中澤 速和 院長の独自取材記事
東新宿駅前クリニック
(新宿区/東新宿駅)
最終更新日:2022/11/10

東新宿駅B2の出口を出てすぐ、右手に「東新宿駅前クリニック」の看板が見えてくる。出口横にクリニックへ上がるエレベーターがある利便性の高い同院。泌尿器科を中心に、腎臓内科、性感染症内科も診療。婦人科も標榜していることから、女性が泌尿器科を受診しやすいのも同院の特徴の一つだ。東京女子医科大学で泌尿器を専門に研鑽を積んだ中澤速和(はやかず)院長は、気さくで話しやすい雰囲気のベテランドクター。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医と日本透析医学会透析専門医でもあるだけに、院内にトイレ型の尿流量測定器を設置するなど患者の負担に配慮した設備も充実を図る。ウェブ予約や自動精算機も導入し、患者の利便性や待ち時間短縮にも取り組む中澤院長に話を聞いた。
(取材日2019年12月26日)
専門の泌尿器科を柱に幅広い診療科目をカバー
こちらの診療体制を教えてください。

僕が泌尿器科をメインに腎臓内科や性感染症を診療しており、婦人科は僕と当院法人の理事長も担当しています。性感染症の患者さんを含めると全体の約4割が泌尿器科の患者さんですね。泌尿器科というと男性が通うイメージが強いと思いますが、当院は婦人科があることから女性の患者さんも多いですね。内診台もあるので一般婦人科の診察もできますし、月経困難症やピルの処方、婦人科疾患や不眠症の方もいらっしゃいます。場所柄、仕事帰りに予約ができるなどの利便性もあるため、相談に訪れる人が増えているようです。
2018年の開院と伺っています。どのような経緯で開院されたのですか?
大学を卒業してから東京女子医科大学病院に26年、分院の同大学東医療センターでは泌尿器科部長として13年勤務しました。腎がんの治療を中心にしてきましたが、世界を変えて一般診療をしたいと思ったのが開院のきっかけです。東新宿は東京女子医科大学にも近く土地勘があったので、ここでやってみようと思いました。僕はもともと泌尿器科が専門なので、ここを立ち上げる時は、設備も含めて大学病院の泌尿器科まで行く必要のない患者さんの窓口みたいな役割を考えていましたが、新宿という場所柄、近隣の一般内科の患者さんのほかに性感染症のご相談でいらっしゃる方も多いですね。僕は大学病院で、腎移植や透析にも携わっていたので、高血圧や糖尿病などの内科的な合併症も診ることができます。そういう意味では、泌尿器科として局所的な診断を行うというのとは異なる教育を受けてきたことが、今役立っているかもしれないですね。
地域のかかりつけ医的な役割も担っていらっしゃるのですね。

当院で治療が完結しない場合でも、病名や症状を診断して、適切な治療が受けられるのがどこの科なのかを見極めることが大切です。いってみればポータルサイトのようなものですね。地域の方たちが最初に訪れる医療の入り口として対応ができればと思っています。ただ、来院される患者さんは他にもさまざまな病気を持っておられる方が多いので、必要に応じて他の医療機関への紹介も行っています。患者さんの希望も含め、主に近隣の東京女子医科大学病院や国立国際医療研究センター、大久保病院、東京医科大学病院、JCHO東京山手メディカルセンターなどへ紹介しています。
臨床の基本は患者の話をしっかりと聞くこと
泌尿器科がご専門ということで、こちらでは尿流量測定器も導入されているそうですね。

