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高原 正和 院長の独自取材記事

たかはら皮ふ科

(福岡市東区/名島駅)

最終更新日:2022/12/20

高原正和院長 たかはら皮ふ科 main

西鉄貝塚線の名島駅を下車し徒歩3分。国道3号の歩道橋を渡ると「たかはら皮ふ科」の青い看板が見えてくる。院長の高原正和先生が、前身の皮膚科クリニックから同院を引き継ぎ改めて開業したのは2015年。開業までのおよそ20年を、医師として、医学研究者として経験を重ねてきた。真菌症などの皮膚疾患の研究者としても研鑽を積んできた高原院長だが、取材者がちょっとでもほめ言葉を発するとすぐに照れながら否定されてしまう。開業5年、院長の謙虚な人柄と研究心、スタッフ全員で患者の満足を重要視する姿勢からか、予約制度なしでは待合室が過密になってしまうクリニックになったそう。空と海に囲まれたような、ブルーを基調とした清々しい院内も印象的だ。

(取材日2020年9月2日)

疾患を見逃さないよう丁寧に診療していく

青で統一された、爽やかで落ち着いた印象の院内と感じます。先生のご希望で作られたのでしょうか。

高原正和院長 たかはら皮ふ科1

私は九州大学の出身なのですが、当院はもともと同じ九大出身の上田説子先生が営んでいたクリニックを継承し、2015年に改めて「たかはら皮ふ科」として開業したものです。手入れをしたり機材を新しく入れ替えたりしましたが、院内の印象はできるだけ変えないように、大きな変更は加えていないので、部屋の仕切りなどは昔のままなんですよ。上田先生が診療されていた当時から通われている患者さんも少なくありませんので、違和感なく通っていただけるようにと考えました。看護師や受付スタッフも、上田先生のクリニックから引き続き働いてくれている人も多いです。

高原院長に引き継がれて、新たに加わった特徴などはありますか。

特徴といえるかはわかりませんが、専門的な見解を知りたい、セカンドオピニオンがほしいというご希望の患者さんも多いようです。大学勤務が長いと、難しい診断や症例に数多く接しますから、危険度が高く見逃してはいけない疾患をしっかり見つける訓練ができているのかもしれません。逆に私の立場からすると、地域の患者さんたちを引き継がせていただいたので、最初から数多くの患者さんを診ることができ、勉強させてもらっていると思っています。あとは事務的なことになりますが、ウェブで順番予約をお願いするようになったことですね。継承というより新型コロナウイルス感染症などの感染対策の目的で導入したのですが、密を避けられ、お待たせする時間も短くなりました。

患者さんはどのような方が多いのでしょうか。

高原正和院長 たかはら皮ふ科2

地域的には、福岡市内東区全般から来ていただいています。年齢的にはお子さんから高齢者まで満遍なく見えていますが、午前中は年配の方や乳幼児の方、午後は子どもやファミリー、夜は19時まで診療していますので働いている方が増えてきます。アトピー性皮膚炎のようにやや遺伝的な素因も関係している疾患や、住居環境に原因がありそうな疾患では、ご家族・ごきょうだいでご一緒に受診される方もいらっしゃいます。訴えの傾向としては、湿疹とか虫刺されとか水虫、アレルギー、じんましんなど一般的なもので、特に当院だけに多い疾患というものはないと思います。

大学病院での経験を生かし、総合的な診療を行う

開院までのご経歴を教えてください。

高原正和院長 たかはら皮ふ科3

子どもの頃からなんとなく「将来はお医者さんかなあ」と決めていて、勉強も苦じゃなかったので自然に希望がかなったという感じです。両親も医師ではないし、医学部入試に目標を定めて頑張ったというわけでもありませんでした。九州大学医学部を卒業してからは基幹病院での勤務や、米国への留学、九州大学病院で研究をしながら、外来診療や入院患者の診療を続け、医師になって10年目くらいからは助教や講師として学生に教える仕事も加わりました。仕事全体の中で臨床が占める割合は3割くらいだったのですが、開業してからは、診療時間のすべてが臨床です。大学にいる間は何もしなくても新しい医療情報が入ってくるものですが、開業医になると自分から積極的に勉強や情報収集をしないと医療の質が下がってしまうかもしれませんので、忙しさは大学院勤務の頃とあまり変わりません。

