川口 義明 院長の独自取材記事
かわぐち消化器内科
(横浜市港南区/港南台駅)
最終更新日:2023/03/20

港南台駅が最寄りの医療モール内にある「かわぐち消化器内科」は、膵臓がんなど高度な知識・技術を必要とする領域が専門の川口義明院長、川嶌洋平副院長が診療を担当。生活習慣病やメタボリックシンドロームをはじめ身近な内科系の病気はもちろん、内視鏡検査により消化器がんの早期発見に努める。「痛みや違和感などは病気が進行したサイン。症状のないうちから定期的に検査することが大事です」と川口院長は注意を促す。その点、同院では痛みに極力配慮した内視鏡検査を行っているため、毎年検査を受けに来る近隣住民も多いそうだ。「消化器のことは気軽に相談してほしい」という川口院長に、同院の特徴や診療方針などを聞いた。
(取材日2022年12月21日)
身近なクリニックで専門的な内視鏡検査を提供
クリニックを開院されるまでの経緯を教えてください。

札幌医科大学卒業後、横浜市立大学第二内科消化器グループ(現・消化器内科学教室)に入局し、横浜市内の基幹病院を中心に消化器内科の診療経験を積み、医学博士も取得しました。その後、2006年から東海大学医学部で消化器内科の准教授を務め、大学病院では特に膵臓の病気の検査・治療に力を入れてきました。こうした中で、多くの患者さんが膵臓の病気に大きな不安を感じておられることに気づきました。そこで、大学病院より受診のハードルが低いクリニックをつくり、消化器がんの早期発見に貢献すると同時に、患者さんが抱える不安や悩みを軽減したいと考えました。
どのような方が受診されていますか?
胃や大腸の内視鏡の検査を受けに来られる方が多いですね。健康診断で再検査になった方のほか、体調不良で消化器の病気を心配して受診される方もおられます。また、当院で毎年内視鏡検査を受けられる方も増えました。一般的に内視鏡検査が敬遠されるのは、上部内視鏡なら食道に入れるときの苦しさ、下部内視鏡は大腸への痛みなどが要因です。その点、当院では痛みを軽減しやすい細い口径の内視鏡を使い、必要に応じて鎮静剤も使用し、患者さんが楽に検査を受けられるよう配慮しています。また、カプセル状の検査器を飲み込む小腸大腸カプセル内視鏡も利用いただけます。このほか、最近ではクチコミや当院のホームページなどを通して、膵臓がんの検査が受けられることを知り、首都圏全域から検査ご希望の方が来院されています。
先生を含め医師2人で診療されているのですか?

院長の私と、副院長の川嶌先生が主に診療していますが、週1回のペースで女性医師に非常勤で来てもらっていて、女性の医師を希望される方は担当日に予約いただけると対応可能です。川嶌先生は東海大学医学部付属病院の消化器内科に勤め、私と同じ膵臓がんを専門にしてきたドクターです。以前から当院を手伝ってもらっていましたが、2022年から診療を本格的にスタートさせました。同時に内視鏡室と内視鏡設備を増やして2室にしたので、患者さんからご希望の多い内視鏡検査の検査数を増やすことができ、膵臓がんの早期発見に役立つ超音波内視鏡もより利用いただきやすくなりました。私の負担が軽減された分、当院に学びに来る若手医師の指導に力を入れたり、臨床での研究に基づく論文を作成したりする余力も生まれ、地域などにも貢献できるようになりました。
膵臓がんの早期発見に必要な機器と人材がそろう
診療面ではどのような特徴があるのでしょうか。

