長谷川 義高 院長の独自取材記事
内科・糖尿病・内分泌 はせがわ内科クリニック
(刈谷市/一ツ木駅)
最終更新日:2024/10/11

名鉄名古屋本線一ツ木駅から徒歩8分ほど、2017年10月に「内科・糖尿病・内分泌 はせがわ内科クリニック」は開院した。院長の長谷川義高先生は、内科系疾患の中でも糖尿病や甲状腺が専門で、生まれ育った地域に貢献できればと地元に開業した。会社員の経験を生かし、「残業や一人暮らしなど働く人たちの不規則な生活習慣を整えるために、まず何ができるか一緒に考えたい」と語る長谷川先生。食欲抑制が期待される薬や、持続的に血糖値を測定してくれる機械など、新しい治療法も出ており、患者の話を聞きながら、ライフスタイルに寄り添った治療を心がけている。患者さんをきめ細かにサポートできるよう、糖尿病専門のスタッフや管理栄養士とともに、「続けていただけること」を大切に日々診療にあたっている。
(取材日2017年11月17日/情報更新日2024年10月8日)
会社員の経験生かし、働く人の立場で考える
先生は医師になられる前、会社にお勤めをされていたそうですね。

はい、大学院の理学部でバイオインフォマティクス、簡単にいうと生物のDNAについてコンピュータで解析、比較する研究をしており、その後は製薬会社に入社、東京で6年間会社員生活を送っていました。やりがいのある仕事でしたが、30歳になる前に、この先の人生を考えたとき、実際に薬を服用している患者さんと向き合う医師という仕事が選択肢の一つとして浮かんだのです。それでチャレンジしたいと思い、3年間だけと期間を決めて休日や夜間に勉強をし、2年目に弘前大学医学部に合格しました。卒業後は愛知県内の総合病院で経験を積み、生まれ育ったこの地に開業したわけです。ここは私の父と祖父が建てた工場があった場所で、駐車場も16台分、院内もゆったりした空間にすることができました。
クリニックのこだわりを教えてください。
待合室から相談室までは、くつろいで過ごしていただけるようカーペットを敷き、相談室内は茶系の落ち着いた空間にしました。椅子は1人ずつのひじ掛け椅子にしています。診察室や処置室は医療行為を行う場ですので白色にしました。設備については糖尿病に関する機器はひととおりそろえ、特に甲状腺ホルモンの状態を調べる機器は専門のクリニックならではだと思います。大きな病院だと時間がかかりますが、当院では20~30分で検査結果が出ます。甲状腺の病気は女性に多く、妊娠、出産を控えて不安のある方にも適切に検査を行うことができます。
糖尿病や内分泌を専門にされたのはなぜですか?

一般企業で働いていた経験から、働いている人を少しでも支えられるようになりたいと思ったからです。お勤めの方は大抵忙しく、残業や飲み会、さらに単身赴任だったり夜勤があったりすると、食事や生活リズムも不規則になりがちです。糖尿病は生活習慣病の一つであり、生活習慣を少しでも整えていくことが重要なので、私自身の会社員の経験を生かして、どんなことから整えていけるか一緒に考えることができるのではないかと思いました。刈谷市には多くの企業があるので、お勤め帰りにも通院しやすいよう、週1回火曜日は19時半まで診療しています。クリニック名に専門分野を掲げたのは、糖尿病や内分泌、つまり甲状腺ホルモンの病気の方に安心して来ていただきたいという思いから。内科として風邪や発熱などの疾患ももちろん診ています。
人とのつながり、気づきを大切にした診療体制
シンプルでモダンな外観に、黄色のロゴマークが印象的ですね。

