長縄 陵亮 院長の独自取材記事
ハリヨ歯科
(大垣市/東大垣駅)
最終更新日:2024/02/08
商業施設や住宅が立ち並ぶ見通しの良い場所にある「医療法人ZUTTO ハリヨ歯科」。2017年に「地域に根づき一人ひとりの患者を一生見続けていこう」という決意のもと長縄陵亮院長が開業した。歯科口腔外科の豊富な経験を生かし、虫歯や歯周病治療から補綴や義歯、インプラントに至るまで患者のさまざまなニーズに対応するのが特徴だ。一歩先に目線を置き将来を見据えた医療貢献をするため、子どもの食育や予防にも力を注いでいる。「これからの歯科は治療から予防へと変化させていくことが大切」と語る長縄院長から、クリニックのこだわりや治療へのモットーなど熱い思いを聞いた。
(取材日2018年5月24日/情報更新日2024年2月5日)
治療から予防へ、健康になるためのコミュニティーの場
クリニック名の由来を教えてください。
クリニックの屋号を決める際にこだわったのは、自分の名前にしないことでした。スタッフを含めてみんなでつくっていきたいという思いがあったのですが、院長の名前が主体になると院長が一人で盛り立てていくイメージになるような気がして……。「ハリヨ」とは、日本でも大垣市エリアにいる非常に珍しく貴重な魚で、きれいな湧き水にしか生息しないといわれています。水の湧き出る所って昔から変わらず根づいていて、きれいな水を求めて人がたくさん集まる場所なんです。僕がめざす「患者さんが痛い思いをするためではなく、痛くならないために健康な方がより健康になるために通っていただけるコミュニティーでありたい」という理念が一致したので院名に入れることを決めました。「ハリヨがいる場所に人が集まる」、そんなクリニックにしていきたいです。
カフェのようなとてもすてきな院内ですね。
外からでも院内が見えるように正面をガラス張りにし、一見カフェのような「歯科らしくない」のが特徴です。木をふんだんに使って温かみのある雰囲気にして少しでもリラックスできるような造りにしました。僕も3歳と5歳の子を持つ父親でもあるので子育て世代の大変さがわかります。親御さんがお子さんと一緒に気軽に来院でき、不自由なく過ごせる環境が大事だと思っています。お子さんが飽きずに待てるキッズルームや、家族みんなで一緒に入って治療ができるファミリールームを整えました。3歳までのお子さんを預かる託児所も用意しています。また、患者さんとの対話を大切にしていますので、受付にはローテーブルを設置して腰を据えて話をしていただけるようにしました。カウンセリングルームを2部屋造ったのも、治療前の説明を落ち着いて聞いていただきたいから。患者さん目線でさまざまな工夫を施しました。
専門性を持ったスタッフが多いとお伺いしました。
スタッフは、歯科衛生士、保育士、管理栄養士の専門職で構成しており、一人ひとりが主役となって患者さんをサポートしています。歯科衛生士は、お口の中のメンテナンスや歯磨きの指導やアドバイスなどを行います。保育士には、託児やお子さんの成長や普段の生活の悩みを気軽に尋ねていただきたいですね。また、管理栄養士には、お子さんの食育や普段の食事指導などを任せています。僕の妻も歯科医師をしていて、子育て中で今はサポート中心ですが、いずれは小児歯科を担当していく予定です。このように専門知識をもったスタッフがいることで、患者さんにもいろいろと相談していただいています。口腔内のことだけでなく人生に寄り添い生活の一部となれる存在でいたいと思います。
治療前の丁寧な説明を心がけ、患者との対話を重視
治療においてのモットーは?
