咳が長引く時は呼吸器内科へ
専門的検査で呼吸器疾患を早期発見
さいとう内科・呼吸器クリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2023/01/04


- 保険診療
長引く咳やしつこい咳は、咳喘息、気管支炎、肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんなどの呼吸器疾患が考えられる。このような咳の症状があれば、呼吸器専門の医師に適切に診断してもらう必要があるが、どのような症状の場合に呼吸器内科を受診したらよいか、風邪による一時的な咳と呼吸器疾患の咳とは違いがあるのか、検査や治療法はどのような内容かなど、疑問点は多い。「さいとう内科・呼吸器クリニック」では、齋藤宜之(よしゆき)院長が専門とする呼吸器内科を中心に、一般内科全般に幅広く対応している。「咳が止まらない」「息切れがする」「胸が痛む」といった呼吸器系の症状で訪れる患者が多いという。呼吸器疾患の検査や診療の流れについて解説してもらった。
(取材日2019年11月21日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのようなときに「呼吸器内科」を受診すべきでしょうか?
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A
「咳」がポイントになります。長引く咳やしつこい咳は、咳喘息、気管支炎、肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんなどの疾患が考えられます。いずれも特徴的な咳の症状があります。風邪は治ったのに咳が止まらない場合や、いつもの風邪の咳とはちょっと違うと感じる場合は要注意です。中でも多いのは咳喘息で、咳が2週間以上続くようでしたら、早めに受診することをお勧めします。また、年齢や性別を問わず痰が切れにくい、動くと息切れがする、胸が痛む、といった症状のある方も呼吸器内科へお越しください。
- Q咳喘息の予防に、日常生活で気をつけることはありますか?
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A
風邪をきっかけに咳がいつまでも続く方、季節の変わり目など寒暖差の大きい時季に咳が出る方、アレルギー物質に反応して咳が出る方など、咳喘息にもいろいろタイプがあります。まずは風邪の予防のために、季節を問わず、普段から手洗い・うがいをしっかりしましょう。風邪やインフルエンザの流行している時期は、マスクをして出かけてください。埃やダニなどのハウスダスト、乾燥や冷気が原因の咳にも、マスクの着用は有効です。そのほか、バランスの良い食生活や規則正しい生活、ストレスをためないなど、健康的な生活習慣が、予防につながります。
- Q吸入薬のステロイドの副作用について教えてください。
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A
咳喘息や気管支喘息の治療には炎症を抑えるために吸入ステロイド薬が広く使われています。副作用については患者さんからもよく質問されますが、吸入薬に使われるステロイドは副作用がほとんど出ないように工夫されています。吸入という方法で肺に直接届けるため体内にごく微量しか吸収されないので、心配する必要はありません。吸入薬もいろいろなタイプがありますから、合わない場合は薬剤の種類を変えるなど対処できます。不安なことがあれば、医師に相談してください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診票の記入と診察
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初診では、現在の症状や現在治療中の疾患の有無、これまでの病歴、薬のアレルギーなどを記入する一般の問診票のほか、咳専用の問診票にも記入する。咳が続いている期間や咳がよく出る時間帯、過去に同じ症状があったかなどの項目があり、咳の原因となっている疾患の見当をつける。記入漏れの項目は看護師が確認して記入し、診断へとつなげていく。
- 2専門的な検査による診断
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医師が診察を行い、一般問診票、咳専用問診票の各項目をもとに、より詳しい内容を丁寧に聞き取る。症状について困っていることなど、記入しきれなかったことがあれば直接伝えることができる。問診の後、咳の原因となっている疾患を絞り込み、確定診断のために検査を実施する。検査は、血液検査やエックス線検査、呼気・吸気の量を調べる肺機能検査、一酸化窒素の量を調べる呼気NO検査などを組み合わせて行う。
- 3患者とともに治療法を選択
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院内検査の結果はすぐに判明するので、問診と検査結果をもとに疾患や治療法を説明する。咳喘息、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断された場合は、吸入薬を使った薬剤療法になる。吸入薬は服薬の回数や使用法によってさまざまな種類があるので、症状や年齢、生活スタイルに合わせて、患者一人ひとりに対し、より適したものが選択、処方される。
- 4医師または看護師による吸入指導
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吸入薬による治療となった場合は、医師または看護師が正しい使い方を指導する。医師や看護師が実際に使い方を示しながら説明し、患者自身も適切に吸入できるよう練習する。薬を正しく吸えないと薬の効果も見込めないため、吸入指導は重要だ。
- 5通院しながら経過観察
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初診から1〜2週間後に再診して、治療の経過を確認する。咳喘息の場合は、2週間〜1ヵ月で咳の症状は治まることが多いが、吸入薬をやめると再び咳が出ることもあり、症状や経過は咳の原因により人それぞれなので、治療にあたっては自己判断で中断せずに、医師の診断に従うことが大切。慢性疾患の場合は、長期の治療となり定期的に通院するとともに、自己管理についても理解してもらうよう進める。