の中に池があって、ブラックバスが釣れるんです。そこで3歳の子どもにルアーを投げさせて、ブラックバスを釣らせていました。そうやって釣れると、子どもも釣りが好きになるんですよね。今は淡路島に釣りに行きます。淡路島って島に渡りますし、ドライブもしながらでちょっとした旅行気分になれて、ちょうどいい場所なんですよ。広い海を前に釣り糸を垂れていると、いい気分転換になりますね。

これまで歯科医師として診療されてきた中で、患者さんとの印象に残るエピソードを教えてください。

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大学に入局して1年目の頃の話です。指導担当だった先生が、患者さんに説明をされる場に僕を同席させてくれました。患者さんはその先生が15年くらい診ていて、もうがんの末期でした。最後に治療法が一つだけあったのですが、副作用が強い。年齢を重ねた方に、負担が大きいのに効果が薄い治療を勧めるのは、医療者側も悩むんです。先生は熟考された結果だと思うのですが、患者さんに「治療法はもうありません。余命はこのくらいです」という話をされました。言わば、死を宣告したようなものですよ。それなのに患者さんは、先生の手を握って「ありがとう」と言われたんです。あの状況で死を宣告された人に「ありがとう」と言ってもらえるのは、いい仕事だなと思いました。あの時の経験が、自分の中で大きな礎になっています。これからも僕は口腔外科を中心に、そういう大きなご病気がおありの方にも安心、安全な医療を届けていきたいと思っています。

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