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柳楽 知義 理事長の独自取材記事

さくらクリニック

(大阪市北区/中津駅)

最終更新日:2024/01/12

柳楽知義理事長 さくらクリニック main

中津駅から徒歩10分。淀川河川敷のほど近くにある「さくらクリニック」。大阪、兵庫、奈良などに拠点を構える「医療法人光輪会」が運営するクリニックの一つであり、2014年の開業以来、理事長の柳楽知義先生を中心に訪問診療に力を注いできた。現在は、内科・小児科の外来診療でも多様な疾患に対応し、地域のかかりつけ医としての役割も担う。医師や看護師、事務スタッフらが一丸となって、診療にあたっている同院。高齢化とともにますますニーズが増える在宅医療の今後を見据え、患者を支える若手の教育体制も整えているという。今回は柳楽理事長に、同院の体制や、診療への想いなどについて語ってもらった。

(取材日2020年8月27日/更新日2023年12月11日)

患者も家族も後悔しないように全力で支える

まずはクリニックについて、ご紹介をお願いいたします。

柳楽知義理事長 さくらクリニック1

当院は関西に5拠点の在宅療養支援診療所を持つ「医療法人光輪会」の拠点の一つです。開業当初から半径16km以内なら「どこでも行きます」というスタンスで訪問診療を行ってきました。ただ、ここ数年は範囲を少し狭め、外来診療にも力を入れるようになっています。標榜科目は小児科・内科ですが、それ以外の症状であっても診られる範囲で対応しており、診療時間は平日の午前中、朝9時半からお昼の12時までです。一方、訪問診療については、在宅療養中の患者さんやご家族にご利用いただける、24時間365日体制のコールセンターがあることが、当院の大きな特徴の一つでしょう。電話が入ると、まず常勤看護師たちが状態を伺い、緊急性・必要性があると判断したら、何時であれ、医師・看護師が速やかに往診に向かいます。こうした手厚い対応ができるのは、光輪会の豊富な人員と拠点間の連携があってこそだと思います。

柳楽理事長も訪問診療を担当されるのですか?

ええ。というより、私の担当はもっぱら訪問診療なんです。毎朝、私も看護師も、それぞれ自分の車で施設や患者さん宅へ向かい、現地で合流するところから一日が始まります。施設の場合ですと薬剤師さんも同席のもと、全員で申し送りを確認したら診療開始です。処方箋もチェックし、ひと通りの指示を終えると、いったんクリニックへ戻るか、時間がなければそのまま午後の訪問先へ向かいます。忙しい日は、移動の車中で昼食を済ますこともあるんですよ(笑)。そして夕方、クリニックに戻ると、別の訪問先へ行っていた看護師たちが待っているので、指示をしたり質問に答えたり、というのが、基本的ないつもの流れです。帰宅してからも何かあれば携帯電話でやりとりをすることもありますね。そのために専用システムを導入し、スタッフ全員がいつでも連絡を取れる状態になっています。

どんな方が訪問診療を利用されているのでしょう。

柳楽知義理事長 さくらクリニック2

ほとんどが高齢の方です。比較的元気な方から、寝たきりの方、車いすの方、認知症のある方までさまざまですが、たいていの方は高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗しょう症などの病気があり、それを薬でコントロールしながら、自宅や施設で生活しておられます。どこで生活していても、できるだけ快適に過ごせるようにサポートしていくのが私たちの仕事だと思います。長く診ていけばお互いに年も取りますし、元気な方もだんだんに弱っていかれます。時には大病になることもあります。変化していく患者さんの体をどうやって診ていくか、というところがポイントになるでしょう。最終的には、最期をどういう形で迎えるのがご本人やご家族にとっていいのかも、一緒に考えていきます。最期までしっかり診させていただく、というのが光輪会のスタンスです。

患者のためにできることは何かを常に考える

どんなことを心がけて訪問診療をされているのですか?

