小川 惇郎 院長、松下 玲子 副院長の独自取材記事
白金台おがわクリニック
(港区/白金台駅)
最終更新日:2022/11/25
白金台の落ち着いた住宅街に、2017年に開業した「白金台おがわクリニック」。糖尿病や内分泌疾患を専門とする院長の小川惇郎先生と、消化器内科を専門とする副院長で妻の松下玲子先生が診療にあたっている。困ったときに相談できる地域のかかりつけ医であると同時に、専門医療も提供するクリニックでありたいと、広い院内には内視鏡をはじめさまざまな検査機器をそろえている。小川院長は日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医の資格を持つ、慢性疾患のスペシャリスト。特に内分泌疾患を専門とする開業医は少なく、力を入れている。取材で話す言葉の端々から、お互いの専門性を尊重し仲むつまじい様子が伝わってくる2人に、クリニックについてじっくり話を聞いた。
(取材日2018年3月26日/再取材日2022年9月26日)
専門性の高い医療も提供する、地域のかかりつけ医
開業から約5年、最近はどのような患者さんが多く来られていますか?
【小川院長】小さなお子さんから中高年の方まで、いろいろな症状の患者さんが来られます。最近は健康診断で来院される方も増えていて、地域のかかりつけ医として必要とされているのかな、とうれしく感じています。当院は、スペースをゆったり取った一戸建てのクリニック。院内はすべてバリアフリーでエレべーターを設置しています。また最寄りの薬局まで徒歩5分ほどかかるので、患者さんの負担を軽減するため院内処方も行っています。設備面では、患者さんの症状に合わせて当院で一通りの検査ができるように、必要な検査機器をそろえています。糖尿病、内分泌疾患、消化器内科という専門性の高い医療を提供しつつ、患者さんが困ったときにまず相談できる、頼れる存在でありたいと思っています。
診療の際はどのようなことを心がけていらっしゃいますか?
【小川院長】患者さんのお話をじっくりと聞くことを心がけています。外来が多くなると難しいこともありますが、お一人お一人と接する時間をなるべく長く取るようにしています。思ったことを気軽にお話しいただくことで、患者さんの生活背景まで考慮した診療ができますし、未然に病気を防ぐことにもつながっていきます。
【松下副院長】検査に関しては絶対見落としをしないこと。目を皿のようにして診ることを心がけています。患者さんと接するときは、何を求めていらっしゃるのか、的確な対応ができるよう、しっかりお話を聞くことを大切にしていますね。
お2人が医師を志したきっかけ、専門科目を選んだ理由を聞かせてください。
【小川院長】もともと家族に医療従事者はいなかったのですが、家族や身の回りの人の健康管理をしたいという思いから医師を志しました。命に関わる重大な病気になる前に未然に防ぐ治療ができればと考え、いわゆる生活習慣病を診る「内分泌・代謝内科」に入局。北里大学病院、NTT東日本関東病院などで約10年研鑽を積み、こちらを開業しました。
【松下副院長】小さい頃、祖父母の家の近くに医院があり、そこの先生がいつも穏やかで、患者さんに寄り添うことのできる医師でした。先生の笑顔を見るだけで、安心感から不思議と少し元気になって帰れるんです。そこからこういう人になりたいと思い、医師としてめざす姿にもなりました。私が「消化器内科」を専門としたのは、診断から治療まで幅広く対応できる内視鏡に魅力を感じたから。救急から慢性の病気、がんの治療など多岐にわたって携わることができるからです。
糖尿病、内分泌疾患の専門の医師として患者に寄り添う
小川先生のご専門について、詳しく教えてください。
【小川院長】糖尿病や高血圧、高尿酸血症など人間ドックで注意される全般のことと、内分泌系の病気を扱う科目が私の専門です。今は地域のかかりつけ医として、予防医療に注力しながら患者さんたちの健康を守っていければと、日々懸命に診療にあたっています。特に糖尿病の診療は、患者さんのプライベートな部分に介入していくちょっと特殊なもの。何を食べたか、何時に寝たかなど日常生活の記録をつけていただき、糖尿病患者さんへのケアを専門的に学んだ当院の看護師とも連携しながら、インスリン処方や持続血糖測定、生活指導などを行っています。糖尿病の薬は近年飛躍的に選択肢が多くなり、使い方が複雑になっているケースもあります。私は糖尿病専門医として最新の知見をもとに診療、助言、薬の処方を行い、患者さんに寄り添いながら前向きにサポートしていきたいと思っています。
