上山 茂充 院長の独自取材記事
うえやま内科クリニック
(吹田市/豊津駅)
最終更新日:2024/03/01
阪急千里線・豊津駅からすぐの場所で診療を行う「うえやま内科クリニック」。院長の上山茂充(しげみつ)先生は、神戸大学第2内科の出身。糖尿病学を専門に学び、関連病院でさらに診療の幅を広げて日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器病内視鏡専門医を取得した内科診療のスペシャリスト。抗がん剤治療にも深く携わり、患者がたどる経緯をつぶさに見てきたことから「こうなる前に、早く見つけてあげないといけないと強く思った」と熱く語る。同院では胃・大腸の内視鏡検査から腹部・心エコーまで、幅広い検査に対応し完全予約制でスムーズな受診が可能。「もう年だからと諦めてほしくない」と話す上山院長に、診療のポリシーから同院の検査の特徴までじっくり聞いた。
(取材日2022年2月9日/情報更新日2024年2月1日)
患者が問題を解決できるように手助けしたい
開業されて6年がたちますが、どんな患者さんが多く来院されますか?
内科を標榜していますので、さまざまな症状の患者さんが来院されます。内科にはいろいろな病気がありますからおなかが痛い、食欲がないなどの症状があっても、患者さんご自身でどんな病気かと判断するのは難しいと想います。「どこに行ったらいいのかわからない」と来院される患者さんも多いです。どんな症状の患者さんに対しても、当院でできる検査をさせていただき、どんな病気か判断します。患者さんの問題解決ができるように、最大限のお手伝いをさせていただくことが診療のポリシーです。当院だけで診ていくことにこだわらず、循環器系、呼吸器系、泌尿器科など、専門の医院や総合病院へご紹介させていただいたほうが良いと判断した場合には、速やかに連携し病院にご紹介します。幸いこの北摂エリアは、各専門科の診療に熟練された先生方が多くいらっしゃって迅速に対応していただけるので、安心してご紹介させていただいています。
診療時に大事にしていることを教えてください。
患者さんへの問診ですね。感染症対策の観点も踏まえ、診療を予約制にして患者さんとのコミュニケーションに時間を使えるようにしました。特に初診には時間をかけ、熱や倦怠感の有無、いつ頃から症状が出ているか、体重の減少がないかなどを確認します。患者さんはその時に一番困っていることをメインに話されますが、ご本人が病気に関係ないと思っていることが、実は関係していることも多いのです。話しやすい雰囲気をつくってじっくりと伺い、「背中が痛かった」「尿が茶色かった」などの話が出てきたら、それを手がかりに、一番可能性の高いところから検査をしていきます。当院では受付でも最初に「何か聞きたいことはないですか?」とお尋ねしています。診察の前に、ある程度整理をしておくと、診察室に入った時に話しやすいと思います。
再診の患者さんは、どんな症状の方が多いですか?
一番多いのは高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の患者さんです。生活習慣病の場合は合併症が起きやすいため、胃や大腸内視鏡、腹部や頸動脈、心エコーなどのある程度の検査をお勧めします。検査してみると、がんが見つかるケースもかなりあります。昔と今とでは、患者さんの意識も少し変わってきていますし、原則として「がんが見つかりました」と正確にお伝えすることになっています。たいていは早期で見つかりますので、内視鏡検査の段階で取ることもできますし、万が一内視鏡で取れなくても手術をすれば、回復が見込めるという状態がほとんどです。
苦しむ患者を見てきたからこそ、早く見つけてあげたい
内視鏡検査やエコー検査にも力を入れていますね。
当院が開業した2017年5月1日から2023年12月31日までの6年7ヵ月で、対応した検査数は胃内視鏡検査が4174件、大腸内視鏡検査は2288件です。そのうちポリープ除去を目的とした治療が1402件ありました。内視鏡検査は胃がんや食道がん、大腸がん、十二指腸がんの早期発見に有用です。膵がんについては血液検査やエコーによる検査を行い、診断が難しい場合は必要に応じてCT検査やMRI検査をお願いして、精度の高い診断につなげたいと考えています。十二指腸もなかなか疾患を見つけにくい臓器ですが、これまでの経験を生かし、十二指腸カルチノイド、十二指腸腺腫、十二指腸がんの早期発見に努めています。患者さんの中には検査を嫌がる方も少なからずいらっしゃいます。しかし専門家として検査をお勧めするのが私の義務だと思っています。
こちらの検査機器や検査の特徴を教えてください。
検査機器は定期的に更新しています。内視鏡検査機器は粘膜内を鮮明に映し出し、微細な病変も見つけられる狭帯域光観察機能を搭載したタイプを導入して、常に精度の高い検査をめざしています。昨年からは月5回、専門の技師による腹部、心臓のエコーも始めました。女性の技師さんですので、心エコーなどは女性の方も気軽に受けていただきやすくなったと思います。胃内視鏡検査はご予約いただければ、診療時間内に検査が可能です。検査自体は5~10分程度。鎮静剤を使用することもできますので、たいていの場合「痛い」「怖い」と感じる間もなく終了するでしょう。大腸のポリープ切除は日帰りで行っています。会社にお勤めの方でも検査・受診しやすいよう土曜にも検査枠を設けています。当院のがん検査に関するさまざまな情報は、ホームページにも載せています。
やはり病気は早期発見が大切ですか?
