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河野 智子 院長の独自取材記事

訪問眼科 こうのクリニック

(相模原市南区/相模大野駅)

最終更新日:2019/08/22

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相模原市の閑静な住宅街にある「訪問眼科 こうのクリニック」。クリニック名からもわかるように、眼科領域で訪問診療を行うクリニックだ。眼科の医師として、さまざまな病院で研鑽を積んできた河野智子院長は、目の健康を維持することは生活の質を高め、楽しく健康に生きるため欠かせない要素だと語る。目の健康、そして「見える」楽しみを得るため、すべての人が等しく眼科を受診できる機会をつくりたいと、訪問眼科開院に至った。開院間もないクリニックで日々チャレンジを続ける院長に話を聞いた。
(取材日2017年10月18日)

通院が困難な患者のために訪問眼科を開院

訪問診療で眼科のクリニックというのは珍しいですね。

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年をとると、目の病気や不調は増加します。勤務医時代、高齢の患者さんを診察する機会が多くありました。患者さんは高齢ゆえ、ケガをして通えなくなってしまったり、病気で寝たきりになってしまったりすることもあります。これまで「目が心配だ、大丈夫だろうか」とわざわざ時間をかけて通院されていた方たちが通院できなくなってしまう。家族からも「本人は通いたがっているのに通えない」と相談を持ちかけられることも増えてきました。とはいえ、診察をしないで薬を出すわけにもいかず、当時の私には往診に行く術もありませんでした。訪問診療をされている先生に事情を話し、眼科治療の継続をお願いしていました。しかし訪問診療の先生でも制約があり、手の届かない部分がある。それならば眼科医師である自分が眼科の訪問診療をやってみようと決めました。

開院されて日が浅いですが、手応えはどうでしょう。

訪問眼科のクリニックを開院しますというリーフレットを近隣のお宅に配り、開院のご案内をしました。開院間もないこともあり、まだご存じない方も多いと思います。それでも、なかには配布したリーフレットをぎゅっと握りしめ「開院を待ちわびていました」と連絡をくださる方もいらっしゃいます。地域住民のクリニックに対する期待がひしひしと伝わり、手応えを感じていますね。訪問エリアは、小田急電鉄相模大野駅がある相模原市南区を中心とした地域を設定しています。自宅がこの近くに引っ越したこともあり、この地域に開院を決めましたが、想像以上に高齢の方が多いことに気づきました。1人でお住まいの方も多く、高齢者関連の施設もたくさんある。クリニックへの通院が困難な方がたくさんいらっしゃるのだと実感しています。

どういった方からのご依頼が多いですか?

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個人宅からの依頼が多いです。患者さんやご家族から直接連絡をいただくこともありますし、患者さんを担当されているケアマネジャーから依頼を受けることもあります。老人ホームや介護施設に入所されている方の場合、施設職員の付き添いで眼科に行こうとすると、診療費以外に送迎や付き添いに費用がかかってしまいます。ご家族が付き添うとなると、ご家族の負担も大きくなりがちです。結果的に眼科通院に二の足を踏んでしまい、眼科受診に至らないこともある。訪問エリアを設定しているとはお話ししましたが、できれば広い範囲に行けるようにしたいとは考えています。通院が難しい多くの方に受診の機会を広げたいからです。相模原市中央区や、隣の市との市境からご依頼を受けることもあります。ただ医師は私1人なので限界もあります。訪問エリアによっては往診にかかる費用が多少変わりますので、あらかじめご相談いただけるといいですね。

目を診るためにかかりつけ医が家に来るだけのこと

「訪問眼科」はどのような症状の際、利用するのがよいのでしょう?