柳楽知義理事長 さくらクリニック3

「患者さんのためにできることはすべてする」。そこはぶれてはいけないと思っています。訪問診療をしていると、いろいろなことが起きるものです。患者さんたちも悩まれていて、例えば90歳を超えてがんになり、病院で「希望するなら手術はしますが、リスクはこれだけあります」と言われてどうしようかというような方もおられます。そんなときもできる限り情報提供やアドバイスをして、患者さんとご家族の判断をサポートします。そしてどんな選択をしても、どんな結果になったとしても「間違っていなかったですよ」とご家族に寄り添います。ご家族が悩み続けないよう支えるのも私たちの役割ですからね。そうした姿勢を大事にしつつ、私を含めてスタッフみんなで、患者さんのために何ができるかを考えていきたいです。

柳楽理事長はどんな経緯で訪問診療の道に進んだのですか?

大阪医科大学附属病院で心臓外科の医師をしていた頃、研究のためにアメリカの大学へ留学したのですが、滞在先で子どもが発熱してしまったんです。その時、ホームドクターの先生がとても親身に診てくれて、「いい制度だなあ」と実感したのがきっかけです。その後日本に戻り、心臓外科の医師を続けるかどうか悩んでいると、光輪会の設立者と会う機会を得ました。話を聞くと、私がいいなと感じたアメリカの制度に近いものをめざしているということで、入職を決め、今の道に進んだのです。勤務医時代と比べると、現在のほうが、患者さんやご家族との距離が近くなったと感じています。以前は、患者さんが退院するとお付き合いも薄くなってしまうのが当たり前でしたからね。

クリニックであれば、かかりつけ医として患者さんとより身近にお付き合いできるということでしょうか。

柳楽知義理事長 さくらクリニック4

そうですね。大きい病院の枠組みの中にいると、「自分にできることを精一杯してあげたい」と思っても、なかなか難しい場合もあって……。ですから病院勤務より、患者さんお一人お一人とじっくり向き合える今のほうが、私には合っていると感じます。また、患者さんだけでなく、ご家族など周りの方々へのケアについても、勤務医だった頃より対応しやすくなりました。例えば、当院では、不安を抱えているご家族や施設の方のために、さまざまな相談・疑問を受ける時間を設けています。患者さんとご家族の双方に目配りし、地域の方々がより良い生活を送れるよう、お役に立つことが私の願いです。

信念のある医師、看護師たちとチームワークで臨む

スタッフルームからにぎやかな声が聞こえますね。看護師さんたちですか?

柳楽知義理事長 さくらクリニック5

はい。ちょうど1日の仕事を終えて、クリニックへ戻ってきたところですね。みんな仲が良くて、明るくて、仕事もきっちりやってくれます。患者さんとご家族のための労力を惜しみませんし、次に私が指示するだろう内容もわかっていて、確認しつつ先回りしてやってくれるので、とても助かっています。毎日、笑顔で患者さんのご自宅や施設へ出かけて行き、自分たちに何ができるかを考えて行動してくれる。そんな彼女たちが当院の宝であり、大きな財産だと思っています。

クリニックのモットーを教えてください。

スタッフ同士の関係も、患者さんと私たちの関係も対等であるように、ということです。スタッフたちはそれぞれの職種のプロフェッショナルですし、プライドを持って仕事をしています。そういう意味でまったく同等なわけです。そして、患者さんも同じです。お一人お一人が私どもにとって大切な存在ですし、だからこそ、変にへりくだる必要はないと思っています。患者さんには、私のことを「先生」でなく「柳楽さん」と呼んでもらって、まったく構いませんよとお伝えしたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

柳楽知義理事長 さくらクリニック6

先ほどもふれたとおり、当院のスタッフは、いつも患者さんとご家族のことを最優先に考えているメンバーばかりです。これからもチーム医療を推進しながら、近隣にお住まいの方や訪問先の方々の健康な毎日のために、外来・訪問の両輪で役割を果たしていきたいと思っています。ちょっと体調が優れないという時にも、どうぞ気軽にいらしてください。

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