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山下 達久 院長の独自取材記事

からすま五条・やましたクリニック

(京都市下京区/五条駅)

最終更新日:2021/10/12

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五条駅2番出口を出てすぐのビル3階にある「からすま五条・やましたクリニック」は、心療内科・児童精神科・精神科の診療を行う心のクリニックだ。情報や物が豊かになった反面、ストレスや生きづらさを感じる人が増え、大人も子どもも心のバランスを崩しがちな現代。「自分らしくいる場所を見つけることができずに傷ついた時、私たちに相談してほしい」と話すのは山下達久院長。思春期の精神疾患や不適応、心身症を専門に学んできただけでなく、公的専門機関で思春期の発達障害の診断、治療、支援に従事してきた山下院長は、受診希望者と受け皿のアンバランスを解消すべく、クリニックを開院したという。今回は、助けを求める人をサポートしたいと日々奮闘している山下院長に、さまざまに話を聞かせてもらった。

(取材日2020年1月16日)

京都に児童精神科のクリニックを増やしたい

まずはクリニックの特徴を教えてください。

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当院は心療内科・精神科として大人の診療をしているほか、児童精神科として学童期・思春期のお子さんの診療も行っています。現代は情報技術が急速に進歩し、豊かな時代であると同時にストレスを感じることも増えてきていると言えると思います。そんな時代の中で、心のケアが必要になっているのは大人だけではありません。しかし、京都は子どもの心の診療を行っている開業医が非常に少なく、傷ついた心の癒やし方がわからず困っている人が少なくありません。当クリニックでは子どもから大人まで、傷ついた心に寄り添いながら、ストレスによる心と体のさまざまな不調をケアするクリニックです。

児童精神科を標榜し、開業を考えたのはなぜですか?

開業前は、京都府立こども発達支援センターで所長を務めていました。年齢や障害に応じた総合的な療育を通じて、子どもの健やかな成長と発達支援をめざし働く中で、公的専門医療機関ならではの良さも感じましたが、同時にすぐに支援が届けられないなどの問題もあり、もっと気軽に訪ねることができ、もっとスピーディーに支援につなげることができる町のクリニックの必要性を痛感しました。しかし、児童精神科を標榜するクリニックは非常に少ない。全然足りていないんです。だったら、まずは自分でやろうと考えました。そして、児童精神科を中心として診療しても経営としても成り立つんだよということを証明し、児童精神科のクリニックを増やすことができればと思ったのが開業のきっかけです。

児童精神科の受診に不安を感じている人は、まだまだ多いのでしょうか?

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少し前は気になっていても「障害があると言われたら怖い」という気持ちや、「病気だと認定されたくない」という思いから、精神科を受診することに抵抗を感じている人は多かったと思います。しかし、最近では「子どもの特性を早く知ることで、子どもに合わせた育て方ができる」という考えが広まってきたのか、積極的に受診してくださることも増えてきています。特に、子育ての中で育てにくさを感じていたり、日々起こるトラブルの原因が「自分の育て方が悪かったせいではないか」と悩んでいたり、周りからの心ない声に心身ともに傷ついている場合には、診断がつくことでホッとしたり、前向きに考えられるようになる場合も増えているように感じます。

発達障害への偏見や誤解を解消し、より良いサポートを

子どもの治療に関して、家族や夫婦間で足並みがそろわないケースも多くあると思うのですが。

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毎日一緒にいるお母さんが違和感を感じて受診や治療を希望していても、一緒にいる時間が少ないお父さんは「治療など必要ない」と思っている……というケースは本当に多いです。でも、お父さんにも自分のお子さんの特性を知ってもらい、接し方を知ってもらうことは、子ども自身にとっても良いことですし、それ以上にお母さんにとっていいことなんですよ。ですから、毎回ではなくてもいいので、ぜひ一度は一緒に来て話を聞いてみてほしいです。もちろん、おじいちゃんやおばあちゃんが一緒に来てくださっても構いません。わからないことはなんでも聞いてくださっていいですし、聞いてみたいこともどんどん聞いてもらえたらと思います。