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通常のクリニックと同じです。目やにがたくさん出る、ものもらいができた、逆さまつげが当たって痛いといった症状や、何となく見えにくい、涙がたくさん出るといったことでも構いません。目のことならどんな症状でも診に行きますから、病状の重い軽いにかかわらず、気軽に呼んでほしいと思います。視力検査や眼底検査、視野検査までできるよう準備はしています。在宅ですから、検査の種類や精度を病院とまったく同レベルで行えるわけではありません。けれども、様子を見ていていいのか、一歩進んだ治療のために然るべき病院に行くべきかという判断はできます。かかりつけのお医者さんがおうちに来てくれた、そんなふうに気軽に考えてもらいたい。「話を聞きたいから、河野先生を呼ぼう」と思ってもらえる体制も整えていきたいですね。

命に関わらないという側面からか、目の不調は放置されがちです。

寝たきりになってしまったり、動きに制限がある方の場合、「見て」楽しむことがより大事になってきます。動けなくなっても見ることができれば、本やテレビを楽しめます。景色を眺めて癒やされたり、お孫さんの顔をはっきり見て成長を感じたり。生きる励みにもなりますし、何をするにも楽しくなりますよね。食事一つとっても、目で見えていたほうがおいしい。だから目のメンテナンスは大事なことですし、目の健康は私たちの生活に直結しています。目の不調や見ることに対する潜在的な不安を抱えている方はたくさんいると思います。そんな方々にとっての快適に見るためのお手伝い、患者さんのQOLを上げるための手助けができればいいですね。

先生が訪問眼科に着目したきっかけを教えてください。

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前の勤務先で私がずっと診察している患者さんがいらっしゃいました。同じ患者さんに長く接していると、来院が途切れた時に気になるんですね。2、3ヵ月に1度は診察に来る方が、もう半年も来ていないということがあると気になってしまって。後で実はお亡くなりになったのだと知らされました。当時、白内障などの手術を数多く担当していた私は、手術を終え、物がはっきり見えるようになって生まれ変わったように生き生きとされている方を何度となく見てきました。一方、目のことを心配し通院されていたあの患者さんは、亡くなるまで目の不安を抱えていたのだろうか。来院が困難だったのなら、ご自宅で診察して不安を解消してあげたかったな、と思ったことが、訪問眼科を始めるきっかけとなりました。

自宅で「見る」楽しみを手に入れ元気に過ごしてほしい

通院以外の選択肢に、訪問眼科もあるということですね。

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患者さんの中には、病気を患い通院できなくなる方も少なくありません。これまでは訪問診療をされている先生に引き継ぎ、現状維持を願うことしかできませんでした。白内障などは、手術をすれば短時間ではっきりと物が見えるようになるのに、受診できなければ白内障かどうかの診断もできない。通院できなければ、目の治療をする術もないわけです。その部分に大きなジレンマを抱えていました。訪問眼科という選択肢があれば、目を診ることができます。医師が診断し、症状に合った病院に導いて治療を受けるきっかけをつくることも可能です。寝たきりであっても自宅で「見る」楽しみを手に入れて、楽しく過ごせるようになります。眼科を受診する選択肢もないということが、残念でなりませんでしたから。

先生の思いが、開院につながった契機とは?

眼科医師として走り続けてきましたが、ある時期からフルタイムで働くことを休み、初めてゆっくりとした休息を手に入れました。時間に追われる日々から解放され、考える時間が生まれました。ただ基本的には仕事人間で(笑)。この時間を使って、眼科医師として患者さんのためになる新しい取り組みはできないだろうかと考えるようになったんです。主人も医師なので理解もありました。3人の子どもの育児もありますが、訪問眼科というシステムは仕事も家庭も……という欲張りな自分に合っているのではないかと。いざ開院してみると、簡単にはいきませんが、ワーク・ライフ・バランスをうまく実現できればベストですね。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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「見える」ことで世界が広がり、生活の満足度が上がる。そのためにもまず、眼科を受診してもらいたいということと、訪問眼科のシステムを気軽に利用してもらい、受診のチャンスを広げたいです。高齢者のお話が中心になりましたが、対象は高齢者だけではありません。訪問先では、患者さんご本人だけでなく、ご家族のお話にも耳を傾けるように努めています。町の薬局や地域の他のクリニックとの診診連携、高齢者施設やケアマネジャーさんとの連携も図って、訪問眼科のシステムを浸透させていきたいですね。年齢や基礎疾患にかかわらず通院することが難しいすべての方に、私たちの訪問眼科を知って利用してもらうことを望んでいます。

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