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植月 俊介 理事長、呉家 学 院長の独自取材記事

静波こころの診療所

(大阪市北区/天満駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR大阪環状線天満駅前、地下鉄扇町駅から徒歩3分の「静波(しずなみ)こころの診療所」は、植月俊介(うえつき・しゅんすけ)理事長と呉家学(くれや・まなぶ)院長が診療を行う心療内科クリニック。2人体制なので、セカンドオピニオンや家族で主治医を分けたい場合なども柔軟に対応できるという。日差しが差し込む院内はカフェのような落ち着いた雰囲気で、漆喰の壁は呉家院長が希望、植月理事長がレイアウトやデザインを描き、インテリアを選んだそうだ。同じビルには心理カウンセリング部門を併設。精神科救急でともに働いていたという植月理事長と呉家院長に精神科の医師をめざした理由や2人体制での開業について話を聞いた。
(取材日2017年7月24日)

志を同じくした医師による2人体制で柔軟に対応

この診療所を開業されるまでの経緯を聞かせてください。

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【呉家院長】私が大阪市出身、植月理事長が大阪市内に在住であり、大阪市内で幅広い世代の患者さんを診たいという希望で探したところ、天満にご縁があり開業するに至りました。私は岡山大学医学部を卒業後、複数の病院での勤務を経て、中学校のスクールカウンセラーや児童相談所の嘱託医などを務めていました。その後大阪に戻り、堺市にある阪南病院に勤務しました。
【植月理事長】私は九州出身で、近畿大学医学部に進学して大阪に来ました。一度は九州に戻りましたが、精神科救急に携わりたいと思い、阪南病院に移りました。いつか自分が望む精神科医療を行いたいという気持ちがあり、阪南病院の精神科救急で一緒に働いていた呉家院長に声をかけた次第です。

当初から2人体制での開業を考えていたんですか?

【植月理事長】精神科は患者さんと医師との相性が影響することも多く、患者さんの選択肢は複数あるほうがいいと、2人体制を考えていました。同僚であった呉家院長に声をかけたのですが、実は最初は軽い感覚で「一緒に(開業を)やらない?」と聞いたら、院長からあっさりと「いいよ」と返答がきて驚いたんです(笑)。
【呉家院長】植月理事長から話を聞いているうちに、自分の経験を生かした診療ができるのではと思ったんです。開業後、診療についてやクリニックの運営など、互いに話し合うことで最善の道がわかることも多い。理事長に話すことで、自分の考えが整理され、全体を俯瞰して見えてくるんです。理事長と私の個性もありますが、土台では同じ志ですので、信頼し合えています。

そもそもの開業のきっかけは?

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【植月理事長】精神科救急で長く勤務し経験を積みましたが、当直も多く、慌ただしく時間に追われる日々の中、自分の中でいったん立ち止まって、振り返って考えたくなったんですね。家族とともに過ごす時間も限られていることがつらく感じたことがあり、自分でギアを入れ直し、勢いを持って診察にあたりたいと、開業をめざすことにしました。
【呉家院長】理事長に声をかけられたとき、実は私も気持ちの上で理事長と似たような感覚に陥ってたんです。自分の今後をどうしていこうか、岐路に立っていたような時期でした。今思うと、タイミング的にも縁があったんだなと思います。

日常生活で悩む多くの患者を救いたい

医師の道へ進まれたきっかけを教えてください。

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【植月理事長】小さい頃はやんちゃで家族や親族から心配されましたね。絵や物作りが好きでクリエイティブな仕事に就くつもりが、精神科の医師だった父がうまく背中を見せていたのか、気がつけば医学部に。学生時代はあまり真面目ではなく、卒業さえ危ぶまれたほどでした。研修医時代の宗像水光会総合病院で「医道とは何か」を徹底的に叩き込まれ、医業の素晴らしさを痛感しました。
【呉家院長】祖父が医師の道を志したものの、戦争で断念しており、その話を親から聞かされていました。強い期待を受けて医学部に入学したものの、燃え尽き症候群的な感覚になり……よく遊び、部活もサボりがちで、そこは植月理事長と似ているかも(笑)。卒業試験時に指導してくれた先生が精神科医だったことで影響を受け、精神科に進みました。今思うと本当にいいご縁だったと思います。

