小野 秀二 院長の独自取材記事
おかのうえクリニック
(横浜市港南区/港南台駅)
最終更新日:2023/03/31
JR根岸線の港南台駅から徒歩圏内。港南台医療モールの2階にある「おかのうえクリニック」は、風邪の諸症状から生活習慣病、アレルギーなど幅広く診療している内科クリニックだ。院長を務める小野秀二先生は、横浜市立大学大学院で医学博士号を取得後、横浜市立大学附属病院、横浜市南部病院などで研鑽を積んできた。2017年、腎臓や高血圧を専門とする内科の医師としての経験を生かして、通院できなくなった患者にも対応したいと開業を決意。以来、地域に貢献するべく日々の診療にあたっている。「その都度、患者さんの要望に応えたい」と、検査機器を充実させ、検診や点滴、ワクチン接種などにも注力する小野院長。診療にかける熱い想いを聞かせてもらった。
(取材日2023年2月22日)
外来診療と訪問診療という両輪で患者をサポート
この港南台の医療モールでの開業を決められた理由を教えてください。
開業するまでの10年間、横浜市南部病院の腎臓・高血圧を扱う内科に勤めていました。なので、この地域には思い入れがあり、病院という形にとらわれず医療貢献できたらと思ったのが一番の理由です。南部病院ではありがたいことに多くの患者さんを診させていただきました。しかし急性期総合病院のため、入院対応に割く時間が圧倒的に多く、せっかく外来にいらしてくださった方に時間をかけて対応するのが難しいこともありました。また体力的に通院できなくなってしまった方が増える中、総合病院では通院していただくことが前提ですので、どうしても別の医療機関を紹介せざるを得なくなります。転院となることで患者さんを不安にさせてしまうこともありました。クリニックで外来診療と訪問診療を両方行えれば病院への通院が困難になってしまった方にも私が継続して医療を提供でき、患者さんに安心していただけるのではないかと考えたのです。
どのような症状の患者さんが多いですか?
来院する患者さんで多いのは、慢性腎臓病、高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風などの生活習慣病や、風邪やアレルギー、帯状疱疹、胃炎、便秘等の方です。一般的な風邪症状では年齢を問わず幅広い年代の患者さんがいらっしゃいます。生活習慣病は高齢の方が多いという印象があると思いますが、若い方でも健診の普及に伴い異常値を指摘されることがあります。早期であれば生活習慣の改善をメインに行っていくことで投薬を最小限にし、合併症を防ぐことにつなげていきます。また、腎臓や高血圧を専門にしてきた経験を通して、幅広く患者さんのお悩みに対応していきたいと考えています。今、日本人の8人に1人が高血圧、高脂血症など何かしらの成人病が進んだ慢性腎臓病だといわれています。最近はテレビの啓発活動の影響なのか、健診を受けて、腎臓の機能が落ちてきたことがわかり、再検査のために来院される方も増えてきましたね。
充実した検査設備でニーズに対応
検査機器など設備面でのこだわりを挙げていただけますか?
重症ではないのに複数の医療機関に通院することは患者さんにとって負担でしょう。そこで当院では、複数の内科疾患をお持ちの方も可能な限り対応したいという思いから、エックス線・心電図・超音波・採血・採尿・骨密度検査・動脈硬化測定など一通りの内科検査機器を備え、安心して点滴を受けていただけるスペースも設けました。採血や採尿の検査は高精度血液分析装置を使用しますので、総合病院同様に1時間後には結果が出ます。これとは別に腎臓・貧血・電解質・血糖値について数分で結果が出る機器も導入しています。2通りの検査機器を使い分けて必要な検査のみを行い、患者さんの負担を少しでも減らしたいと考えています。迅速な検査により様子をみていいのか、追加精査が必要なのかの判断もできます。治療方針がはっきり決まれば患者さんも安心ですよね。
クリニックならではメリットがたくさんですね。
腎臓機能の低下など病状がかなり進行している場合は、総合病院で診てもらえるよう紹介するという、すみ分けもしています。小さなクリニックだからこそ小回りが利きますので、患者さんのご要望があれば検査やワクチン接種、点滴等を行います。また、患者さんには高齢の方も多いため、病気の予防のための健診や健康の維持と向上のためのご提案もします。町のクリニックながら総合病院のように短時間で結果がわかる検査もありますから、定期検診や雇入時健診などにご利用いただけます。医療モール全体でいえば、港南台駅から無料の循環バスが利用できますし、1階には広々とした無料駐車場もあるので通院しやすいと思います。気軽に普段の健康チェックのためにお越しください。
訪問診療をはじめたきっかけは何ですか?