皮膚科を専門に選んだのは、どんな理由でしょうか。

僕が医学部生だった当時は、今のように研修医になってから各科巡回してから専門を選ぶ研修体制ではなくて、6年生で方向性を決めることになっていました。そのため、はっきりした動機があって選んだのではありませんでしたが、強いていえば目で見て、触って、治療ができる、組織検査もすぐできる、顕微鏡を使えばミクロの世界も情報として得られやすいなどの点に魅力を感じたのが理由かもしれません。学生の時に接していただいた先生方のお人柄にも影響されたと思います。ひとくくりに皮膚といいますが、部位によって役割や機能が違うことも、学生時代にはたいへん興味深かったですね。

大学病院時代はどのような研究をしていたのでしょうか。

高原正和院長 たかはら皮ふ科4

大学病院では、主に皮膚真菌症などをテーマに研究していました。皮膚科で扱う真菌として、一番よく知られているのは水虫ですが、実は皮膚の深いところでも感染を起こす真菌もいます。いろいろな立場で幾つかの研究にも携わりましたが、米国留学中は紫外線による免疫抑制について、大学では皮膚における芳香族炭化水素受容体の研究にも参加させてもらいました。当院でも、真菌検査はこまめに行い、頭部白癬や猫からのタムシにも対応できます。大学病院での経験は、開業をしてからも生きています。

患者の要望を的確に把握し、納得いく治療を提供したい

印象に残っているご経験を教えてください。

高原正和院長 たかはら皮ふ科5

皮膚科ではわりとよくあるのですが、チャドクガの毛虫による子どもの皮膚炎は印象的です。個人差はありますが、ものすごく腫れる子もいて、親御さんもお子さん本人もびっくりして駆け込んで来られることが多いです。顔や手が大きく腫れあがっていて、詳しく尋ねてみると手のひらに乗せて遊んでいたとかですね。患者さんが不安になりやすいのは、ほくろと思っていたものを、皮膚がんではないかと人に指摘されて心配になって来院されることがありますが、ほとんどの場合は良性です。悪性腫瘍を早期に発見することができ、とても感謝されたこともあります。脱毛の症状も不安が大きいことがあり、時には採血検査を行い、その結果によっては大きな病院や他科の先生との連携が必要になる場合もありますが、大事には至らないことが多いです。

診療ではどんなことに気をつけていますか。

日々たくさんの患者さんがいらっしゃる限られた時間の中で、それぞれの患者さんが何を求めて来院されたのかをしっかりと把握することです。問診表に「ほくろがある」としか書かれていない場合や、診察室でもなかなか本音を言ってくれない方、ご自身でもどうしたいのかはっきりしていない方もいます。悪いものでないか検査して安心したいのか、見かけが気になるから取ってほしいのか、かゆみや違和感があるのか、短い時間で患者さんの本音を理解し、適切な治療が行えるように心がけています。短時間でも患者さんの納得が得られる治療をしたいので、スタッフも患者さんの要望を聞き取るなど積極的に取り組んでくれています。

今後の展望や読者へメッセージをお願いします。

高原正和院長 たかはら皮ふ科6

開業して5年、優秀で笑顔のすてきなスタッフの面々に支えられ、次第に地域に定着させていただけていると感じています。私自身としては今後も知識の更新、技術の向上を常に心がけ、地域の皮膚科医療に貢献したいと思っています。今後の展望とはちょっと違いますが、新型コロナウイルス感染症の問題で、医療機関にはこれまで以上の感染症対策が求められるようになりました。当院でもスタッフや患者さんの安全のためにどうしたらいいか、新しい情報を取り入れながら、対策を進めています。皮膚科はどうしても患者さんの肌に触れないといけませんから、患者さん一人ひとりに対して手袋を換え、消毒をし、こまめに触れたところは拭き上げています。安心して受診できるように院内を整えていますので、ちょっとしたことでも気軽に相談していただければと思います。

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