北川 雅恵 副院長の独自取材記事
きたがわ歯科クリニック
(広島市安佐南区/下祇園駅)
最終更新日:2025/03/31

下祇園駅そばの住宅街にたたずむ「きたがわ歯科クリニック」。2017年に北川尚嗣院長が開業し、現在は妻の北川雅恵副院長とともに診療にあたっている。小さな子どもから高齢者まで幅広い世代に親しまれているクリニックだ。雅恵副院長は広島大学歯学部を卒業後、同大学病院の口腔検査部門で16年間にわたって研鑽を積んできた歯科医師。ドライマウスや歯科金属アレルギーに精通し、過去には唾液に関する著書を出版した経験も。「歯科医院というと歯や歯茎に固執してしまいがちですが、舌や唾液、お口周りの筋肉なども歯科領域です。気になることがあれば、ぜひご相談ください」と話す雅恵副院長に、専門領域や検査・治療の進め方などを詳しく聞いた。
(取材日2025年3月16日)
16年間、たくさんの症例を診てきた経験を糧に
ドライマウス・歯科金属アレルギーを担当しているそうですね。

もともと院長が虫歯や歯周病治療、インプラント治療、口腔外科といった歯科全般に対応していましたが、そこに私がドライマウスと歯科金属アレルギーの担当として加わりました。クリニックの診療内容はより一層広がったかなと。とはいえ、ドライマウスや歯科金属アレルギーに悩んでいても、相談先がわからないという患者さんは少なくありません。歯科医院は歯や歯茎だけでなく、舌や唾液、お口周りの筋肉はもちろん、歯科金属アレルギーの診療もできるということをぜひ知ってもらいたいですね。私は口腔検査部門で数多くの症例を診てきましたし、当院では専門的な治療を行うことができます。
口腔検査部門では、どのような検査や診療をしていたのですか?
16年間、口腔病理をはじめとした各種検査や、ドライマウスや歯科金属アレルギーの検査や治療を行っていました。例えば、口腔外科から紹介された患者さんの病変を見つけたり、歯科金属アレルギーの患者さんの診察をしたり。患者さんの多くは、既にいくつかの医療機関へ相談に行ってから大学病院にたどり着いた方々です。診療では決して「気のせいだよ」といった言葉はかけずに、傾聴を大切にしながら進めていました。症状は軽度から重度のものまで多岐にわたりますが、「やっと治療をしてもらえる」とほっとされている患者さんが多かった印象です。なお、近年はドライマウスを診療している歯科医院はあるようですが、歯科金属アレルギーに対応できる歯科医師は珍しいのではないでしょうか。
先生がこちらに入職された経緯をお聞かせください。

新型コロナウイルス感染症の流行を経て、今後のキャリアを考えるようになりました。このまま勤務医として働く選択肢もありましたが、院長とともに地域の患者さんに直接向き合い、長く関係を築いていくのも良いなと。そこで、当院の副院長に就任することを決めました。一般的には、まだ「ドライマウス・歯科金属アレルギーは歯科医院に診てもらう疾患」という認知はあまり進んでいないため、院長が気になる症状を見つけた場合は紹介してもらうようにお願いしています。ドライマウスで唾液が少なくなると、虫歯や口腔環境の悪化にもつながりますし、少しでも違和感があれば相談していただけるとうれしいです。
治療で改善が望めるドライマウス・歯科金属アレルギー
ドライマウスで受診すべき目安をお聞かせください。

お口が少し渇く程度で、お困りでない場合は、問題視する必要はありません。受診をお勧めするのは、渇きの症状だけでなく、痛みを伴うとき。何もしていないときや食事中のピリピリが気になる場合は、ぜひご来院ください。例えば、膠原病の一種で唾液が出なくなる病気がありますが、その日の体調によっても唾液が出るとき・出ないときがあります。適切な薬を処方すれば、症状の改善が期待できるのを知ってもらいたいですね。なお、ドライマウスに悩む20代の患者さんもいますが、更年期以降の50~60代の女性が多い印象です。なかなか周囲の理解が得られない症状でもありますので、診療ではしっかりお話を聞いて差し上げるようにしています。
歯科金属アレルギーについても詳しく教えてください。
歯の詰め物である金属などが原因で口腔内の粘膜がただれたり、手足の皮膚などにぶつぶつができたりするのが歯科金属アレルギーです。痛みやかゆみを伴うほか、皮膚や粘膜に発疹ができる扁平苔癬を引き起こす恐れもあります。食物アレルギーや花粉症などのアレルギー体質の患者さんが歯科金属アレルギーを発症するケースが多いようですが、年齢は関係ありません。ずっと歯の詰め物を入れていたのに、ある日急に歯科金属アレルギーを発症することも珍しくないんですね。というのも、お風呂場にヘアピンを置いていたら錆びていくように、口の中の詰め物である金属も少しずつ溶けていきます。そのため、詰め物を入れてから数年後に発症するケースもあり得るのです。
どのような検査や治療を進めていきますか?

皮膚のパッチテストでアレルゲンとなっている金属を特定し、口腔内から除去していくことになります。金属の代わりに、白い詰め物に交換する必要がありますが、治療後すぐに症状がなくなることを期待できるわけではありません。ケースによっては1年程度かけて経過を見ていく必要があることも。また、歯科金属アレルギーやドライマウスでより専門的な治療が必要だと判断した場合は、速やかに連携先の病院を紹介するようにしています。
口の悩みを丸ごとサポートできるクリニックへ
近年、力を入れている診療などはありますか?

噛む力や舌の力、お口周りの筋力が低下してしまう口腔機能低下症の診療ですね。近年、保険適用となりましたが、口腔検査部門でよく診ていた疾患の一つです。70代を過ぎると噛む力が弱くなることも多く、ご高齢の患者さんが口腔機能低下症になると嚥下障害を引き起こす恐れがあります。また、子どもは歯列不正につながりますし、いずれにせよ早期の治療が重要です。当院には、噛む力や舌の力を測定する専用機器もそろえていますし、気になる方は一度ご相談ください。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?
書道が好きですので、休日には書道を楽しんだり、小学生や高校生の子どもたちとお出かけしたりしています。また、口腔検査に関する勉強会での発表や情報交換なども熱心に行っていますよ。医療の世界は日進月歩なので、日々アップデートしていきたいなと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

最近、テレビや雑誌などのメディアで「フレイル予防」が取り上げられるようになりました。これは「心身が弱ってきているときは早めに検査を行い、治療をしていきましょう」という考え方です。厚生労働省もその重要性を訴えていますし、お口のフレイル予防のためには口腔機能低下症の早期発見・治療も欠かせません。少しでも気になることがあれば、ぜひご相談ください。また、これからも院長とともに、地域に根差した歯科医療を提供していきたいですね。地域の方々はもちろん、ドライマウスや歯科金属アレルギーに悩んでいる患者さんにしっかり向き合っていきたいなと。お口の悩みを丸ごとサポートしたいと思いますので、ぜひ当院をご活用ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは顎顔面矯正/40万円~、歯周組織再生療法/6万円~、インプラント治療/30万円~