大藪 丈太 院長の独自取材記事
おおやぶ内科・循環器内科
(西宮市/甲子園口駅)
最終更新日:2025/10/15

大阪方面、神戸方面ともに通勤しやすく、ファミリー層に人気があるエリアの阪急神戸線・西宮北口駅。「おおやぶ内科・循環器内科」は駅前の喧騒から離れた住宅街に位置する。2017年に開業した大藪丈太院長が理想とするクリニックの姿は、とても明確だ。勤務医時代に体調で気になることを相談できる医師の必要性を痛感し、病気の治療と平行して、患者が話しやすい雰囲気づくりをし積極的に患者の声を聞くことで、専門知識を駆使した不安の解消に尽力している。また、クリニックのもう一つの柱として在宅医療にも並々ならぬ情熱を燃やしている大藪院長に話を聞いた。
(取材日2019年4月15日/情報更新日2025年9月29日)
“気になることを相談しやすいクリニック”をめざして
子ども時代についてお聞かせください。また、医師になろうと思ったのはいつ頃だったのでしょうか。

子どもの頃は明るさぐらいが取り柄で、中学受験のために小学5年生から塾に行き始めたのですが、それまではずっと遊んでいましたね(笑)。塾が厳しかったのでなんとか成績も上がって、中学受験もうまくいきました。その時はまだ医師になることは全然考えてなくて、思い始めたのは高校2年生ぐらいでしょうか。実は、僕が幼稚園の頃からうちの母が何回か大きな手術をしてるんですね。子どもながらに、治療後退院して母が笑顔で帰ってきたことがうれしかったんです。こういった経験もあり、医師を志すようになりました。
その後、医学部に入ってからのご経歴を教えてください。
1996年に大阪大学医学部に入学しました。実習で患者さんとふれあうことで、次第に医師の仕事を実感していくようになりました。命に直接関わる分野ということで、最初は循環器科と産婦人科を考えていましたが、最終的に循環器科を選択しました。卒業した後は大学病院で1年間研修をして、その後大阪けいさつ病院で4年間勤務、また阪大病院に戻って1年間勤務して、それから大学院に入学しました。
開業にあたって、どのようなクリニックにしたいと思われましたか。

開業にあたってのコンセプトは「気になることを相談しやすいクリニック」です。研修医の頃から、専門であるなしに関わらず患者さんにいろいろと相談されることが多かったんです。話しかけやすい雰囲気って持って生まれたものもあるんでしょうか。病気を治すのは当然ですが、患者さんに安心感を与えることも大切だと思っています。もう一つは、病気を診るのではなく、患者さんを診るということですね。例えばどの病院に行くべきかというご相談があった時に、病気の状態を判断した上で、ご家族が通いやすいところを勧めたり、病気に合わせて専門的な医療機関を勧めたり、患者さんの背景を知った上でさまざまな提案ができればと思っています。これは、大阪けいさつ病院でご指導いただいた先生に教えていただきました。僕にとって医師の原点です。
「患者とのコミュニケーション」を何よりも大切に
どんな年齢層の患者さんが多いですか? また、患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