当院のロゴマークは、「人」と「ビックリマーク」がモチーフになっています。人と人が手をつないでいて「つながり」を表しており、それは医師と患者さん、スタッフなど、自分の周りの人たちとのつながりを意味しています。「ビックリマーク」は、生活習慣を整えていく際、ちょっとしたきっかけが大きな変化につながることがあります。そのきっかけを患者さんに「気づいて」いただくことで、実行し、継続いただけると考えています。そんな「気づき」が大切、ということを「ビックリマーク」は表しています。そんなふうにデザインには自分が大事にしている想いを込めました。長谷川の「H」の形もさりげなく入っています(笑)。
患者さんと向き合う中で心がけておられることはありますか?
糖尿病は痛い、苦しいなどの症状がなく、治療のモチベーションを保つのが難しく、例えば検査結果の数値など、患者さんに合った目標をつくることが大事だと思います。患者さんに最初にお話しするのは、急に習慣を変えようと頑張りすぎないこと、それから、状態が「変わらない」ことも大事だということです。糖尿病は付き合っていかなければならないため、「変わらない」というと「良くならない」という意味に受け止められがちですが、糖尿病でいう「変わらない」は、「薬を飲んで食事も気をつけていることで、この状態を保つことにつながる」という意味で、大切なことなのです。もちろん悪いまま変わらないのは、困ったことではありますが……。また、生活習慣を「直す」「変える」という言い方はしないようにしています。患者さんは悪いことをしているわけではないので、「生活習慣を整えましょう」というふうにお話ししています。
言葉一つも大切にされているのですね。

お世話になった先生が「糖尿病は近眼のようなもの」と患者さんに言っておられ、それを私も使わせていただいています(笑)。私も近眼で眼鏡をしていますが、服薬も食事もいったん習慣になれば、眼鏡をかけるように生活の一部になります。ただ、それでも検査結果が悪くなることがあります。そんなときはまず「何かありましたか?」とお聞きするようにしていますね。仕事上の異動や転勤、親の介護など生活リズムががらりと変わって、それが原因となることもあります。また、テレビやインターネットの情報を信じて、薬をやめてしまう人も中にはいます。しかし、患者さんの体を一番知っていて、患者さんのことを一番に考えているのは主治医なんです。薬は状態に合ったものを処方し、飲み忘れのないよう工夫してお渡ししているので、疑問や不安は必ず相談するようにしてください。
専門スタッフとともに多方面から患者を支える
糖尿病を専門とするスタッフが在籍されているとのことですね。

そうですね。当院には糖尿病の療養指導に長けているスタッフがおり、よりきめ細かに患者さんの生活習慣に沿った治療を勧めていけるよう体制を整えています。継続いただくことが大切なため、いろいろな職種のスタッフで関わることで、患者さんの多様なライフスタイルに少しでも合わせていければと考えています。最近は食欲抑制が期待される自己注射の薬剤や、持続的に血糖値をモニタリングしてくれる機械なども出ていて、選択肢が増えたことは良いのですがその分複雑にもなっており、スタッフは患者さんの携帯電話の機種の確認までしていたりしています(笑)。
管理栄養士の方もおられるのだとか。
はい、管理栄養士もいます。初めて糖尿病を指摘された方などは食事のことだけでなく、糖尿病そのものことも知って頂きたいので、併せて話ができるのは強みだと思っています。初めての患者さんの場合など、じっくりお話しさせて頂きたい時は相談室で栄養指導を行います。一方で、糖尿病治療はある程度軌道には乗っているものの、仕事が忙しくなるなどちょっとした生活リズムの変化で糖尿病が悪化してしまう場合も良くあります。そのような場合は、あえて“別室での指導“とまでかしこまらずに、管理栄養士や看護師から待合などで声をかけさせていただき、状況を伺いながら気を付けていただきたいポイントをお伝えする「プチ指導」を行います。糖尿病は付き合っていかなければならず、その時々に応じた細かな“軌道修正”が大切だと感じています。
これからどんなクリニックにしていきたいですか?

ここ何年間は新型コロナウイルス感染症に振り回され続けていました。先に言いました「人と人とのつながり」と「気づき」を大切にしたくても、できない時間が続いていました。糖尿病や甲状腺の病気は定期的な通院が必要ですので、患者さんに「また来ようかな」と思っていただける、安心してかかっていただけるクリニックでありたいですね。患者さんにとっては医師よりスタッフのほうが話しやすいということもありますので、多くのスタッフが関わることを大切にして、クリニック全体で患者さんをサポートし、だんだん良くなっていくことを実感いただき無理なく治療を続けていける、そんなクリニックでありたいと思っています。