継続して取り組む歯周病治療
生活習慣を見直して根本原因の解決を
笹出線歯科クリニック
(新潟市中央区/新潟駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
細菌の感染や免疫機能の低下、喫煙習慣などが原因となって発症する歯周病。初期のうちは症状がほとんどなく、虫歯と違って痛みもないことから、知らないうちに進行してしまう歯科疾患だ。中等度から重症になると、歯茎から膿が出たり口臭を伴ったりして、さらに悪化すると歯が抜け落ちてしまうこともあるという。歯周病治療に注力している「笹出線歯科クリニック」では、治療の基礎となるブラッシング指導に重点を置き、患者の生活習慣を改善できるような診療を提供。治療やケアに継続して取り組むことの大切さを伝え続けている。今回は、日本歯周病学会歯周病専門医である阿部祐三院長に、受診の目安や治療の進め方について詳しい話を聞いた。
(取材日2021年6月30日)
目次
「治してもらう」ではなく「一緒に治す」気持ちで受診を
- Q歯周病はどのような疾患ですか?
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A
▲明るく清潔感のある受付
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患のことをいいます。軽症の場合は、歯茎が赤くなってブラッシング時に出血する程度で、虫歯と違って症状がほとんどなく痛みもありません。しかし、中等度から重症になってくると、歯茎の腫れや膿が出てくるような症状が現れ、口臭が伴うことも。さらに、歯の周りにある歯茎がだんだん下がってきたり、歯を支える骨が溶けたりして、進行すると歯が抜け落ちてしまいます。また、疲れや寝不足などの体調不良が引き金となり、歯茎や頬の腫れや急激な痛みといった急性症状が突然現れるケースもあります。その場合は数日たつと元に戻りますが、治ったわけではありませんので、治療が必要です。
- Q歯周病の原因について教えてください。
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A
▲先生が優しく診察をしてくれる
主に3つの要素が挙げられます。最も大きな原因となるのはお口の中に存在する細菌で、ブラッシングが不十分などの理由から細菌が増え、プラークと呼ばれる歯垢を生み出します。その中に含まれる細菌が原因となって炎症を引き起こし、歯周病になるといわれています。ただし、ブラッシング習慣がなくても軽症で済むことがあれば、ブラッシングを頑張っているにもかかわらず重症になる人もいます。その場合は、糖尿病などの疾患や噛み合わせといったほかの要因が考えられるため、全身を考慮した治療計画が不可欠です。それ以外に原因となるのは、体の免疫機能の低下や喫煙などの生活習慣で、これらが重なると重症化しやすいともいわれています。
- Q受診のタイミングはありますか?
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A
▲落ち着く雰囲気が特徴の待合室
35歳を過ぎると歯周病を発症する可能性が高まるといわれているので、該当年齢になったら一度歯科医院を受診していただくことをお勧めします。10代や20代といった若年層であったとしても、細菌の多さや免疫機能によっては歯周病を発症するケースもありますから、定期的にかかりつけ歯科医院を通院し、お口の中の現状を知っていただきたいですね。ほかにも、ブラッシング時に出血したり、体調不良の際に歯茎が腫れたりと、自覚症状がある場合は年齢に関わらず受診するのが望ましいです。歯周病だと診断されたら、治療や歯科衛生士によるクリーニングを受けていただき、その後も定期的な通院で予防に努めていただければと思います。
- Q一般的にはどのように検査・治療を行いますか?
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A
▲安心感あるユニット
まずはエックス線検査で骨の吸収程度をチェックすることから始めます。というのも、歯周病が進行すると細菌が骨まで到達し、歯を支える歯槽骨を破壊していくからです。その次に、口腔内のプラーク量を確認する細菌検査や、歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、歯のぐらつきを調べる動揺度検査、歯茎からの出血の程度を調べる検査を行い、歯周病の有無や重症度を診断します。治療ではブラッシング指導からスタートし、口内環境が良好になったのを確認してから歯石除去に移ります。病態によっては麻酔を使い、歯茎を切開した上で1本ずつ歯石を取り除いたり、骨の形態を整えたりして、その都度状態を確かめながら進めていきます。
- Qこちらでは、どのように治療を進めてもらえるのでしょうか?
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A
▲歯周病を専門にさまざまな取り組みをしている
歯周病治療をするにあたって大切なのが生活習慣の改善で、中でも日々の歯磨き習慣が特に重要です。当院では、患者さんに「一緒に治していく」という気持ちを持ってもらうために、ブラッシング指導に重点を置いた治療に取り組んでいます。歯ブラシだけでなく、重症度によっては歯間ブラシやフロスも活用し、ご自宅での歯間部清掃を徹底してもらっています。たとえ軽症であったとしても、歯周病を治療するとなると半年から1年の期間を要し、その後も継続的な通院やケアが欠かせません。ですから、ご自身のお口の中に興味を持っていただき、正しいブラッシングを習慣にできるような治療を一緒に進めていけたらと思っています。