精神科救急に進まれたのはなぜでしょうか。

【植月理事長】研修医時代に経験した循環器科では救急対応が多く、まずは目の前で苦しむ患者さんを一刻も早く救うことに専念する「職人気質」に感銘を受けました。一方で、精神科医の父からの影響も大きかったので、精神科救急に進みました。急性期の精神科救急は原因を追求し、治療にあたるまでスピードが要求されます。そんな中でも器質性の精神障害をきっちり迅速に判断できる精神科医になりたかったんです。
【呉家院長】医師として経歴が浅い段階で、1人で約40人の患者さんを担当し、幅広い症例に対応する立場になりました。週に1度は大学で指導を受け、勉強をしながらの勤務で大変でしたが、患者さんに成長させてもらいましたし、チーム医療の大切さ痛感しました。そして中学校でのスクールカウンセラーや嘱託医を務めた後、これらの経験を生かせる場所として、未経験の領域だった精神科救急が浮かびました。

開業してみて、勤務医時代と違うところはありますか?

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【植月理事長】救急では急性期や深刻な状態の患者さんばかりを診てきたので、医師から見るとあまり深刻ではなく、気の持ちようである症状でも、患者さんにとっては非常に大きな苦悩であると改めて認識しましたね。また、診察で話を聞いて涙ぐんだことがあり、長く精神科の医師をやってきて経験も積んだ自分が、患者さんの話に泣くなんてと自分自身でも驚きました。
【呉家院長】10人に1人はうつ症状を抱えるとも言われ、頭ではわかっていたのですが、実際に開業してこんなにたくさんの人が悩んでいるんだと痛感しました。仕事・学校・家庭と日常生活での問題に悩んで当院に来られますが、投薬しなくても、患者さんの話を聞き、心や頭の中を整理していくだけで快方に向かう方も多い。こういう患者さんを救うことが地域に根差した身近な医療なんだと実感しています。

患者の時間を有効に使うため、診察は常に「闘い」

診療にあたり心がけていることを教えてください。

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【植月理事長】少しでも多くの患者さんを診察時間内に診ることを心がけています。患者さんはつらい思いを抱えて診察を受けに来ていますので、患者さんの時間をいかに有効に使うか、診察は常に「闘い」であり、「試合」だと考えています。診察の中で集中して話を聞き、できるだけ素早く理解し、問題はどこか、苦しみの理由は何かを判断し、解決策を見出します。患者さんが少しでも楽になり「ここに来てお土産をもらった」と思ってもらえるとうれしいです。
【呉家院長】患者さんが前回に話したことは、カルテに残らない部分も頭に入れておき、診察時間の有効活用を第一に考え、前回の診察からの振り返る時間にしたいんです。頭や心の整理をつける方法は、通院が終わった後も有効活用してもらえると考えています。どんな悩みでも、相談することで、一度立ち止まって考えることができますので、気軽に相談しに来てもらいたいです。

院内に心理カウンセリング部門を併設されています。

【呉家院長】どんな症状でも、一度話を聞くだけでも予防になります。何かあれば、ここに相談しに来ればいいという場所が存在するだけでも意義があると感じています。私たちは脳科学をもとに診療にあたりますが、精神科の診察はハードルが高いと感じている患者さんも多い。そこに至るまでの状態で、まずは相談してほしいという思いから心理カウンセリング部門を併設しました。臨床心理士が勤務し、カウンセリングなどを行っています。主にお子さんの発達障害や、職場でのストレスマネジメントなど診断の要望が多いので、相談してもらえる場所になればと思います。

今後の展望をお聞かせください。

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【植月理事長】ここに来るまでに悩んでいる患者さんも本当に多くいると思いますので、心理カウンセリング部門をもっと身近な存在にしたい。その入り口として、イベントなどを増やしたいと考えています。現在は不定期ですが、空手などのイベントを実施しています。お子さんの患者さんが多く、親御さんなど家族一緒に体を動かすことで心身ともに健康をめざしてもらいたいと始めました。今後は、集団精神療法や呼吸法などリラクゼーションを含めて活動を発展させ、データを蓄積して治療に役立てることも考えています。「人生をカラフルに」という気持ちで、患者さんの心身の健康のために人生を彩れるように考えていきたいです。

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