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本田 浩一 院長の独自取材記事

岐南ほんだクリニック

(羽島郡岐南町/手力駅)

最終更新日:2023/06/13

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック main

「地域に密着し、精神科医療を支えたい」という本田浩一院長の思いのもと、2017年に「ぎなんメディカルスクエア」内に誕生した「岐南ほんだクリニック」。医療モール内のクリニックだからこそ患者のプライバシーに配慮し、周囲の目を気にせず受診できるよう同院専用の出入り口を設けている。院内に入ると落ち着いたシックな雰囲気の待合室があり、カウンセリングルームもリラックスして過ごせそうな空間。診療では内科と精神科の両輪から見立て、「心」と「体」を総合的にサポートし、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な治療を行っているのが特徴だ。「いつもの自分と違ったら気軽に来院してほしい」と語る本田院長に、注力している診療や治療におけるモットーを聞いた。

(取材日2023年2月24日)

多職種の専門スタッフが心と体の両方からアプローチ

医師になったきっかけと、精神科を専門に選択された理由をお聞かせください。

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック1

父は広島県の開業医で、ゆくゆくは自分も医師になるのだという意識が幼少時からありました。ただ、私は典型的な文系人間で理系科目が特別苦手だったため、医学部受験は一旦諦めました。そして公認会計士などを意識しつつ高校卒業後は慶應義塾大学経済学部に入学しましたが、最終的に方針を転換。卒業後に理系科目を克服し、名古屋市立大学医学部に入学しました。医学部にはほかの学生よりも約10年遅れて入学したので、専門は年齢を問わず続けられる分野にしようと精神科を選択。年齢を重ねるごとに味が出る、そんな科だと思ったのです。3年目に内科を専攻したのも、精神科の医師になるための礎として内科診療の基礎知識をつけたいという考えからでした。精神科は身体科疾患に習熟していないとできない科ですので、内科での経験はとても重要でした。

精神科は内科と関連する部分が多いのですか?

気分が落ち込む、意欲がないといった精神的な訴えよりも、体がだるい、めまいがする、頭痛がする、肩が凝る、眠れない、微熱が続くなど体の症状が前景に出てしまい、内科や耳鼻咽喉科、整形外科を受診する患者さんが実は圧倒的に多いのです。しかし内科的、外科的な問題が見つからない。そこで次の段階として精神科を受診されるのですが、その際に内科的な疾患の見落としがないかをしっかり判断できる能力がないと、精神科の医師は務まらないところがあるんです。「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉のように、心を診るには体も診る必要がある。心と体は一体ですから、両方を診察できるようになりたいという思いを常に持っています。

開業の際にこだわった点はありますか?

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック2

専門スタッフによるチームで包括的な医療を提供するスタイルです。というのも、私は以前から医師や看護師、臨床心理士や作業療法士、精神保健福祉士など多職種で患者さんにアプローチしたいと考えていました。精神科の場合、医師の診療のみでは不十分なことが多々あります。例えばうつ病や不安障害で出社や外出にハードルを感じる方は、受診するだけでも一苦労です。しかし、そんな患者さんに診察以外でも外出する機会をつくらないと、社会復帰が徐々に難しくなってしまいます。当院にデイケア施設を併設したのもそうした理由からなんですよね。また、そもそも外出が難しい方に対しては、看護師や精神保健福祉士が自宅にお邪魔する精神科訪問看護を実施しています。外出訓練や受診のサポートを行うほか、お悩みを聞いたり相談に乗ったりしながら服薬状況や生活の様子を細かく観察し、それを私にフィードバックしてくれるので診察に役立っています。

適切な診断と多様な検査で、患者の社会復帰をサポート

力を入れているという大人の発達障害の治療について教えてください。

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック3

学生の間は不注意や物忘れがあっても、そこまで目立たないことが多いです。しかし社会人になり、やるべきタスクが増えていくにつれ、どうしても面倒な仕事を後回しにしてしまう、2つのことを同時に処理できないといった患者さんの苦痛をよく耳にします。当院ではそのような方に対し、カウンセリングやプログラムを通したアプローチや、生活指導のほか、内服薬による治療を並行して行います。治療を通して「仕事を順調に運べるような状態」に持っていくことが目標で、ほかにも家事や子育てに支障が出るADHDの方にも治療を受けていただけます。

ほかにはどんな症状の患者さんが多いですか?

