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久保 伸夫 院長の独自取材記事

ボー・クリニック

(大阪市北区/西梅田駅)

最終更新日:2020/04/01

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大阪・梅田のハービスPLAZA4階にある「ボー・クリニック」。院長の久保伸夫先生は、これまで数々の内視鏡手術やレーザー手術の臨床経験を積んできた「鼻の専門家」であり、めまいやアレルギー性疾患においても、専門性の高い治療を提供している。啓発活動にも熱心で、大阪、東京、海外と忙しく飛び回る久保先生に、耳鼻科診療に対する思いや病気の傾向など、話を聞かせてもらった。
(取材日2018年7月2日)

長年の内視鏡の経験を生かし、適切な治療につなげる

貴院にはどのような患者さんが来られますか?

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梅田の中心地という立地から、多忙な会社員の方が多く、また当院がある西梅田クリニックモールは、フロア全体が外国人患者を対象にしており、市内のホテルに宿泊している旅行者が来られることが多いです。このような都市型のクリニックに求められるのは、できるだけ短期間で治してほしいというニーズです。治療に何ヵ月もかかるのはほとんどの場合、正確な診断がつかないまま、痰が出る人には去痰剤を、咳が出る人には咳止めを出すというように、症状に依存して処方を繰り返しているからです。原因にアプローチせず治療を続けても、改善が見込めないどころか、薬の種類は際限なく増えていく一方です。当院では内視鏡を使って早い段階から症状の原因を突き止め、エビデンスに基づいた適切な治療を行うことに重点を置いています。

主訴として多い疾患は何ですか?

急性の副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症と呼ばれる鼻づまりの症状です。副鼻腔炎は完治までに時間がかかるとされていますが、診断がつけば後は短期集中的に薬物療法を行い、即効性を求める場合は抗生物質を点滴投与を行います。ただ副鼻腔炎は鼻腔の構造的な病気なので、薬物投与では改善が難しいこともあります。そのような場合は手術が必要になります。副鼻腔炎の内視鏡手術は、手術設備が整った系列クリニックで行っており、難病指定されている好酸球性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの内視鏡手術を多く行っています。昔は大がかりな手術でしたが、今は内視鏡を使って日帰りでできるようになり、土日を使って仕事を休むことなく副鼻腔炎の手術が受けられるようになりました。また、国内に専門の医師の少ない外鼻形成手術の希望が増えています。私は外鼻形成の国際学会(PAAFPRS)の日本支部長でもあり、この手術の普及に努めています。

どのような研究・臨床の経験を積んでこられたのですか?

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関西医科大学では教授からアレルギーの研究を勧められて神戸大学の薬学教室で、アレルギーに関する神経受容体、抗ヒスタミン薬の研究をしていました。アレルギーに関しては免疫学だけでなく神経薬理学の立場から、くしゃみ、鼻汁、鼻閉のそれぞれの機序や治療を研究し、知識は豊富で理解は深いです。その後、めまいの知識を深めるために渡米し、Wake Forest大学で1年、ハーバード大学で3年、めまいに関する研究と臨床に携わりました。日本に戻ってからは、その頃注目され始めた内視鏡手術の技術を習得しました。関西医科大学の病院教授として関連病院で鼻の治療全般を担当し、内視鏡下鼻内手術、レーザー治療、外鼻形成などの治療に携わりました。大学で28年間勤務した後、東京と大阪で開業しました。

めまい、アレルギーの専門的な治療を提供

めまいの治療に力を入れておられるそうですね。

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アメリカでめまいの研究に携わり、そこで学んだのは、めまいを「感覚の混乱」として診ていくことです。めまいは基本的に「空間認知障害」という生理的な感覚で、自分が今置かれている空間の情報が、過去の経験や記憶と矛盾していることから脳が混乱し、今どこにいるのかわからないような感覚に陥ります。高所恐怖症も同じメカニズムで、空間認知が混乱して感情が先行してしまい、恐怖を感じてしまいます。日本ではめまいを訴えると、メニエール病を疑うことが多いですが、実際にはめまい全体の2%ほどしかありません。治療では耳からくるめまいなのか、脳によるめまいなのかを含めて、早い段階でめまいが起きているメカニズムを把握して、そのことを患者さんに説明づけ、認知してもらい、感覚を整理していくことが重要になってきます。

