食物アレルギーも治療できる時代に
対処法や治療の進め方を学ぶ
あんどうキッズクリニック
(名古屋市昭和区/桜山駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などに代表されるアレルギー疾患。近年、何らかのアレルギー疾患を持つ子どもが増加傾向にあるといわれている。一方で、これらの病気は「一生治らないもの」というイメージが根強く、つらい症状に苦しむわが子を見て、自分を責めてしまう親も多いようだ。しかし、実のところどうなのだろう。日本アレルギー学会アレルギー専門医である「あんどうキッズクリニック」の安藤仁志院長によると、食物アレルギーに関しては9割以上が成長発育と適切な治療によって克服できるという。そこで今回は食物アレルギーに重点を置き、その主な原因や対処法について詳しく話を聞いた。
(取材日2017年12月7日)
目次
制限するより、少しずつ与え続けることが、食物アレルギー克服の新しい考え方
- Q食物アレルギーは何がきっかけで発症するのでしょうか?
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A
▲アレルギー分野においても、研鑽を積んだ安藤院長
特定の食品に含まれるアレルゲン(アレルギー物質)が体内に入ると抗体が作られ、その状態で再び摂取すると、免疫機能が過剰に反応することがあります。それが食物アレルギーですね。かつては母親が食べた食品のアレルゲンが、母乳を介して赤ちゃんに移行するのが原因だといわれていました。ところが研究が進むにつれ、皮膚からも吸収されることが明らかになったんです。初めて口にした食品で食物アレルギーを発症するのも、同じ理屈です。ちなみに卵、牛乳、小麦粉は生後4、5ヵ月までに皮膚を介して入り、9割が5歳頃までに自然に治っています。一方、甲殻類、そば、果物のアレルギーは小学校以降に発症し、治りにくいのが特徴です。
- Q皮膚からの吸収を予防することはできるのでしょうか?
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A
▲血液検査からもデータを読み解き、適切な方法を選択していく
乾燥や肌荒れによって皮膚のバリア機能が低下すると、そこから異物が侵入しやすくなります。ただでさえ赤ちゃんの皮膚はバリア機能が弱く、アレルギー体質の場合はさらに弱いので、お肌を清潔にして、こまめに保湿してあげましょう。荒れて赤くなっているときは、抗炎症作用のあるステロイド剤を塗ってから、保湿剤で保護するといいですね。乳幼児には弱めのステロイド剤が処方されると思いますので、あまり心配はいりません。こうしたケアを少なくとも生後5ヵ月まで頑張って続けると、何もしなかったときとの差が血液検査の結果に現れるはずです。なお、母親の妊娠中・授乳中の食事は子どものアレルギーにほぼ影響しませんのでご安心ください。
- Q食物アレルギーかどうかを調べるには、どんな方法がありますか?
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A
▲食物アレルギーにおいて的確な診断を心がける
アレルギーが疑われる食物を段階的に食べて症状を観察する「食物経口負荷試験」があります。例えば卵白0.1gで症状が出る子がいれば、2gで出る子もいますので、血液検査の結果や過去の症状をもとに1回の摂取量を決め、少しずつ食べてもらっては30分おきに診察。検査後2時間ほどは、重度のアレルギー症状が出るリスクが残っているので院内で経過を見ます。もしも症状が現れたとして、食べても安全な量がわかれば、日常の食事にも少しずつ取り入れていけます。昔は原因食物の「完全除去」が基本でしたが、今は「必要最低限の除去」が主流。克服できたかどうかは1年後くらいにわかるので、その頃にもう一度検査を行い判断します。
- Q専門のクリニックを受診するメリットを教えてください。
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A
▲子どものアレルギーが気になる際は相談に来てほしいと熱く語る
食物経口負荷試験を自宅で行った場合、じんましんやかゆみなどの皮膚症状に加え、呼吸困難や腹痛などを伴うアナフィラキシーショックが起こった場合に危険があります。一方、専門のクリニックを受診すれば、万が一の場合もすぐに抗アレルギー剤や吸入などを用いて治療ができますし、当院では提携先の病院とも連携を取って対応しています。あとは、大きな病院ですとほとんどの場合で入院が必要ですし、数ヵ月待ちということも少なくありません。その点、地域のクリニックならではの利便性があるかと思います。