多いのは軽症のうつ、適応障害、不安障害などの患者さんです。入社や転職といった環境の変化によるストレスで、不眠や不登校、会社に行けなくなったという方が大勢来院されます。初診では、まず予診といって臨床心理士から「どういった状況で来られたか、何に困っているか」を15〜30分ほどお聞きします。その後、医師による診察を行い、治療計画を見立てていきます。そのほか、心理検査でその方の性格傾向や知的能力、うつや不安の程度を細かく診ていきます。また、血液検査や心電図検査、簡易睡眠時無呼吸症候群検査など身体的な検査も行います。

併設の通所医療施設「デイケアセンター ミライ」では、復職支援も行っているそうですね。

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック4

この地域には休職者のためのリワークプログラムを提供する施設が少ないと聞き、治療の場を提供すべく2019年4月にデイケアセンターを併設しました。ここでは生活支援や作業療法、認知行動療法などに加え、社会復帰のためのさまざまなプログラムをご用意しています。具体的には、会社を模して机や椅子を配置し、仕分け作業などの立ち仕事やパソコンの入力作業に取り組んでいただきます。さらにみんなで同じことを行う集団プログラム、ドッジボールなどの軽運動プログラム、季節の行事と、患者さんを飽きさせないメニューが満載です。また土曜に限り、学童を対象とした「子どもデイケア」も実施しており、家庭外環境への適応、社会性と自立性の発達を促すためのトレーニング、ティーチングなどを実施しています。

気軽に相談できる身近さで、生涯にわたって支えたい

診療で大切にしていること、心がけていることは何ですか?

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック5

当院では患者さんの安心のために、最初の段階で治療目標や期間をしっかりお伝えします。そして精神科・心療内科には「眠れないときは睡眠薬」「不安が強いときは抗不安薬」といったように、主訴によって薬の種類が増えやすい「多剤併用」になる傾向がありますが、私は「処方は極力シンプルに」を常に心がけています。患者さんの状態を見ながら可能な限りの減薬に努め、漢方薬を治療のエッセンスにして依存性を抑えるなど工夫しているのが特徴です。また睡眠衛生指導といって、睡眠薬を使用する前の段階で患者さん自身でできることを提案したり、呼吸法などのセルフメディケーションの指導をしたりする場合もあります。さらに臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングも行っていますね。50分のセッションでも症状の改善が見込めるよう努めています。

クリニックの強みは何だとお考えですか?

ありがたいことに、今では岐阜県、愛知県下から多くの患者さんが受診されます。近くに発達障害を診れるクリニックが少ないこともあり、壮年期の働き盛りの方を中心に、遠方だと郡上市や高山市からもいらっしゃいますね。大きな病院だと待ち時間も長く、主治医を固定できない場合もあると思います。そうした意味では、主治医が決まっているのは当院の強みといえるでしょう。また、入院施設のある精神科の単科病院への受診を躊躇してしまう方も少なくありません。しかし男性は仕事や定年後の悩み、女性はホルモンが影響する思春期から妊娠、出産、育児、更年期、認知症など生涯の中でピンチの時が多くやってきます。いつもの自分じゃないと感じたら、軽い症状でも気軽に来院ください。早期発見、早期治療が何よりも重要。どんな方も気軽に相談できる身近なクリニックをめざしています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

本田浩一院長 岐南ほんだクリニック6

デイケアや訪問看護を含めると、開業後の6年間で非常に多くの患者さんにご来院いただけるクリニックとなりました。今後は分院の新設をはじめ、グループホームや作業所といった福祉施設の拡充も視野に入れています。また、現在はより多くの治療ニーズに応えるため、非常勤の先生方に日替わりで手伝っていただきながら二診体制で診療しています。ご希望であれば、ご自身と相性の良い先生をご指名いただくことも可能です。常に迅速に、かつ適切に患者さん個々のニーズに応えていきたいと考えていますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

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