検査や診断がスピーディーなことは大きなメリットだと思います。体調不良でお見えになった方は、腹部の超音波検査やCTなどが当日受けられ、ある程度の診断がつけられますし、必要ならその場で内視鏡検査を予約できます。また、膵臓がんの検査ができる検査機器と、高い専門性を持つ医師が2人在籍している点も大きな特徴です。検査は先端に小型の超音波検査装置をつけた特殊な内視鏡を使い、胃の内側から膵臓を超音波で確認していくのです。これには専門的な知識と経験が必要で、クリニックで検査可能なところは多くないでしょう。膵臓がんも早期に発見できれば治療できる可能性が高まるため、当院では1センチメール以下の膵臓がんの発見を目標にしています。
膵臓がんに注意すべきタイプなどはありますか?
ご家族に膵臓がんにかかった方がいると、膵臓がんに罹患するリスクが高いといわれています。糖尿病などの生活習慣病、膵臓の腫瘍でIPMNと呼ばれる膵のう胞性腫瘍もリスク因子の一つです。こうした膵臓がんのリスクが高い方は、年1回は膵臓の検査を受けていただきたいと思います。外から腹部に超音波検査を行うことも考えられますが、膵臓全体が見えないことが多く、できればCTや超音波内視鏡を使った検査が望ましいでしょう。膵臓がんをはじめ、消化器がんは痛みや違和感などの症状が出たときは、かなり進行しているケースがほとんどですから、症状がないときから定期的に検査を受けていただくことが、早期発見に役立つのです。
院内の設備などのこだわりをお聞かせください。

日本人のがんの部位別統計では、死亡数の上位5疾患は肺がんを除けばすべて消化器に関連した胃・大腸・膵臓・肝臓のがんです。このため当院では消化器の病気を見つける検査設備は、「プチ大学病院」と呼べるレベルをめざしました。当日検査もできるCTのほか、内視鏡を2台そろえ、超音波内視鏡も利用できます。こうした精密な検査に加え、当院では検査を受けていただく環境も重視し、清潔感あるゆったりとした空間をご用意させていただいたつもりです。検査を受けに来られた患者さんにご満足いただければうれしいです。検査室だけでなく、回復室や下剤を飲んで待機していただく個室の居心地にも徹底的にこだわりました。内視鏡検査でいらっしゃった患者さんには、できる限りリラックスして過ごしていただきたいと思っています。
消化器の相談窓口として気軽に利用できる存在に
先生が消化器をご専門とされたのは、なぜですか。

祖父母をはじめ、家系に医師が多かったので、自然と医療の道に進みました。消化器内科を専門にしたのは、これからさらに進歩していくだろうと感じていた内視鏡医療に携わりたかったからです。消化器内科は「内科」ではありますが、内視鏡を用いることで「外科」的な治療に関わることができる点に興味を持ちました。また「直接、目で見て診断する」というシンプルでわかりやすい分野であるところも魅力的でしたね。ただ正確には、消化器内科のみを診る医師になりたいというよりは、一般的な領域を広くカバーできる医師になりたいと考えていました。幸運にも、当時は今ほど診療領域が細分化・専門化しておらず、また経験を積ませてもらった病院は内科全般の診療に携われる環境だったこともあって、自分が望む総合的な内科診療に取り組むことができました。
診療されるときの心構えをお聞かせください。
じっくり時間をかけて患者さんのお話に耳を傾けるということですね。大学病院に勤務していた頃も、そのスタイルが理想だと思ってはいたのですが、なかなか実践できませんでした。そのため、今は本当に自分がやりたかった診療に取り組めている実感があって、やりがいを感じています。特に私が専門とする膵臓の病気はあまり耳慣れないこともあってか、膵臓の疾患と聞くと不安のあまり真っ青になってしまう患者さんも意外と多いです。ですから、専門的な知識や経験があることもきちんと伝えて、安心していただきます。患者さんの不安にしっかり耳を傾けて、寄り添っていける医師でありたいと思っています。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。

当院では、内視鏡検査をできるだけ楽に受けていただけるよう心がけています。食道や胃の検査は嘔吐反射を起こしにくい経鼻内視鏡を基本的に使用し、大腸の検査では鎮静剤も使って痛みを感じにくくして行いますし、より安心して受けられるよう、医師やスタッフも「次はこうしますよ」とか「大丈夫ですか」など、こまめにお声がけします。検査後は消化器内部の画像を一緒に確認していただき、写真や診断内容も書類にしてお渡ししますから、ご自宅に戻られてご家族に話されるときもわかりやすいでしょう。もちろん治療が必要な病気は、大学病院や基幹病院などにすぐご紹介します。内視鏡検査や超音波検査は、基本、保険診療ですが、企業健診で追加する場合など自由診療としてもご利用可能です。当院を消化器について何でも相談できる窓口と思って、検査などで便利に使っていただければと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは腹部超音波検査/5500円
各種がん検診/胃がん検診(内視鏡)1万6500円、大腸がん検診(内視鏡)1万9800円ほか