中澤 速和 院長の独自取材記事
東新宿駅前クリニック
(新宿区/東新宿駅)
最終更新日:2024/11/05
2018年に開業した、東新宿駅から徒歩1分の「東新宿駅前クリニック」。院長の中澤速和(なかざわ・はやかず)先生は、東京女子医科大学病院やその分院で約40年間泌尿器を専門に研鑽を積み、日本透析医学会透析専門医、日本泌尿器科学会泌尿器科専門の資格を持つベテラン医師。泌尿器科を中心に、腎臓内科、性感染症内科、婦人科も標榜しているため、女性が受診しやすいのも特徴の一つだ。10~30代は性感染症、60~70代は泌尿器の相談が多いという。エコーや内視鏡はもちろん、トイレ型の尿流量測定器を設置するなど設備も充実している同院。ウェブ予約や自動精算機も導入し、「患者さんの利便性や待ち時間短縮にも積極的に取り組んでいます」と、柔和な表情を浮かべる中澤院長に、同院の取り組みや増えている性感染症などについて聞いた。
(取材日2023年12月5日/更新日2024年10月29日)
専門の泌尿器科を柱に幅広い診療科目をカバー
こちらの診療体制を教えてください。
泌尿器科をメインに腎臓内科や性感染症内科を診療しており、婦人科も標榜しています。性感染症を含めると、全体の約4割が泌尿器科の患者さんですね。泌尿器科というと男性が通うイメージが強いと思いますが、当院は婦人科があることから女性の患者さんも少なくありません。そのため当院では、週1回、東京女子医大の泌尿器科が専門の女性医師による外来も設けています。内診台やエコーも備えており一般婦人科の診察もできるため、月経困難症などへのピルの処方、婦人科疾患や更年期障害、不眠症の方もいらっしゃいます。東新宿駅から徒歩1分という場所柄、仕事帰りに立ち寄れるなどの利便性が高いことで、相談に訪れる方が増えているようです。
泌尿器科がご専門ということで、尿流量測定器を導入されているのが特徴的です。
当院では、普通のトイレとして利用するだけで検査ができるタイプの尿流量測定器を導入しています。検査は便器に座って通常どおりに排尿しながら、スタートとストップのボタンを押すだけ。音消し機能もあり、リラックスした状態で検査をしていただけます。一般的な尿流量測定器で多いのは、便器にロートがつながっているタイプです。これは1秒間に尿が何cc出ているかを測定するものですが、患者さんは検査だと思うと緊張してしまい、なかなかうまく排尿できないこともあるんですよ。当院の尿流量測定器は開発されてしばらくたちますが、価格が高額なことと導入する場合は下水道をきちんと整備しないといけないため、後から備えつけるのが難しく、設置している医院は多くないかもしれません。
尿流量測定器による検査で、どのようなことがわかるのですか?
前立腺肥大症や神経因性膀胱などで起こる排尿障害を調べることができます。「おしっこが出にくくなった」「排尿がいつもと違う」という訴えは、患者さんの主観的な感覚なので個人差があります。それを客観的に検査するため、尿流量測定器で「1秒間に何cc出ているのか」「どのようなパターンで出るのか」「残尿がどれぐらいあるのか」などを調べます。排尿機能を評価するには、一番シンプルで重要な検査といえるでしょう。尿がたまっていない方だと、「急には出ない」「お水を飲んでいるけれど、なかなかたまらない」などタイミングが難しいのですが、当院の測定器であれば、ある程度リラックスして検査を受けていただけると思います。
待ち時間短縮をめざし、会計や予約システムを工夫
泌尿器科の中でも、性感染症のご相談が多いと伺いました。
新宿という場所柄、性感染症のご相談でいらっしゃる方が増えてきました。当院では、クラミジア感染症、淋病、梅毒、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマ、トリコモナス膣炎、膣カンジダ症、HIV感染症などの検査や治療を行っています。患者層としては、10~30代の若い年代が中心で、クラミジア感染症、淋病、梅毒、性器ヘルペスなどが多いです。性器の腫れやかゆみ、臭い、排尿痛、おりものの増加、外陰部の痛みなどを自覚したら早めに受診してください。性感染症は繰り返さないようにし、パートナーにうつさないことが大切です。女性の場合、放置しておくと不妊につながる可能性もあります。当院には、カップルで検査に訪れる方もいらっしゃいますよ。