患者さん自身で判断し決断していただくために、きちんとした説明をし「歯を抜かれた」「銀歯を入れられた」などといった「○○された」と思われないようにすることです。初診ですと、最初に30分ほど時間をかけて話をしますし、2回目以降は治療法などについての説明を念入りにします。例えば、かぶせ物をする時など決める前に「こういうものがありますよ」と詳しく説明をして、ご納得いただいてから進めます。患者さんに一つでも知識を持って帰っていただくことを心がけています。そのためには診察台ではなく、カウンセリングルームを利用して緊張なくフラットな気持ちで話ができるようにしています。話に始まり話に終わる、何よりも患者さんとの対話を重要視しています。
細部までこだわった診療をされているとか。
僕にとって歯科用拡大鏡は欠かせないです。術野がしっかり見えるため、虫歯を削る時に最小限の削除量に留めることができ、少しでも削り過ぎないミニマムな治療が可能になります。歯科衛生士もクリーニングの際に使用しますよ。それから滅菌ですね。身近にいるスタッフが患者として、また家族を連れて来てもらえる歯科でありたいと思っています。院内のことはスタッフが一番わかっているので、やはり滅菌ができていなければ連れてはこないですよね。タービンも1回ずつ使用するごとに滅菌していますから余裕を持った数が必要ですし、滅菌回数を増やせば壊れやすくなります。それでも投資を惜しまず、患者さんの見えないところでも徹底的に清潔さを保ってこそ、本当の信頼が得られるのだと思います。
子どもの食育にも注力していらっしゃるのですね。
きちんと噛んで食べることは顎を動かし、顎の発達を正すことにもつながるといわれていますので本当に大切です。そのために、4歳くらいから虫歯の話をスライドを使って見せたり、何に砂糖がどれだけ入っているかなどさまざまなアドバイスをします。採取した虫歯菌をパソコンで見せたりもします。子どもって、話を理解するとちゃんと行動してくれるんですよね。その後お菓子やジュースの量が減ったという親御さんの感想を聞けたらうれしいですし、変化していかれる姿を見られたら楽しいですね。また、メンテナンス後にお子さんの笑顔の写真を撮って院内に飾っていますが、3ヵ月の定期検診ごとに新しい写真を撮り、貼り変えた写真をプレゼントしているんです。これを楽しみにメンテナンスに来てくださるお子さんも多いですよ。
予防の大切さを啓発し、細菌対策で口腔内を健康に保つ
顕微鏡検査に注力する理由は何ですか?
治療やクリーニングの前後には、顕微鏡を使い虫歯菌や歯周病菌の状態を1ミクロンの世界でチェックします。「こんなに菌がいるんだ」とびっくりされると思いますが、目で見ることはインパクトが大きいので説得力が増します。痛くなる前に歯科へ行こうと思うきっかけにしてほしいですから。保険診療内ですべての患者さんに行っていて、1歳のお子さんでも検査しています。もともと無菌だったお子さんに細菌がいるのはご両親の影響があり、ご両親が治療をしていかないといくらお子さんが頑張っても無駄になってしまうことがあります。また、高齢になり認知症をはじめ、他の病気のリスクが上がる一つの原因は歯がなくなることだといわれています。口腔内の環境を整えるだけで健康につながれば、将来的にお子さんへの負担をかけずにも済むわけです。お子さんだけでなく、親御さんにももっと口腔内への関心を持っていただきたいですね。
歯磨き指導を大切にされているそうですね。
初診からご自分の歯ブラシを持参していただき合っているかを確認し、正しい歯磨きの方法を歯科衛生士がしっかりと指導しています。歯科でいくら治療しても家でできないと意味がありません。自分に合った歯ブラシを選ぶことが重要で、年齢や性別などに合わせて毛の固さなどが合ったものを紹介しています。1週間ほど使用してチェックするのですが、毛先が開いてしまっている場合は、歯ブラシが合っていなく、磨き残しがあるということです。確認のために顕微鏡での細菌チェックをしますし、口腔内写真で視覚的に確認していただきながら、ご自分の口の中の状態をいつも理解していただくことを大切にしています。
今後の目標は何ですか?
例えば、診察を受けて患者さんが何か一つでも知識を持ち帰ってくれるとします。その話がその方の家族に伝わり、その家族のお孫さん、曾孫さんにまで伝わっていったとしたらどんどん広がっていきます。小さな歯科かもしれませんが、啓発を続けていくことによって地域が変わるかもしれません。この大垣市エリアの予防に対する意識はまだまだ良くしたいと思っています。痛くなったら歯科へという発想を変えるためには、知識を一人ひとりに与えていくことが重要。クチコミとなってつながっていけば全体が変わっていくと思うんです。地域の健康意識を引き上げていくために、一石を投じていくことが今後の目標です。