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中富 康仁 院長の独自取材記事

疲れと眠りのクリニック淀屋橋

(大阪市中央区/淀屋橋駅)

最終更新日:2024/10/08

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋 main

大阪メトロ四つ橋線・肥後橋駅から徒歩3分、大阪メトロ御堂筋線、京阪本線・淀屋橋駅から徒歩4分と、通いやすい場所にある「疲れと眠りのクリニック淀屋橋」。大学病院で慢性疲労症候群などの臨床や研究に従事していた中富康仁院長が、2014年にナカトミファティーグケアクリニックとして開業し、2024年に現名称に変更した。「疲れ」に関する知見を生かし、疲労や睡眠の悩みを軸に、メンタルヘルスや新型コロナウイルス感染症の罹患後症状の相談にも対応する。「健康管理について気軽に相談してもらえたら」と優しい笑顔で話す中富先生に、誰にとっても身近な疲労や睡眠トラブルなどの診療について話を聞いた。

(取材日2024年7月4日)

脳科学の世界への興味から「疲労」の診療を志す

もともと疲労の研究をされていたそうですね。

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋1

実は医師になった当初は、研究には興味がありませんでした。それが精神神経科で脳科学の世界をのぞくうちに、「私に解明できることがあるのではないか」「臨床で生まれた疑問をもとに研究を進めることが重要では」と考えるようになったのです。さらに研究を進めたいと思い、大阪市立大学医学部附属病院に移り、疲労を専門的に診る外来で慢性疲労症候群の診療に携わりました。ただ高い専門性がある分、限られた患者さんしか受診できない環境でしたので、その前段階にいる、どこにかかっていいのか迷う方を受け入れる場所を作りたいと思い、2014年に開業したんです。当時のクリニック名は英語だったので、わかりにくいというお声があったのと、ニーズが高い睡眠の問題にも対応したいと考え、開業10周年を機に今の名前に改称しました。

どのような患者さんが来院されていますか?

お子さんから60歳以上の方まで幅広く、中でも30~40代の女性が中心ですね。全体的には、眠れないなどの症状があるのに医療機関で調べても原因不明とされた方が多いです。よく眠れずに夜中何度も起きてしまう人や、この地域がビジネス街でもあるので、お仕事の疲れで悩んでいる人のご相談もよくあります。特に男性は自分の体調をあまり問題視しない人が多いので、気軽に相談していただきたいです。

どんな状態になったら受診すべきでしょうか?

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋2

当院の患者さんに多い慢性疲労症候群の場合、代表的な症状は熱や痛み、倦怠感です。ただ、熱と痛みの症状はご自身でおかしいと感じやすいですが、倦怠感、つまり疲れは日常的にあるものなので、病気だと感じるのは難しいでしょう。基本的に、体へのダメージと回復力のバランスが崩れると疲労の症状が現れます。日常生活を送っていれば体は何らかのダメージを受け、その分回復のための機能が働くものです。その中心となるのが睡眠です。睡眠で回復を図ることができれば、まだ大丈夫でしょう。忙しい日が続いて疲れがたまっていても、週末に長い睡眠時間を確保して回復に導くことができれば、ぎりぎり大丈夫といえます。一方休日も予定が重なり休めなくなると、どこかに不調が出てきます。疲労とともに気になる症状が出てきたら、早めの受診をお勧めします。

慢性疲労症候群と密接に関係する睡眠トラブルにも注力

診察はどのように進むのですか?

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋3

まずはスタッフが予診として30分から1時間程度かけて面談し、状態を把握します。その後これまで受けた検査や診断も参考にしながら、見逃している疾患がないかを医師が確認していきます。特に慢性疲労症候群において、疲労は誰でも感じる症状ですから、どこからが病気かの判断は簡単ではありません。他の疾患の可能性をすべて排除し、患者さんの体質面の特徴も考慮しつつ見極める必要があります。診察では多様な症状を正確に把握することが何よりも重要です。また、経過観察をしっかり診ることも大切にしています。

慢性疲労症候群や睡眠トラブルの治療について教えてください。

患者さんそれぞれに合わせた治療を重視し、適切な薬の選択や、痛みへの対応、日常生活におけるアドバイスなどを行います。薬については、落ちてしまった回復力を助けるために使用します。例えば、夜遅くまで働いて急に寝ようと思ってもなかなか寝つけないといった場合には、睡眠を促すための漢方薬を処方することがありますね。それに加えて、睡眠へのアドバイスも大切です。日本は世界的に見ても睡眠時間がとても少なく、6時間から6時間半ほどという人も少なくありません。本来、1日の睡眠時間は7〜8時間、ロングスリーパーだと9時間ほど必要だといわれています。必要な時間はその方によって違いますから、そうしたことを踏まえた助言が欠かせないでしょう。

他にはどんな取り組みに力を入れていますか?

