三木 武寛 院長の独自取材記事
みき歯科三越通りクリニック
(高松市/片原町駅)
最終更新日:2025/04/02

高松市丸の内エリアに位置する「みき歯科三越通りクリニック」は、2017年に開業。ユニバーサルデザインを徹底することで、障がい者も健常者も、小さな子どもも高齢者も安心して通えるような診療環境を届けてきた。障害者歯科に詳しい三木武寛院長は、「一次医療機関として、少しでも障がいがある方の受け皿になれるよう努めています」と爽やかな笑顔で語る。モットーは、すべての患者に対し等しく公平に、適切な歯科治療を提供すること。「Tender Loving Care」を信条に、歯科医師としての信念を持って医業に従事する三木院長に、日々の診療について、また障害者歯科に対する想いについて話を聞いた。
(取材日2021年6月3日/情報更新日2025年3月21日)
障がいの有無に関わらず、誰もが安心して通えるように
歯科医師を志したきっかけと、開業までの経緯を教えてください。

医療の道を志したきっかけは、幼い頃から好きだった医療ドラマや医療漫画ですね。主人公の医師に憧れを抱いて、小学校高学年の頃には「医療の道へ進む」と心に決めていました。大学受験の時にもその思いは変わらず、神奈川歯科大学へ進学。卒業後は故郷の香川大学医学部附属病院で臨床研修医となって、かがわ総合リハビリテーション病院に4年間出向していました。出向中には歯科だけでなく、医科領域も含めたフィールドで麻酔治療を学び、さらに全身麻酔下で行う、心身に障がいを抱えた方の歯科治療も経験。その後は障害者歯科部門の責任者を務めながら、ご病気や障がいのある患者さんを専門に診ていました。特別なニーズのある方々と正面から向き合った日々は、私の財産です。この当時の経験が、一般歯科そしてスペシャルニーズ歯科に対応する歯科医院の開業へとつながっています。
開業しようと思われたきっかけはありますか?
総合病院時代に、なぜこちらを選ばれたのかと患者さんに伺ったところ、ほとんどの方が「障がい者専門だから」と回答されていました。つまり、「障がいを理解してほしい」「知識を持って対応してほしい」と望む方が、それだけいらっしゃったということです。にもかかわらず、その障害者歯科には毎日あふれるほどの患者さんがおみえで、次の予約は数ヵ月後、痛みがある急患の方でも2週間以上お待ちいただくという状況でした。この状況を少しでも改善するためには、一次医療機関である地域の歯科医院が、最初の受け皿になるべきだと思い至ったのです。そして、その最初のモデルケースになればと開業したのが、この歯科医院となります。
開業時のこだわりを教えてください。

障害者歯科の専門的な知識を生かして、開業時にはユニバーサルデザインを徹底しました。当院は1階のエントランスから2階の診療室までバリアフリーになっており、車いすの方でも安心してご利用いただくことができます。診療ユニットに関しては、車いすから移乗する際につかめる取っ手や取り外しの可能な肘置きがあり、うがいをする場所も、正面まで90度回転するユニットを採用しました。院内のトイレもこだわりです。例えば洗面台の下は収納場所にすることが多いのですが、車いすの方のために、あえて余白を設けています。高さが抑えてあるのでお子さんも使いやすいですし、186cmの私でももちろん使用可能です。当院は院内全体で、障がいがある方もない方も、小さな子どもも高齢者も、誰もが安心して通えるような環境を整えています。
患者の希望に寄り添った治療計画を立案
先生の得意分野は、やはり障がいがある方へのアプローチですか?