先生が診療で大事にされていることを教えてください。
きちんと説明することと話を聞くことです。「Listen to the patient」はカナダの著名な医学者の言葉ですが、臨床の基本となっています。医師は患者さんが何で困っているのか、何に悩み、何が苦痛かを聞き取り、対話することでどう治していくかを考えなくてはなりません。僕はこれまで腎臓がんをたくさん診てきましたが、がんのステージが初期の手術後でも「いつ再発するのだろう」と患者さんは不安を抱えています。そんなとき半年に1回の検査に来て、医師の話を聞くだけでも安心するものです。医学に100%はないけれど、死は100%訪れます。それが何歳なのか、原因が何かは人それぞれですが、大事なのはどう生きていくかです。緩和ケアが注目されているのは、精神的な苦痛や痛みを取り除くための医療により前向きになれるからでしょう。診察室から出る時には、患者さんに満足して帰っていただきたい。それが基本的な考え方ですね。
会計や予約がスムーズになるように配慮されているそうですね。
時には混雑して患者さんをお待たせしてしまうこともあるので、少しでも待ち時間を短縮できるようシステムづくりを行ってきました。電子カルテを導入し、そのデータが会計に速やかに反映され、診療が終わるとあまりお待たせすることなく自動精算機で支払いを済ませられます。精算は、現金とクレジットカードに対応しています。自動予約機もあるので、次回の予約をして帰っていただくことも可能です。その場で予約を取らなくても、24時間ホームページから2ヵ月先までウェブ予約ができるので、再診の方だけでなく初診の方もご利用ください。診療に関しては一人で対応できないこともあるので、医師が増やせたらいいですね。そうすれば患者さんをお待たせすることも、さらに少なくなるのではないでしょうか。
患者が最初に訪れる医療の入り口をめざして
ところで、先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょう?
父の後押しがあったことです。僕が高校生の頃はちょうど学生紛争の最中でしたが、哲学や自然科学の分野が好きでいろいろな本を読みました。生命に関心があったので、そのまま進んでいたら遺伝子などの研究をしていたかもしれません。哲学書を読みふける僕を見て、周囲は文学部へ行くと思っていたようです。大学進学の時は他の選択肢もあったのですが、父や周囲から勧められたこともあり、医学部進学を決めました。
先生ご自身の強みを教えてください。
僕は、大学を卒業してから東京女子医科大学病院に26年、分院の同大学東医療センターでは泌尿器科部長として13年勤務しました。約40年間泌尿器科を専門に研鑽を積んできたと同時に、大学病院では腎泌尿器がんの治療や腎臓移植、透析にも携わっており、泌尿器科として局所的な診断を行うのとは異なる教育を受けてきたのです。そのため、高血圧や糖尿病などの内科的な合併症も診ることができます。泌尿器科はご高齢の患者さんが多く、高血圧や糖尿病などさまざまな生活習慣病を抱えている方が珍しくありません。生活習慣を詳しくお伺いして生活指導をしながら、血糖値や血圧のコントロールなどと並行して、泌尿器科の治療を行えることが強みだと自負しています。
地域のかかりつけ医的な役割も担っていらっしゃいますね。
僕は泌尿器科が専門なので、当院を立ち上げた時は、大学病院の泌尿器科まで行く必要のない患者さんが最初に訪れる窓口になりたいと考えていました。当院で治療が完結しない場合は、病名や症状を診断して、適切な治療が受けられる診療科を見極めています。ただ、生活習慣病など他にも病気を持っている患者さんが多いので、必要に応じて他の医療機関へ紹介することもありますよ。そのため近隣の東京女子医科大学病院、国立国際医療研究センター、大久保病院、東京医科大学病院、JCHO東京山手メディカルセンターなど、多くの病院と連携しています。今後はオンライン診療の導入も考え、患者さんの生活環境に沿った医療も提供していければいいですね。当院では、泌尿器科にこだわらず、プライマリケアをはじめとする総合的な診療を行うことをモットーにしています。どうぞお気軽にお立ち寄りください。