発達障害についての偏見や誤解が原因で、子育てがつらいと感じている人も少なくないですよね。

発達障害に関して、世の中には根強い偏見があり、その偏見が子どもや主養育者であるお母さんの日々をより息苦しくしているように思います。お父さんのお仕事が忙しいことは百も承知ですが、子育てはやはりお母さん一人ですることではないと思うんですよ。お父さんはもちろん、関わっていく大人たちみんなでするものです。ですから、子どもに関わる大人たちがその子の特徴をよく理解し、子どもに声をかけるのはもちろん大切。同時にいつも一緒にいるお母さんの気持ちを理解し、ねぎらうことも非常に大切なことなんです。お母さんだって頑張っているのに、責められてばかりいると立つ瀬がないですよ。子育てが苦痛であふれてしまう。そうならないようにサポートしなくてはいけません。

不登校や引きこもりも、社会問題の一つではないかと思います。

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そうですよね。ある日子どもが学校に行かなくなったり、部屋から出てこなくなったら、慌てると思います。特に、理由を聞いてもはっきりした答えがわからない場合はなおさらです。そんな時、私は児童精神科の医師として、発達という視点を持って子どもたちを診るよう心がけています。発達障害の場合に生じる発育の凸凹は見た目にわかりにくいことも多く、周りからは理解してもらいづらいため、周りは頑張りを強要してしまう。「なんでこんなことができないの?」「やればできるんだから」となるけれど、子ども自身はどうしようもない「やりづらさ」を感じているかもしれない。適切な診断のもと、適切なサポートをすることで解決していくこともあると思います。

家族でかかれる「心のかかりつけ医」を

子どもが受診を拒否している場合はどうしたらいいでしょうか?

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よほど緊急の場合以外は、無理に連れてこなくてもいいと思うんですよ。だから初診の時はお母さんだけでもいいと思います。ただ、「相談できる場所があるんだよ」とか「先生はこんな話をしてたよ。こんな場所だったよ」と伝えてみてほしいですね。そうこうしているうちに「そんなとこなら行ってみようかな」と言ってくれる子も意外と多いんです。学校に行けなくても、部屋に閉じこもっていても、一番つらいのはその子自身なんですよ。つらさから身を守りたくてそうなっているのだから、無理やり引っ張ってきても駄目なんです。誰だってつらいのは嫌だし、助かりたいと思っているはずです。ですから、まずは保護者が実際に体験し、大丈夫なんだということを話してあげてください。

薬を処方されたら飲み続けることになるのではないか、やめられないのでは、と心配な人もいると思います。

向精神薬など、薬にあまり良いイメージがない人もいらっしゃると思います。しかし、薬を適切に使用していくことで症状が治まり、日常生活の違和感が少なく過ごすことができる場合もあります。ですから、症状によってはお勧めすることも、もちろんあります。しかし、常に患者さんをよく観察し、よく話をした上で必要に応じてお出ししていますし、症状が改善されれば量を減らしたり、投薬を中止することも当然あります。不必要な薬は出しませんので、必要以上に薬を怖がる必要はありません。心配に感じることは聞いていただければ説明しますし、安心していただけるように努めます。

それでは最後に、読者へメッセージをお願いします。

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今の世の中は、一見、多様性を重んじるようでいながら「こんな人もいいじゃないか」という寛容さがなくなっているように思います。「みんなと同じようにできなくちゃいけない」という考えに縛られることで、両親まで育児うつになってしまったりする。そんなストレスが多い時代だからこそ、心のケアをすることは大切なことです。体のかかりつけ医を持つように、家族の誰かが心のバランスを崩したら相談できる、心のかかりつけ医も持ってほしいと思います。現在、当クリニックも予約が取りづらくなっていますが、これからも一人でも多くの家族のサポートができるように頑張ります。どうぞ一人で苦しまず、まずは相談してください。

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