糖尿病に加え、内分泌疾患の専門医資格もお持ちです。
【小川院長】内分泌疾患の分野は非常にマイナーで、内分泌代謝科専門医の資格を持つ開業医は少ないと思います。内分泌疾患にもいろいろありますが、クリニックで診療するのは主に甲状腺疾患。甲状腺ホルモンが過剰に出る「バセドウ病」、逆に甲状腺ホルモンの分泌が低下する「橋本病」が代表的です。甲状腺疾患は圧倒的に女性に多く、バセドウ病は比較的若い方、橋本病は中高年の方に多いです。「生活は変わっていないのに急に体重が増えた、減った」「むくむ」「イライラする」「元気がない」など、他の病気でも当てはまるような症状が多く、なかなか診断がつきにくい病気です。家族歴がある方、昆布をよく食べる方、ヨウ素を含むうがい薬を習慣的に使っている方などは特に、年1回は甲状腺の定期検査を受けてください。一般的な健康診断では検査項目に入っていないので、特に意識して受ける必要があります。
甲状腺の検査とはどのようなものですか?
【小川院長】当院では、採血による甲状腺ホルモン検査、バセドウ病・橋本病の抗体検査と、臨床検査技師による超音波エコー検査を行います。検査結果は3日後には出ます。診断がつけば投薬治療を開始します。特に橋本病は長期間にわたり薬を服用することになり、定期通院が必要です。また、内分泌疾患の中でも、血圧が上がる原発性アルドステロン症や副甲状腺の腫れ、腫瘍などの疑いがあればすぐに大きな病院に紹介しています。以前、「なんだか体調が悪い」といった不定愁訴で来院されて、甲状腺が原因だったという方もいらっしゃいます。私が入り口となって治療につなげていけたらと思いますので、お気軽にご相談ください。
安心感のある、女性医師による胃カメラ
松下先生のご専門についても教えてください。
【松下副院長】消化器内科が専門で、当院では経鼻・経口どちらの胃の内視鏡検査も担当しています。検査には患者さんからの希望があれば、鎮静剤と喉に局所麻酔をかけ、痛みを和らげられるよう配慮をしています。鎮静剤の効き方は個人差がありますが、検査後はリカバリー室もありますので、そこで休憩してから帰っていただけます。内視鏡検査はがんの早期発見につながる検査の一つですので、定期的に受診されることを勧めています。特にこれまで検査に抵抗があった女性の方にとって、当院が検査をするきっかけとなればうれしいです。他にも、痔や巻き爪の治療にも対応しています。私は他院でも診療を行っている関係で勤務が不規則ですので、ご希望の方は事前に予約をお願いします。
医師としてお互いをどのような先生だと思っていらっしゃいますか?
【松下副院長】病院で一緒に働いていた時期も長いのですが、患者さんに対して優しく穏やかで、何を言っても受け止めてくれる先生だという印象を持っています。あまり医師の話を聞いてくれないような患者さんでも、院長にはすっと心を開かれるんです(笑)。
【小川院長】妻は胃カメラに関する技術を持っていて、やり方にもいろいろこだわりがあり、職人気質なところがあるかもしれません。専門領域が違うので、普段の診療でもいろいろと相談できるのは心強いですね。患者さんの話に耳を傾け、一緒になって治療を進めるという診療ポリシーは共通していると思います。
今後のクリニックの展望についてお聞かせください。
【松下先生】とりあえずあそこへ相談に行ってみようと思っていただけるようなクリニックをめざしたいですね。基幹病院との連携もしっかりしていますので、何かあればすぐご紹介できますし、女性ならではの症状のご相談や女性医師の胃カメラをご希望の方にもご来院いただければと思います。
【小川院長】糖尿病や内分泌疾患を専門的に診られるクリニックは都内でも少ないので、専門的な治療を求めている患者さんはもちろん、日頃の体の不調を幅広く診られるクリニックとして、これからも利用していただければと思います。ゆくゆくは往診にも力を入れていきたいと考えています。