五十嵐 健人 院長の独自取材記事
五十嵐内分泌クリニック
(中央区/三越前駅)
最終更新日:2025/01/15

三越前駅から1分ほどの、大きな商業施設の至近で利便性の高い場所にある「五十嵐内分泌クリニック」。再開発による以前の物件の立ち退きに伴い、2023年3月に現在の場所へ移転。温かくやわらかい色調の清潔感ある院内は、心地良く過ごせる空間だ。院長の五十嵐健人先生は故郷である福島県への貢献の思いから、長年、クリニックの運営と並行して現地に出向き診療のサポートを行っている。柔和な雰囲気を持ち、数多くの患者と真摯に向き合う心温かいドクターであることがうかがえる。そんな五十嵐院長に、移転後の変化や診療方針、患者への思いなど話を聞いた。
(取材日2024年12月12日)
長い付き合いでも来院しやすいクリニックをめざして
ご開業されて7年がたち、変化があったことがあればお聞かせください。

もともと大学病院に勤務していたので、クリニックでは診療の仕方が異なるため、その変化を一番感じています。手術する方もしない方も経過を見ていくことは、以前とは仕事の幅が大きく異なりますね。甲状腺疾患では内科的治療が必要な方が多くいますが、まず病気かそうでないかを区別する必要があり、また患者さんもそれがご要望で来院される方が多いです。大学病院では、例えば検診後に甲状腺が腫れていたり、詳しい数値で指摘されたなど、紹介でいらっしゃる方が多いのですが、一方でクリニックの場合、まず「甲状腺専門の治療に該当する症状か否か」を確認することからのスタートです。初期から診ていくことになり、手術以外の診療も治療もと担うことが増えました。また、健康診断の結果と実際の診断の乖離もあることから、専門的な視点から適切な診断をつける役割もクリニックにはありますね。
今の場所にご移転されて、何か変化はありましたでしょうか?
この場所になってからは「駅が近く場所がわかりやすくなった」と言っていただるようになりました。以前は道案内の電話対応が多かったのですが、それも減り、とても利便性が上がったと思います。これは患者さんにも私たちスタッフにとっても良い変化となりました。この分野のクリニックが他にたくさんあるわけではないことからも、ありがたいことに遠方からもお越しいただいているので、来院しやすいことは継続的な通院のためにも大事なポイントだと思っています。もともといろいろな地域から来ていただきやすいようにこの辺りを選び開業していたので、以前の物件よりもさらに駅に近く足を運びやすい場所が見つかって良かったです。
診療方針で大切にしていることを教えてください。

大学病院時代から10年20年と長いお付き合いの患者さんもいますが、こちらでの初期診察で甲状腺疾患と判断された新しい患者さんは、ここから長くご通院いただく可能性がより高くなりますよね。なので、安心してご来院いただけるような診療を行っていきたいと思っています。大学病院で行うような手術はわれわれ医療者にお任せいただけたらいいのですが、薬の服用といった内科的な医療は、患者さんご本人のモチベーションが鍵となります。治療が長期に及ぶことの心積もりをしていただく必要がありますので、来院頻度の負担を少しでも軽くできるような工夫も取り入れています。それぞれの患者さんに合わせたパーソナライゼーションを意識した適切な治療方針を立てることと、そのための適切な診断を大切にしています。
症状が幅広い疾患だからこそ、傾聴する姿勢を大切に
どのような患者さんが多いのでしょうか?