早く見つけられれば、治療をする上でも体への侵襲・負担が少なくて済みますし、完治する確率の向上も期待できます。私は医師になってからこれまで、初期から緩和ケアの段階まで、がんの患者さんがたどる経過をつぶさに見てきました。勤務医時代には抗がん剤の治療にも、深く携わりました。抗がん剤というのはこれまでどおりの生活を長くできるようにしようというのがコンセプトですから、治療は入院ではなく通院で行います。治療がうまくいかなくなると入院して、抗がん剤を変えてまた通院という流れなのですが、患者さんを見ると、やはり皆さんつらそうで、「こうなる前に見つけてあげないといけない」と強く思ったことが今につながっています。
患者にできることをすべてする、というスタンスを貫く
検査はどのぐらいの頻度で受けたほうが良いでしょうか?
胃内視鏡検査は、できれば毎年受けていただくのが理想的ですね。大腸内視鏡の場合は異常がなければ3〜4年おきに、ポリープが見つかった方は翌年も続けて受けられることをお勧めします。「年だから、もう検査しなくてもいいです」とおっしゃる方が時折いらっしゃいます。その方が80代だったとしても、まだこの先15年生きられるかもしれません。もしがんだった場合、その状態で15年過ごすことを考えると「年だからもういい」とは、私は考えづらいです。これまでがんの患者さんがたどる経過をずっと診てきましたから、何歳になってもすべきことはしたほうがいいと思います。その上で、どこで諦めるかは患者さんが決めることです。私はどの患者さんにも、「できることをする」というスタンスを守るようにしています。
スタッフさんがたくさんいらっしゃいますね。
当院の診療内容からすると、受付スタッフも看護師も人数的に多すぎるかもしれません(笑)。けれど、多いからこそ患者さんのちょっとした変化にも気づきやすいと思いますし、問診のサポートや声かけも積極的に行ってくれて助かっています。診察に余裕がある日は、看護師さんに受付へ入ってもらい、受付の仕事を体験してもらうこともあります。朝の掃除も全員で行い、受付は受付、看護師は看護師の仕事だけという垣根をつくらない風通しの良さも当院の特徴の一つです。
医師としてのお考えも含めて、読者にメッセージをお願いいたします。
「将来、人のために役に立つ仕事がしたい」と思った時、最初に浮かんだのが医師でした。外科にも興味を持ちましたが、内科のほうがいろいろな患者さんを幅広く診ることができ、自分が役に立っていると実感できる、と感じて内科に決めました。大学では糖尿病を専門にしていましたが、大学院を卒業後に派遣された病院でそれぞれの診療に打ち込んでいるうちに、専門性を持って診療できる領域も広がりました。「どの科に行ったらいいかわからない」「なんだか、体がだるい」といったご相談でも結構です。何か困ったことがありましたら、どうぞ気軽に来てください。胃や腸のことでも気になることがあれば、検査するべきかどうかも含めてご相談に乗ります。