そうですね。精神的・身体的な理由で歯科治療を受けられなかった方に対しては、これまで何が問題になっていて、どの問題を解消すればストレスを軽減できるのかを丁寧にヒアリングした上で、治療計画を立てていくことができます。内容は一般的な保険治療ですが、皆さんの不安を取り除けるような配慮を重ねていますよ。加えて、僕は口腔外科出身ですので、親知らずの抜歯や突発的な外傷、インプラント治療などの外科処置も専門分野です。患者さんの選択肢として有用なインプラント治療については、特に力を入れて勉強してきました。さらに、今は開業当初よりも矯正治療の経験を積んでいます。歯並びや噛み合わせの改善が必要な、4歳以上・12歳以下のお子さんに対しては、お口周りの筋肉の機能を訓練する「口腔筋機能療法」などを提案していますね。
診療で大切にされていることは?
患者さんのお気持ちに沿った治療計画を立てることです。そのためにも、カウンセリングは時間をかけて行っています。初めて受診される方には特にしっかりとお話を伺うのですが、言えない・伝えられない患者さんもいらっしゃいますので、カウンセリングの用紙はチェックシートを選びました。「痛いところだけを治したい」「治療後のメンテナンスまでしてほしい」といった患者さんのお望みをまず把握し、そして最優先にしています。治療方針として掲げているのは、残せるところは極力残すことですね。削る処置が必要な場合はスモールステップで、少しずつ治療を進めていきます。いたずらに全部残すということはしません。残すことで、逆に悪化すると判断したら取り除く選択をしつつ、健康な歯質はなるべく残す。それが一番大切だと思っています。
患者さんとの印象深い思い出はありますか?

総合病院では、夏祭りのステージで患者さんたちを前にバンド演奏を披露したり、患者さんと同じチームを組んで、床に座った状態で競技するバレーボールに参加したりしていました。診療外で、障がいのある方々と音楽やスポーツを通じて関われたことは、今でも強く印象に残っています。そういった取り組みは社会福祉活動にもつながりますので、いずれは当院でも、障がいのある方と地域の方々とが関わりを持てる企画を発信していきたいです。
すべての患者に対し、等しく公平な歯科治療を
香川県における、障害者歯科の現状についてお聞かせください。

香川県内の歯科で、障害者歯科を提供する施設は限られています。開業医ともなれば、さらに数は少なくなるでしょう。対応方法の理解やマンパワーの問題に加え、経営的な視点でも、提供は難しいと思われているのかもしれません。しかし、ポイントさえしっかりと押さえられれば、健常者と変わらない流れで診療を行うことが可能です。当院の場合は、患者さんによって治療の範囲や時間を変更していません。健常者・障がい者の区別なく、どの患者さんに対しても等しく公平に、適切な歯科治療を提供すること。いわゆる、「ノーマライゼーション」を心がけています。より多くの歯科医院に、この考え方や取り組みを取り入れていただくことで、障がいのある方が日常的に通える歯科医院が増えていけばと願っています。
2025年の3月には、大規模な改装工事を行ったそうですね。
さらに快適で安心できる診療環境をめざして、開業8年目の年にリニューアル工事を実施しました。2階にあった受付と待合室を1階へ移動し、各階にあった診療エリアを2階で完結。患者さんは間近に診療風景を見ることがなくなり、落ち着いて過ごせるようになったと思います。2階にはカウンセリングルームとともに、2つの診療用個室を新設しましたので、診療にもリラックスした状態で取り組めるのではないでしょうか。また工事に合わせて、新たに2つの機器も導入しました。一つは口腔内を細部まで拡大すると同時に、写真や動画を撮影して患者さんと共有することができるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)。もう一つは、痛みに配慮しながら虫歯や歯周病の処置が進められる医療用レーザーです。障害者歯科では、治療前の麻酔がネックになることが多いのですが、レーザーを使えば麻酔を使わずに済むケースが増え、皆さんにお喜びいただけるのではと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

ありがたいことに、障がいのある方は県内全域からお越しいただいています。健常者の方は幅広い年齢層で、定期的にメンテナンスに来られる方が多いです。当院はかかりつけ医としての責任を胸に、皆さんが安心して健康に生活できる歯科医療を提供したいと考えています。すぐそばで開業している医師の弟から、訪問診療先の患者さんを紹介されることも多くありますので、兄弟で協力して地域医療に貢献していきたいです。誰に対しても優しく愛情を持って接する、「Tender Loving Care」が私たちの信条です。今通われている患者さん、そしてこれから出会う患者さんとの接し方を大切に、この地域に根づいていければうれしく思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント(1本)/38万5000円~、小児矯正/2万2000円~22万円、成人部分矯正/22万~66万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。