診療スタンスについてお聞かせください。

身体感覚というのは、その本人にしかわからないものです。そして、その感覚を適切な言葉で医師に伝えるのは、とても難しいことです。「変なにおいがする」「めまいがする」と患者さんは訴えているが感覚機能が低下していないという場合、「そんなはずはない」「どこも悪くない」と医師が言ってしまったら、それ以上治療ができなくなります。本人が症状として訴えている以上は、何らかの原因が存在するはずですから、治療に入る前のファーストステップとして、まずは患者さんにたくさんしゃべってもらうようにしています。だいたい5分ほど話してもらえば、患者さんがどのような感覚に苦しんでいるのかがわかり、病気の識別ができます。感覚器を扱う耳鼻科診療では、患者さんの訴えにしっかり耳を傾け、状況を認識し、患者さんの希望に沿うことが、適切な治療の鍵となります。

病気の傾向に変化を感じることはありますか?

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近年、アレルギー性疾患や精神的なストレスが原因で起こる疾患が増加傾向にあります。低音障害型感音性難聴もその一つで、聞こえにくい、耳がふさがった感じがするといった症状があり、若年者にも多く見られます。器質性の障害や炎症が原因の難聴とは区別して、ストレスホルモンを抑える治療をしていきます。また、睡眠時無呼吸症候群も、近年重要視されている疾患です。睡眠時に鼻が詰まって口呼吸になると、それだけで舌根が沈下して無呼吸になります。無呼吸になると胃酸逆流が起こり、喉の違和感や中耳炎の原因になるほか、歯や全身の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。今では睡眠中の呼吸や脳波の監視装置で診断し、いろんな方法で治療ができるようになり、私は手術治療にも力を入れています。

内視鏡で観察できる範囲が耳鼻科の守備範囲

立体マスクの開発にも携わったことがあるそうですが、マスクにはどのようなことが期待できるのでしょう。

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不特定多数の人が触るつり革や手すりなど、いろんな所に触れてしまった手には、たくさんのウイルスが付着しています。ウイルスのついた手で鼻や口を無意識のうちに触ってしまうと、そこからウイルスに感染することがありますが、マスクをすることで鼻や口が触れなくなり、感染を防ぐことができます。また、マスクをつけると自分が吐いた温かい息を吸い込むので、呼吸器が温められます。特にインフルエンザは低温と乾燥を好むウイルスなので、感染を防ぐだけでなく治療にもつながると考えています。あとアレルギーや口呼吸をする人に勧めているのが、睡眠中にマスクを装着することです。鼻呼吸に近い状態で眠ることで、のどを保護し、花粉やダニの吸引を減らすことができ、アレルギー性疾患の予防につながります。

カンボジアでも開業された理由は?

日本の医療は保険診療に守られています。患者さんは全国一律の料金で受診できるメリットがある一方で、海外では最先端の治療として評価を得ている医療行為でも、保険が効かなければ日本ではなかなか受けられないといったデメリットがあります。自分が希望する治療を受けたいという患者さんや、自分が本当に良いと思った治療をやりたいと考えている医師は日本にたくさんいます。海外にクリニックをつくったのは、保険制度に縛られず、患者側に費用対効果を重視した医療を実践したいことと、再生医療を含め、現地の医療に貢献したいと思ったからです。海外診療を拡大していきながら、国内では高齢化社会に向けて、海外の人材も活用し、年金の範囲で安心して生活できる施設の運営にも力を入れていきたいと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

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内視鏡検査をした上で、エビデンスに従った診断、治療をしていくことが、これからの耳鼻科診療のスタンダードになると思います。咳や喉に症状がある場合、内科を受診する人が多いと思いますが、首から上の病気は耳鼻科の受診を私は勧めています。触診と聴診が基本の内科とは違い、内視鏡で観察する耳鼻科は診断が明確で、無駄なく治療が受けられると思います。一方、めまいなど感覚器の症状は検査よりも的確な問診が正確な診断への近道です。なので、ご面倒でも受診前に患者さん自身が症状を整理し、ご説明いただくことが必要です。わからないことや不安なことがあれば、気軽に相談してください。

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