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大幸 和加子 院長の独自取材記事

上野くろもんクリニック

(台東区/湯島駅)

最終更新日:2019/08/22

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江戸の情緒が残る湯島の地に新たにオープンした「上野くろもんクリニック」は、乳腺科をメインにしながらも、家族をトータルでサポートするべく内科も扱う地域密着のクリニックだ。大幸和加子(だいこう・わかこ)院長をはじめ、受付から技師までスタッフはすべて女性がそろい、デリケートな部分を扱う配慮が至るところに溢れている。その目線には、母親としての経験も盛り込まれているのが特徴的だ。注目を浴びながらも実際の受診率がなかなかつながっていないという乳がん検診。そのハードルを下げるべくさまざまな取り組みを行う大幸院長に、今、医師として考えることや、女性として思うことを詳しく聞いた。
(取材日2017年11月2日)

乳がん検診をもっと気軽に受けられるものにしたい

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

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父が小児科の医師だったのですが、大変なところをたくさん見ていたので、最初は医師にはなりたくないと思っていたんです。しかし、高校生の頃に進路を決める際、父に診てもらって良かった、という患者さんが周囲にたくさんいるのに気が付き、その方々から話を聞く機会がありまして。それで、医師という仕事はすごく良いことをしているのではないのか、と思うようになったんです。大好きだった英語の先生にも、「あなたは性格的に医師に向いている」と勧められたことも頭にあり、それならば医師の道に進んでみよう、と医学部に入りました。ただ、父には最初はとても反対されたんですよ。女性には大変な仕事だからと。生まれて初めて口を聞いてもらえないほどの大げんかもしましたね。しかし、母の協力もあり、最後には応援してくれるようになりました。実際に同じ医師という立場になってみて、父に対しては年々尊敬の念を新たにしています。

ご卒業後はどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

卒業後は大学病院に入り、消化器や乳腺、小児を扱う第2外科に入局しました。当初は消化器を専門にしたいと考えていたのですが、次第に乳腺や肛門に関して、女性の患者さんから女性医師の需要が非常に高いことに気づいたんです。やはりデリケートな部分ですから男性の医師よりも女性に診てほしいと希望される方が多く、外部の病院に行っても任されることが多かったんですよ。そこで、女性の医師にはこういう活躍の場があるのだ、ということを実感しました。女性だからこそできる相談やわかる気持ちもあります。そういう部分で自分なりにお応えできることがあるのではないか、と考え、乳腺科をメインにすることに決めました。

開業を思い立たれたのはなぜでしょう?

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乳がんの患者さんが増えているにもかかわらず、区や会社の検診でも、2年に1回マンモグラフィを撮るだけだったり、若い方は触診だけだったりと、日本の乳がん検診の実情は、受診率の低さも含めてあまり良くありません。自分で病院を探すにしても、そもそも乳腺科という窓口が少なく、台東区内でも当院を含めて数件です。仕事をされている方はどうしても土日に集中してしまうため、なかなか予約も取れず、いざ検診に行っても半日がかり。気軽に相談に行くこともできません。そういう方々の受け皿になりたいという気持ちが大きかったですね。

経験したからこそわかる「ママ目線」を大切に

診療の際はどのようなことを大切にされていますか?

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患者さんがどのようなことで悩んでいるのか、何を心配しているのかをよく聞くことです。その上で選択肢を提案し、患者さんと相談をしながらライフスタイルや希望に沿う形で進めて行くようにしています。外科の医師であっても内科的なアプローチが提案できたり、あるいは何もしないという選択肢になることもあります。患者さんにも自分の意思があり、決める権利があります。それを、中身をよく知らずに選ぶのと、知った上で選ぶのとでは大きく違いますよね。家族構成や仕事のことだったり、患者さんがどこを重視するかもさまざまです。その中で一番希望に沿うものを一緒に探し、最終的に患者さんの行きたい方向に進む手助けができればと思っています。