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋4

倦怠感のために仕事や生活ができなくなった会社員や経営者、主婦など、老若男女の皆さまの社会復帰に10年以上取り組んできました。多忙なメディア関係者もいらっしゃいます。どこに行っても原因がわからない、改善が難しいと言われたというケースもあります。患者さんが無事に社会復帰されるのは本当にうれしいことですね。また近年は、インターネットで情報を調べれば調べるほど必要以上に不安になる患者さんが増えていると感じます。医療情報の正確な解釈についてご説明するとともに、ご自身の体調をどのように理解すれば良いのかもお話しした上で必要な対処法を伝える。そうした役割を担うことがより重要になってきていると考え、最近は動画共有サイトを用いた解説などにも取り組んでいます。

疲労を軸に、気軽に健康管理を相談できる場をめざす

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方も来院されると聞きました。

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋5

新型コロナウイルス感染症の一部の罹患後症状は、慢性の脳の炎症が続いていることが原因の一つと考えられています。新型コロナウイルス感染症罹患後の諸症状に悩む方の中には、お仕事に戻れなかったり寝たきりの状態だったりする方もいらっしゃいます。長引く方、そうではない方など、本当にいろいろな状態の患者さんがいらっしゃるのですが、一方で検査では原因がわからず、症状を医学的に説明することが困難なことも多いのが実情です。それだけに対応する医師の経験が問われると思っています。もともと慢性疲労症候群も、1980年代くらいにアメリカで感染症の流行後に慢性疲労症候群の患者が集団発生したという報告があり、それをもとに診断基準が作られたのが始まりなんです。私はかつて研究する中で、慢性疲労症候群の患者さんは健康な人よりも脳の炎症が多く見られたという論文を発表したこともあります。

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状の相談を受ける際に、気をつけていることはありますか?

検査で原因がわからない場合、その人についてよく知らないと適切な判断ができません。持病や、もともと体調を崩しやすいかどうかなど病前のことも伺い、症状と経過をしっかりと把握する必要があります。同じ症状に対して、全員に同じ薬を処方すればいいわけではありませんので、患者さんそれぞれの症状をどう捉えるべきか、経験と知見を合わせて考えています。

今後の展望を教えてください。

中富康仁院長 疲れと眠りのクリニック淀屋橋6

他の医師や医療機関との連携をより強くしていきたいですね。当院には遠方からの相談も多く、体力的な問題から来院できない方へのオンライン診療も行っています。その際、地域の医療機関に採血をお願いして血液検査を実施し、オンラインでもサポートできる体制を取っています。慢性疲労症候群だと思われていても、実は糖尿病や睡眠時無呼吸症候群といったよく見られる疾患だったり、一方で遺伝子疾患のようなまれな疾患だったりすることもあり、患者さんを紹介し合える医療連携は重要です。関係する医師たちと、診療のマニュアル化や診療体制の構築を行えたらと考えています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

疲労と睡眠は表裏一体です。最近はお子さんもゲームなどで夜遅くまで起きていることが多いですが、深刻な問題だと思っています。大人でも、睡眠不足は仕事や日常生活のパフォーマンス低下につながります。寝ても疲れが取れなくなったら早い段階での受診が鍵になるでしょう。検査で原因がわからなくても、症状などから判断できることはたくさんあります。新型コロナウイルス感染症の罹患後症状も、睡眠障害のある方はリスクが増えるという報告があります。疲労や睡眠トラブルは普段の健康管理が大切なので、未病の観点からそうした相談ができる窓口を設けようと考えているところです。気軽に健康管理の相談ができるクリニックにしたいと思っていますので、気になることがあればご相談ください。

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