中村 信之 院長の独自取材記事
整形外科なかむらクリニック
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2023/03/03

高槻市郡家本町の「整形外科なかむらクリニック」へは、高槻市営バスの郡家本郷停留所から徒歩約3分。敷地内に18台分の駐車場も用意され、車でも受診しやすい。2019年10月に移転開業したクリニックは、ゆったりとした広さがあり、リハビリテーション施設も十分なスペースを確保。理学療法士によるリハビリを取り入れ、動作や姿勢の問題を改善につなげることで、原因にアプローチすることをめざしている。今回の取材では、院長の中村信之先生に、クリニックの特徴や整形外科医師として大切にしていること、地域医療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2019年10月17日)
症状を抑えるだけでなく原因を改善することをめざす
どんな患者さんが来られますか。

午前中は高齢者が多く、午後は子どもや学生が中心です。高齢者の場合は、膝、腰、肩、首などの不具合の訴えがやはり目立ちますね。子どもや学生の場合は、けがや腰痛が多く、スポーツをしている人特有のトラブルもあります。また、子育て中の方が、抱っこや沐浴などの世話をして、それまであまり使わなかった筋肉に負担がかかり手首の腱鞘炎になるケースもあります。当院では、小さなお子さん連れの方でも受診しやすいようキッズスペースを用意したのに加え、小学生や中高生が待ち時間に宿題などができるよう、デスクとして利用しやすいスペースも設けています。
患者と接する際に心がけていることを教えてください。
患者さんと相談しながら診療を進めるということです。それだけに、患者さんから「お任せします」と言われると困ってしまいます。骨が折れているなど外傷で受診された場合は、僕のほうから「こうしてください」と言います。しかし、慢性的な症状や加齢に伴う筋力の低下に伴う症状で来られて「お任せします」と言われた際に、例えば「運動をしてください」といっても、なかなか自分からはやってもらえません。患者さんも一緒になって頑張ってもらわないと、快方に向かいにくいことを話して、理解してもらった上で、相談しながら方針を決めていきます。
治療方針を決める上で大切なのはどんなことですか。

期限つきの目標を設定することです。期限つきの目標があって、その目標に向かって行くからこそ頑張れます。もし、一向に目標に近づかないという場合は、どこかに問題があるので、それを患者さんと相談しながら修正を加えていきます。実をいうと、期限つきの目標を設定することは、僕ら医師が自分の診療について判断するためにも必要なのです。
先生がいう「根本にアプローチする治療」とは?
例えば、ボールを投げて肩を傷めたというときは、肩が炎症を起こしているので安静にして、湿布や薬を使うというのが一般的です。しかし、症状を抑えることを図るだけでは良くなったとはいえないと思います。大事なのは、なぜ炎症が起きたのかを探ることです。フォームや練習量の問題なのか、練習後のクールダウンが影響しているのかなど、さまざまな要因を考えて、炎症が起きた原因にアプローチします。そうしないと、また同じようなトラブルが起こります。
しっかりとしたリハビリテーションを提供したい
スポーツ整形にはいつ頃から取り組んできたのですか。

大学病院の整形外科で2年間、基幹病院で2年間の経験を積んだ後に赴任した八尾の病院でスポーツ整形に出合いました。当時、大阪市内にスポーツ整形を専門的に扱う施設があり、その診療部門を八尾の病院が受け持っていたのです。大阪の施設は実業団の監督とつながりが深く、スポーツ選手を診る機会もありました。また、実業団のスポーツチームから、トレーナー派遣、チームドクター派遣の要請があり、バスケットボール部の選手と関わるようになりました。
開業を決意した理由を教えてください。
整形外科では、手術だけでなく、リハビリも大切です。しかし、大規模な病院でリハビリを続けるのは、困難な状況になっています。それで、患者さんにとって身近なクリニックで、しっかりとリハビリを提供したいと考えるようになりました。クリニックは夜の診療もあるので、仕事を持った人が通いやすいというメリットもあります。
高槻で開業したのはなぜですか。

チームドクターとして携わっていた枚方なども候補に入れながら探すと、ある程度の広さのある場所が高槻で見つかりました。もとは内科のクリニックがあった場所で、地域の人も医院の開設を望んでおられたようです。理想の広さには少し足りなかったのですが、それでもこれだけの広さがあり、理想に近い形で開業できると判断し、開業を決意しました。
今回、移転開業されました。
ありがたいことに、患者さんの数が増え、待合の広さが足りなくなり、より広い施設が必要だと思い、移転しました。より健康に生活していただくために、院内でやっていく運動レベルを上げられるよう、フィットネスジムのような設備も必要と考え、より広く、天井の高さもある場所への移転を決意しました。直線で40〜50メートルの走れるコースがあれば理想的なのですが、それはさすがに無理でした(笑)。
地域になくてはならないクリニックへ
理学療法士によるリハビリを重視していますね。

リハビリというと、けん引や温熱療法などの機器を用いたものをイメージしがちです。しかし、患者さんごとに原因を探って、根本的な改善をめざすためには、理学療法士によるリハビリが必要です。例えば、筋肉量が不足して痛みが出ている人に対して、電気療法で温めても筋肉量が増えるわけではありません。一方、理学療法士が体の動かし方をアドバイスして患者さんが体を動かし、筋肉量を増やしていくことで症状の改善をめざせることもあります。また、医師には話しづらいことも理学療法士になら話しやすいということもあるので、患者さんと理学療法士、理学療法士と医師のコミュニケーションを大事にしています。
トレーニングジムを併設し、アスレチックトレーナーとの連携もあるそうですね。
医療機関が行うケアよりも少し強度を高めた運動を行うことで、効率的にパフォーマンスアップやけがの予防をめざしてもらいたいという思いから、トレーニングジムを開設しました。ボールが遠くまで投げられるのを「肩が強い」などといますが、肩周りの筋肉を強化しただけでは、ボールは遠くへ飛びません。一方、体を効率良く動かせば、さほど筋力がなくてもボールは遠くまで飛ぶものですよね。要は体の使い方が肝心ということですね。そういったパフォーマンスの向上や、日々のストレッチで2次的なけがなどを予防するためにも、治療の流れでアスレチックトレーナーと連携し、患者さんの健康意識の向上に努めています。医師、理学療法士、アスレチックトレーナーと密にコミュニケーションが取れるのが当院の最大の特徴ですね。
先生の現在のリフレッシュ法は何ですか。

今はバスケットボールの試合を見るのが楽しいですね。チームドクターとしてチームに関わらせてもらった経験から、バスケの楽しさを教えてもらいました。同時にスポーツ整形に携わる医師のあり方も学ばせてもらったと思っています。チームは解散しましたが、今も選手を追いかけて試合を見に行ったりしています。選手には膝や足首のけがが多く、こういった故障を減らすことができれば、選手として活躍できる期間を長くできると考えています。けがや自分の体のケアの大切さについて知ってもらうため、啓発活動にも力を入れています。
今後の目標を教えてください。
将来的にはスポーツ整形、リハビリのための医療機関として、近畿、関西で広く認知していただきたいと思っています。そうするためには、地元で愛されるクリニックであることが目標です。まずは地域で信頼され、大切な存在となれることをめざします。それが達成できれば、自然に他の地域でも支持されるようになると思っています。