一般的な尿流量測定器は、便器にロートがつながっているタイプで、1秒間に尿が何cc出ているかを測定するものですが、患者さんは検査だと思うと緊張してしまい、なかなかうまく出せないことも多いんですよ。そこで当院では普通のトイレとしても利用できるタイプを導入しています。検査は便器に座って、スタートとストップの2つのボタンを押すだけ。音消し機能もあり、リラックスした状態で検査をしていただけます。この尿流量測定器は開発されてしばらくたちますが、価格が高額なことと、導入する場合は下水道をきちんと整備しないといけないため、後から追加で設置するのが難しく、備えている医院は多くないと思いますね。
尿流量測定器による検査でどのようなことがわかるのですか?
尿流量測定器は前立腺肥大症や神経因性膀胱などで起こる排尿障害を調べる測定器です。おしっこが出にくくなったという訴えがあってもそれは主観的な感覚なので個人差があります。それを客観的に検査するため、1秒間に何cc出ているのか、どのようなパターンで出るのか、残尿がどれぐらいあるのかなどを調べます。排尿機能を評価するには、一番シンプルで重要な検査といえますね。尿がたまってない人だと急には出ない、お水を飲んでいるがなかなかたまらないなどタイミングが難しいのですが、当院の測定器であれば、ある程度リラックスして検査を受けていただけると思います。
先生が診療で大事にされていることは何ですか?

きちんと説明することと、話を聞くことです。「Listen to the patient」はカナダの著名な医学者の言葉ですが、臨床の基本となっています。医師は患者さんが何で困っているのか、何に悩んでいるのか、何が苦痛か、対話することでどう治していくかを考えていかなくてはなりません。僕はこれまで腎がんをたくさん診てきましたが、初期段階の手術後でも、いつ再発するのだろうと不安になる患者さんもいます。しかし半年に1回の検査に来て話を聞くだけでも安心するものです。医学に100%はないけれど、100%あるのは死。それが何歳なのか、原因が何かは人それぞれですが、大事なのはどう生きていくかということ。精神的苦痛や痛みは良くないですし、緩和ケアが注目されているのは、そうしたものを取り除くことで前向きになれるからでしょう。診察室から出る時には、患者さんに満足して帰っていただきたい。それが基本的な考え方ですね。
患者ニーズに合わせた受診しやすい診療体制をめざして
先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょう?

父の後押しがあったからです。僕が高校生の頃はちょうど学生紛争の最中でしたが、哲学や自然科学の分野が好きでいろんな本を読みましたね。生命に関心があったので、そのまま進んでいたら遺伝子などの研究をしていたかもしれません。若い頃は哲学書が好きだったので、周囲は文学部に行くと思っていたでしょう。大学進学の時、他の選択肢もあったのですが、父や周囲から勧められたこともあり、医学部進学を決めました。
お忙しいと思いますが、趣味などはありますか?
大学病院での勤務を辞めてから時間があったので、年齢を重ねてもできるスポーツをと、スキューバダイビングを始めました。僕は全然泳げないけれど、泳げなくても楽しめます。体験ダイビングで沖縄に行った時、インストラクターさんが親切でいいなと思ったんです。最初は魚に興味がありましたが、今はのんびり海底の地形を眺めるのが楽しいです。石垣島や久米島、パラオにも行きました。最近は宮古島へ行くことが多いですね。開業後はなかなか休みが取れませんが、年に1度は行ければよいほうですね。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

ちょうど開院して2年になり、変えていかなくてはいけない点も出てきました。システム的には、ウェブ予約をより充実させていきたいということが一つ。会計などは自動精算機で行うので結構スムーズですが、診療に関しては一人で対応できないこともあるので、医師が増やせたらいいですね。そうすれば患者さんをお待たせすることも少なくなると思います。患者さんに合わせた診療体制、システムづくりが必要なのかなと思います。泌尿器科疾患のアドバイスとしては、高齢になると増える夜間頻尿は、不眠の原因となるだけでなく、転倒リスクが高まるということも覚えておいてほしいですね。骨折がきっかけで寝たきりになることもありますから、寝室を2階から1階にするなどして、生活そのものを見直せすことでリスクが減らせることもあります。患者さんの状況に応じた対処法などもお話ししていますので、気軽に受診していただきたいと思います。