高齢女性に多く発症する下肢静脈瘤
より身近になった日帰り治療
北千住静脈瘤クリニック
(足立区/北千住駅)
最終更新日:2021/10/12


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足の血管がぼこぼこと膨らんでしまう下肢静脈瘤。その外見から治療をしたいと考えている人も多いことだろう。だが、血管の治療ともなれば大ごとなのではないか、入院が必要なのではないか、などと想像してためらいがちだ。これまで数多くの下肢静脈瘤の診療にあたってきた「北千住静脈瘤クリニック」の入谷哲司院長は、「以前は入院をして血管を引き抜く手術が中心でしたが、現在は、体に負担が少なく、しかも日帰りで行える治療が主流になっています」と話す。実際にどのようなステップで治療が進むのか、入谷院長に教えてもらった。
(取材日2018年12月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qまず下肢静脈瘤について簡単に教えてください。
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A
足の静脈の内側には、逆流を防ぐための弁がついています。下肢静脈瘤は、この弁の機能が低下して、血液が静脈に留まってしまう疾患です。足の血管がぼこぼこと膨らむ、足が重苦しい、だるい、就寝中や朝方に足がつるといった症状が現れます。悪化するとかゆみ、色素沈着、皮膚炎、皮膚の潰瘍など皮膚にもさまざまなトラブルが起きてきます。命に直接関わる病気ではありませんが、自然と治ることはなく、時間とともに進行していきます。遺伝的要素が高いと考えられていますので、家族に発症した人がいる場合は注意が必要です。妊娠、出産経験のある人、あまり距離を歩かずに立ち仕事をしている人も発症しやすいので注意してください。
- Qどんな時に受診したほうがいいのでしょうか。
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A
足の血管が目立つようになってきた、血管のコブが見えている、細い血管が蜘蛛の巣状に広がっているなど、明らかな変化がみられる場合は早めに受診してください。足が重い、だるい、足がつるなど不快な症状がある場合や、湿疹、色素沈着などの皮膚の異常がある場合も受診したほうがいいでしょう。60代・70代以上の女性に多く発症しますので、その年代の方は、何か気になる症状が少しでもあれば一度受診して検査を受けることをお勧めします。下肢静脈瘤は良性の疾患であるため甘く見られがちですが、そのままにしておくと悪化する恐れもあります。何か異変に気づいたら下肢静脈瘤の専門クリニックを訪ねてください。
- Qどんな治療法がありますか。
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A
下肢静脈瘤の原因となっている静脈の血液の流れを遮断する治療を行います。静脈瘤が太い血管にある場合は血管内治療を行います。これは静脈の中に高周波を当ててその熱によって静脈をふさぐ方法で、高周波治療とも呼ばれます。表面の細い血管が蜘蛛の巣状や網目状に広がっている場合は、静脈に薬を直接注射して、その後弾性ストッキングなどで圧迫し、静脈そのものを退化、消失させることをめざす硬化療法を行います。高周波治療、硬化療法ともに保険適用で、日帰りで実施されます。治療したその日から日常生活を送ることが期待できます。初期段階で軽症の場合は、生活改善の指導や弾性ストッキングの着用によって症状の進行を抑えます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と超音波検診
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どんな症状があるか、足の重み、だるさなどの不快な症状があるか、本人の既往症、薬を飲んでいるかどうか、家族に下肢静脈瘤を起こした人がいるかどうかなどについて丁寧に問診。その後、超音波検査で、太ももとふくらはぎの静脈の状態を調べる。血液の逆流や滞りがあるかどうか詳細に検査。同クリニックでは、精度重視の臨床検査技師が超音波検査を担当している。
- 2診断と治療方針の説明
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問診と超音波検査によって、静脈瘤の進行程度を診断。初期段階で軽症の場合は、生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用を指導。外見上、問題がある場合は、静脈瘤の種類と血管の太さによって、高周波療法もしくは硬化療法を選択。
- 3症状に適した治療を実施
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超音波で血管の位置や状態を確かめながら治療を行う。高周波治療の場合は、局部麻酔で片側20~30分。両足でも40~50分で終わる。高周波で焼かれた静脈は血液が流れなくなり、その後3~6ヵ月で体に吸収されていくことが期待できるという。静脈に薬剤を注射する硬化療法の治療時間は、注射だけで済むので5~10分と短時間。治療中は、看護師が優しく声がけをしてくれる。
- 4治療の翌日に検査
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治療した翌日、あるいは翌々日に来院して超音波検査を受ける。まれだというが、深部静脈血栓症が起きていないかどうか念のためチェックする。合わせて血液の逆流がないかどうか、静脈がきちんと閉じているかなどを丁寧に検査する。
- 51ヵ月後、3ヵ月後に再検査
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治療の1ヵ月後に来院。超音波検査によって、血液が逆流していないかどうか、血管がきちんと閉じているかどうかを詳細に確認する。血管のぼこぼこは治療後、徐々になくなっていくことが期待できるため、その経過も確認する。さらに3ヵ月後に最終チェックを行う。こぶのその後の状態、再発していないかどうか、他の静脈に症状が起きていないかなどを詳細に確認する。何も問題がなければ治療は終了。
自由診療費用の目安
自由診療とは弾性ストッキング(保存療法の場合)/5500円(税込)~