勤務医として働いていた頃から、患者さんが高齢化しているというのを感じていましたし、統計的にもだんだん通院できなくなるお年寄りが増えていくことは明らかでした。総合病院の勤務医には心臓なら心臓、消化器なら消化器というように一つの得意分野を磨いている方が多く、専門外を診る機会がなかなかありません。ですから、総合病院では在宅の患者さんを見るというのはなかなか難しい部分があります。開業してようやく内科の医師として外来での患者さんの診療と、通院できない患者さんの訪問診療の両方の対応が可能になり、うれしく思っています。
訪問診療ではどのあたりまでの治療が可能なのでしょうか?
今は一人で訪問診療をしているので、極力なんでも診るようにとは思っています。訪問診療の良い点は、病気を抱えていても今までどおりご自宅で大切な人たちとともに過ごせることだと思います。現在通ってくださっている患者さんの中には、いずれ足腰が弱くなったら訪問診療をしてほしいとおっしゃる方がいます。診療時間や診療内容の拡大をしていき、さらに専門性の高い訪問診療を提供できるよう精進していきたいですね。体調を崩して来院できない際は、訪問診療を利用していただくなど、かかりつけ医として患者さんの診察や治療のブランクがないようにしていきたいと思っています。
今までもこれからも、患者の要望に応える診療を
診療の際に大切にされていることは何ですか?
患者さんと時間をかけて話をするということですね。これはずっと大切にしていることで、南部病院で勤務医として働いていた頃にも同じように大切にしていました。皆さん病院というだけで緊張されてしまう方も多いと思いますので、世間話もするようにしています。話さないと本心がわからないこともありますし、きちんとお話しして治療を理解していただきたいですからね。例えば、腎臓が悪い方で治療費が高額になる方、薬ではなく食事療法を取り入れていきたい方などいろいろな方がいらっしゃいます。一人ひとりの要望をしっかりお聞きして、その中で治療方針をご提案するように、地道な対応が大切だと思っています。
今後の展望をお伺いします。
まずは、かかりつけ医として地域の皆さんにとって、なくてはならないクリニックとしてあり続けたいです。繰り返しになりますが、当院は設備面を整えたり点滴室を設けたりと、患者さんの通院の負担を極力減らせるような取り組みを行っています。ですから、患者さんにとってかかりやすい外来を提供していくこと。一方で、訪問診療にも力を入れていますので、必要としている方に適切な医療を提供できるようにしていきたいです。通いやすい便利な外来と通院困難時の訪問診療、この両輪で地域に貢献していきたいと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
設備面は総合病院さながらの専門性の高い医療を提供できるような機器をそろえております。検査結果が数分から1時間で出ますのでその日の診察時間内に治療方針が決まり、お忙しい方の負担を減らせるのではないかと思います。医師・スタッフともに経験豊富な医療従事者がそろっています。体調面で気になることがありましたら医師・スタッフどちらでも遠慮なくおっしゃってください。地域の末端の小さなクリニックですが、患者さんに貢献したいという思いで、日々、診療しています。腎疾患や高血圧をはじめ内科全般に対応していますので、ちょっとした体の不調や、何科に通えば良いのかわからないという場合でも、まずは気軽にご相談いただければと思います。