他院での診察や検査で「甲状腺が腫れているのでは?」と指摘をされた方や、動悸がする、体重の増減がある、という症状の方がいらっしゃいます。症状はバラエティーに富んでいるため、それぞれの状態に応じて甲状腺機能が亢進しているのか低下しているのか、しこりや腫れがあるのかなどを診ます。めまいやだるさがある方は、内科や婦人科にかかってみたけれど診断がつかなかったとおっしゃる場合が多いですね。クリニックや病院から、採血異常や頸動脈超音波検査での異常が見つかった方の紹介で来られる患者さんも数多く受け入れています。また、インターネットなどでセルフチェックをして、受診される方も増えてきましたね。
気をつけていることやポリシーがあれば教えてください。
女性の患者さんも多いので、引き続きよりプライバシーには配慮するよう気をつけています。先ほどお話ししたように、ご自身で症状を調べてきっと甲状腺疾患だろうと当たりをつけて内分泌内科を受診される方も多いでしょう。検査をしてみて標準値が出た場合に、「ではこの不調の原因は何だろう」と悩んでしまう方もいるかもしれません。そんな時に、できるだけ一緒に解決をサポートしたいと思っています。そのためにも、よくお話を聞き、傾聴するように心がけています。投薬されている方は、症状をベースにして考えつつも、数値データが裏打ちされているかなど、客観的な視点を持つことも大切です。クリニックでは、その主観と客観のバランスを取ったこまやかさが必要だと思いますので、その点も意識していますね。
内分泌疾患を抱えている可能性がある方に、お伝えしたいことはありますか?

たまに動悸がしたり、ちょっとしたことで心拍数が上がることは日常的によくある症状です。医療機関を受診する目安としては、心拍が1分間に80回以上あることが一日中続く場合が一例として挙げられますね。また、お若い方でコレステロール値が上がってきた場合は、甲状腺機能の低下を疑っていただきたいです。年齢とともに代謝が落ちることもあり、コレステロールが高い状態である脂質異常症は生活習慣病の一つで中高年ではよく見られる症状ですが、若くして数値が上がる場合は甲状腺疾患がある可能性が考えられるからです。
専門性にとらわれず、軽い症状や相談だけでも来院を
どんな方に来院いただきたいですか?

内分泌外科を専門に掲げてはいますが、遠慮せずにいろいろなことを聞いていただきたいですね。不安を取り除き、そして腑に落ちた状態で帰っていただきたいと思っています。内分泌疾患を中心とした、よろず相談をしてもらえるような場所が理想ですね。「内分泌クリニック」と書いてあるので、もしかしたらハードルが高いとお感じの方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に地域にあるクリニックと思ってお気軽にお越しください。健康診断結果からのアドバイスをはじめこちらで診られることはお手伝いいたしますし、それ以上のことが必要となれば診診連携として別の専門的なクリニックにおつなぎすることも可能です。日本橋医師会の理事になり、地域医療にも微力ながらお手伝いしている中で、おかげさまで近隣の先生方とのつながりも増えました。安心してご来院いただきたいです。
甲状腺疾患は判断が難しいのではないでしょうか?
そうですね。甲状腺疾患の症状は幅が広く、細分化されているので、患者さんご自身が判断されるのは難しいと思います。例えば、疲れやすかったり、冷えやすくなったり、睡眠に異常が出たりする場合、更年期障害を疑って婦人科に行くべき?と悩まれるかもしれません。内科の疾患かな? もしかして精神的なものから来る症状かな?と思う方もいるでしょう。このように自己判断は難しいので、不明なままで構いません。ご遠慮なくいらしてください。更年期診断でホルモン学的に見て異常がある場合は、適宜婦人科へおつなぎしています。甲状腺の症状と更年期の症状は似ているため、迷ったらどちらから受診しても大丈夫です。とにかく異変を放っておかず、診察を受けてほしいですね。このクリニックで治療していける症状かどうかしっかり判断して、お手伝いいたします。
読者へメッセージをお願いします。

当院は、大学病院のように紹介状がないと受診できない医療機関ではありません。長引く不調や初めて経験する症状に不安を抱えられている方に安心していただけるよう、診断をつけることが大切な役割だと思っています。些細なこともお話を聞かせていただけたら幸いです。お昼の時間も開けているので、お勤めの方はお昼休憩に採血だけして、夕方お仕事帰りに検査結果を聞きに来るといったご利用の仕方もできます。待ち時間には近隣の商業施設でお買い物もできる環境です。予約優先ではありますが、完全予約制ではないため、急な来院でも気にせずお越しくださいね。