お越しになる患者さんは、循環器に関する病気では70代から80代の方が多いですね。一般内科では、風邪や腹痛、喘息等で来られる方が多く、若い方から高齢の方まで、幅広い世代の患者さんに来ていただいている状況です。患者さんと接するときに心がけていることは、話しやすさです。自分が受診する時もそうですが、初めてクリニックに来ると勝手がわからず緊張しますよね。患者さんが話しやすいように、患者さんの言葉を一言一言拾って確認しながらお話しすることで、リラックスしてもらいやすいようにしています。そのためお待ちいただくこともありますが皆さんに真剣に向き合いたい一心で、時間制予約を設けずお一人ずつしっかり対話するようにしていますので、ご理解いただけると幸いです。また、スタッフに一番にお願いしているのはあいさつです。まずはこちらから笑顔であいさつをして、話しやすい雰囲気をつくってご案内できるようにしています。
こちらで対応可能な検査について教えてください。在宅医療も重要視されているそうですね。
心電図、胸のレントゲン、血液検査は白血球、ヘモグロビン、CRP、PT-INRなど一部は院内で結果が出せます。エコーの検査は、心臓だけではなく腹部も対応しています。24時間心電図を取るホルター心電図や、階段の昇降運動の後記録する負荷心電図の検査も行っています。あとは睡眠時無呼吸症候群の簡易検査も行っています。在宅医療については、通院できない患者さんにも安心を提供するものとして超高齢社会において重要だと考え、西宮のクリニックで勤務医として勉強しました。その後開業した時には患者さんもゼロのところから始めたんですが、現在では地域のケアマネジャーさんや訪問看護ステーションからもご紹介をいただいており、在宅医療の重要性を実感しますね。また、管理栄養士が訪問し、個別の栄養指導や嚥下指導も行い、誤飲性肺炎の予防の促進をすることで患者さんができるだけ長くご飯をおいしく食べられるように取り組んでいます。
在宅医療について、ご家族にはどのようなフォローを行っていますか?

患者さんの状態にもよりますが、介護度が高くなっていくとご家族の方が疲れきってくることが多いです。ケアマネジャーさんからの提案も多いんですが、いわゆるショートステイなど、ご家族が疲れないような制度の利用をお勧めしています。例えばがんの末期になると、介護が大変になりますが、疲れきってしまうとご家族も介護される患者さんも幸せじゃないんですよね。こういうときは限りある介護なんだということを誤解のない形でお話しし、今の時間を大切に過ごしてくださいね、と伝えるなど介護されているご家族さんが疲弊しきらないように、フォローしています。最終的に自宅で看取って良かった、と感じてもらえたらいいなと思いますね。超高齢社会の現代は、病院ではなくて家で最後を看取るという流れになっていますが、クリニックとしてその役割を担って行くべきだと考えています。
地域に根づいたクリニックとして安心を提供したい
日々忙しい中で、休みの日はどのように過ごしておられますか?

小学生の子どもが2人いるので、妻と一緒に子どもが好きそうな遊び場に連れていくことが多いですね。ただ在宅医療をやっているので呼び出しがあるんですね。患者さんから電話があって診察が必要な場合、24時間体制で診察に行くということを数年前からやっています。幸い家族の理解も得られていて、そこは妻と子どもたちに感謝しないといけないなと思っていますね。僕をせかして「患者さん待ってるから早く行ったほうがいいよ」と言ってくれたりします(笑)。子どもたちも幼いながら医療という仕事の大切さをわかってくれてるのかなと思うんです。
今後の展望についてお聞かせください。
開院して8年ですが、クリニックがあるこの地域はファミリーマンションが増えていて、新しく引っ越してこられる方と昔から住まれている高齢の方とが混在している状況です。循環器の病気は年齢とともに増えていきますので、若い方からご高齢の方まで長年にわたって継続した医療を提供して、地域に根づいたクリニックとしてやっていかなければという使命感があります。そのためにも、在宅医療には今後も注力していきたいですね。地域のケアマネジャーさんや訪問看護師さんとも一緒に勉強会をしたり、在宅医療に関する講演会の世話人もさせていただいて、在宅医療の基礎知識をみんなで勉強しています。介護に従事する方たちにも知っていただいて、連携を密に取るようにしています。
最後に患者さんにメッセージをお願いします。

地域の方々に安心して過ごしていただけるように、小さなことでも気軽に相談できるクリニックをめざしています。患者さんに安心を提供したい、というのが開業した意味であり、そうでなければ僕はずっと勤務医で良かったと思うんです。すべて僕で解決できるわけではないですが、そのヒントになるようなことができればと思っていますので、何でもご相談ください。皆が面倒くさがることを率先してやるっていうのが仕事をする上での僕のポリシーなので、例えば当院で判断がつかなかったり検査ができない病気であれば、対応できる病院にご紹介を行っています。その時にスムーズに進むように常に各地域の病院との連携を取っているので、ためらわずにご相談に来ていただければと思っています。