乳腺科と内科で時間を分けて診療を行うスタイルは珍しいですね。

そうですね。他には例がないと開業時にも言われました。しかし、病気は乳腺だけではありませんし、風邪をひくこともあれば、その方にお子さんがいらっしゃることもある。もともと地域に根差したクリニックにしたいと思っていたので、ご家族をトータルで見ることが重要ですし、それには内科は必須です。夜も少し遅い時間まで診療を行っていますが、学校や会社、塾帰りなどに寄っていただくことができるようにと考えて設定しました。これは自分自身の子育ての経験が大きかったと思います。子どもが風邪をひいても自分とは別の病院に連れて行かなくてはいけないというのは結構負担なんですよね。一緒に診られるものは一緒に診て、こちらで対応しきれないものはご紹介する。そういうルートがあれば、ここに来てくださるママさんも安心かな、と考えました。

女性への配慮、特にママ目線での気遣いが素敵ですね。

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男性の立ち入りを考えて内科と時間を分けたり、スタッフを女性でそろえたりと、乳腺科ならではの女性への配慮はもちろんですが、ママ世代のサポートには特に気を配りたいと思っています。実は当院のスタッフはあえて年齢層を高くしているんですよ。しかも、出産と子育ての経験がある人間ばかりなので、子育てで煮詰まってしまったママさんの相談にも乗れたらと思っています。もともと私のママ友だったり同級生だったりと信頼の置けるメンバーが集まってくれていて、本当に人のつながりには感謝しています。中には幼稚園や小学校教諭の資格を持っているスタッフもいますから、マンモグラフィなどお子さんが同席できないときも安心して預けていただけますよ。薬剤師も内科の時間帯には常駐していますので、お薬の相談や処方もできます。私を含め、スタッフ全員が自身の持つ経験を生かし、クリニック全体で皆さんをサポートできればいいですね。

早いうちから定期的に乳がん検診を

乳がんの啓発活動も活発になっていますが、医師としてどのように感じられますか?

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近年、芸能人の方が乳がんの告白をしたりと、注目度は高まっていると思います。実際に、そういうことがあった翌日には検診を希望される方が増えたりします。少しずつ意識は変わっているとは思いますが、ではそこからどうしたらいいのか?という部分の提案ができていないのが現実です。区や会社の検診で対象とならない世代の方は、どうすればいいのかわからない、ということも多いでしょう。病院を探しても、自費診療だったり混んでいたりと、ちょっとハードルが高いですよね。意識自体は変わってきていても受診率の向上につながっているのかというと、まだその辺りのフォローの必要があると思います。

検診はいつ頃から受ければ良いのでしょうか?

ぜひ、早いうちから乳がん検診を受けていただきたいと思います。実際に、10代で発症した方から90代の方まで幅広く患者さんを見て来ました。遺伝的なものもあれば、喫煙や肥満などリスクと言われているものはいろいろとありますが、そういうものがなくとも乳がんになる方もたくさんいらっしゃいます。若いうちはエコー検査だけでも構いませんが、できればマンモグラフィと併用するのがベストですね。というのも、エコーで見つけやすいものとマンモグラフィで見つけやすいもの、乳がんにもさまざまなタイプがあるからです。どちらを受ければいいかわからない場合は、お話をうかがってこちらでご提案もできますから、気軽にご相談ください。授乳中や妊娠中、豊胸術を受けられた方でも、乳がん検診は受けることができます。気になった時はぜひ受けてみてください。

それでは最後に今後の展望とメッセージをお願いします。

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開業して1ヵ月ですが、地域柄なのか、地元の方が気軽にお話ししに来てくださったり、とても恵まれたスタートを切れていると思います。このアットホームな雰囲気は大切にしていきたいですね。そして、どの年代も本当に乳がんが増えています。痛いからとやめてしまわず、相談だけでもしに来ていただければと思います。また、乳がんに限らず何でもご相談いただければお手伝いさせていただきます。一緒に考えながら、一つ一つ納得した上で治療を進めていきましょう。

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