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尹 玲花 院長の独自取材記事

mammaria tsukiji

(中央区/築地駅)

最終更新日:2019/08/28

183425 mammaria tsukiji

2017年4月、築地に開業した「mammaria tsukiji」。院長の尹玲花(いん・れいか)先生は、クリニック名の由来について「mammariaは、乳房を意味するmammoと、女性を象徴するmariaを合わせた言葉です。ロゴマークはクリニックのM・M・Rをティアラの形にデザインしたもの。以前勤めていた聖路加国際病院の先輩が考えてくれました」と話す。尹先生は、聖路加国際病院のブレストセンターで、乳腺外科の経験を積んできた医師。さまざまな悩みを持つ女性に「寄り添う」ことをキーワードに、乳房検査や乳がんの術後フォローに至るまで、徹底した診療を行っている。明るい笑顔が魅力の尹先生に、医師になったきっかけから乳がん検診の実情まで詳しく話を聞いた。
(取材日2017年6月1日)

乳腺専門の医師として患者に寄り添う診療がモットー

先生が外科医師をめざしたきっかけは何だったのですか?

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私がまだ中学生だった1995年に、阪神・淡路大震災を体験したことです。多くの人が亡くなる場面に遭遇して、私も母を亡くしました。その時に「生命を救う仕事をしたい」と思ったのが、医師をめざすようになったきっかけです。医学部に進学した当初は精神科領域に興味があったのですが、実習に出て興味を持ったのは外科でした。外科は手術をして診療もして……という体育会系の雰囲気があり、私の性格に合っていると思ったのです。外科はがんを扱うことが多く、人の生死に関わる診療科。私が医師を志した理由とも合致するので外科の道に進みました。

外科の中でも、乳腺外科を専門とした理由は?

緊急手術があったり、手術時間が長かったりと、外科は女性が一生続けていくには厳しい部分があります。そのため、女性の外科医師であるメリットを生かせる分野を専門にしたいと考えていました。私が医学生だった頃はまだ乳腺外科がなくて、外科という広い枠組みの中で乳腺の病気も診察するのが普通という時代。でも、当時から乳がんの患者さんが増えていたし、海外の状況からも、日本でも乳がんに特化した医療が必要になることはわかっていました。それなら私が女性の外科医として携われたらと思い、乳腺を専門とする外科医師になる道を選んだのです。研修を終えると聖路加国際病院ブレストセンターで10年ほど経験を積み、2017年4月に同院のパートナーズクリニックとして開業するに至りました。

乳がん検診では、マンモグラフィと超音波検査、どう組み合わせるのですか?

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検診では、視触診とマンモグラフィ、超音波検査を行います。ただし、すべての人に対して、これらの検査をすべて実施するわけではありません。マンモグラフィは優れた検査ですが、それだけで万人の検査をまかなえるとは言い切れないからです。20~30歳代の若い人は乳腺の濃度が高い場合が多く、マンモグラフィでは異常が見つかりにくいものです。若ければ放射線被曝の感受性が高くもありますので、超音波検査だけを勧めたり、マンモグラフィを受けるにしても毎年ではなく、間を空けるようにお話しします。マンモグラフィは40~50歳代でも多少の被曝はありますが、がんが見つかりやすい年齢であることを考えれば、早期発見することの方が優先されます。そのため、中高年以上の女性にはいずれの検査も行うことが多いですね。

乳がん検診の受診率向上を願い、早期発見に努める

芸能人の乳がん告白など、メディアで乳がんが話題になることがあります。検診を受ける人は増えていますか?

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確かに、メディアで乳がんが取り上げられることもあって、皆さんの意識は高まっていると感じます。年1回の健康診断に乳がん検査のオプションを付ける人はかなり増えたのではないでしょうか。そこで要検査と言われて受診する人も多いですが、半年か1年は経過観察でも良い状況なのにすぐ受診するなど、必要以上に心配して駆け込む人もいます。でも、検診を受ける機会がないまま、初めて症状に気づいて来院する人がいることも事実です。自覚症状とは、しこりや痛み、乳頭からの分泌物に血液が混じるなどです。早期発見のためには定期的に検診を受け、変わったことがあれば早めの受診をお勧めします。

乳がんの術後フォローアップとは、具体的に何をするのですか?

乳がん手術後は、再発予防のホルモン治療や定期検診などのフォローが必要です。でも、フォローは10年にも及び、大規模病院に定期的に通うのはお互いにストレスがかかります。病院では年々患者が増えるため、外来で対応するのが困難になります。患者さんも、薬をもらうために何時間も待つのはつらいものです。そこでフォローが必要な患者さんを受け入れるのが当院のようなクリニック。病院側が安心して任せることができ、患者さんにとっては利便性が高く通いやすいクリニックにしたいと思っています。当院でのフォロー中に何か起これば、迅速に病院と連携することもできます。聖路加国際病院からの受け入れについては予約が取りやすいですし、逆に手術が必要な患者さんを聖路加国際病院へ紹介する場合は、検査や手術の日程まで当院で調整できるので喜ばれています。現在も週1回は聖路加国際病院で診療しているので、手術の際は私が執刀することもあります。

乳房切除術の後に再建する人も増えていると聞きました。

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少し前までは温存を希望する人が多かったのですが、2013年にアメリカの女優さんが遺伝子検査で乳がんリスクが高かったことを理由に乳房を切除した頃から、温存を希望する人は少し減った感があります。その同じ年にインプラント(人工乳房)による乳房再建術が保険適用になったこともあって、現在は手術後の選択肢がかなり増えました。温存するかどうかは一長一短で、無理して温存しなくてもいいし、無理に全摘もしなくてもいいものです。メリット・デメリットを説明した上で、最終的には患者さんに決めて頂くようにしています。私は聖路加国際病院の事情しかわかりませんが、乳房の全摘が必要な人の約7割は、手術と同時に乳房再建を行う方法を選択しているように思います。

大規模病院との連携を強化し、術後フォローを徹底する

働く女性が増える一方、乳がん治療との両立に悩む人もいます。働く女性の治療についてどうお考えですか?

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比較的短期間の治療で済むケースもあれば、抗がん剤やさまざまな治療が長くかかることもあり、多岐にわたります。それをすべて一括りにして、乳がんの手術を受けるというだけで職場で降格されてしまうような事例を耳にすることがあります。我々の情報発信が不足しているのか、あるいは社会の理解がまだ不足しているのかもしれません。治療に1年あるいは1年半の期間を要したとしても、復職できるくらい元気になる人はたくさんいます。その間に会社に待ってもらうとか、何かしらの方法はあるはず。そのあたりの課題はたくさん残っていますね。

開業して忙しい日々だと思いますが、健康づくりやリフレッシュの秘訣は?

勤務医時代に出産したのですが、産後2ヵ月で復職してから開業までの間は大変な時期でした。しかも、産後に体重が増加してしまって。人間ドックを受けると、血糖値が出産前よりかなり悪くなっていました。内科を受診して食事内容を見直し、ダイエットに取り組み、現在も改善に努めています。元気でいるためには、体を長持ちさせるケア、そして心がけが大切です。まずは食べることをおろそかにしないよう、しっかり頑張っているところです。今だけでなく、一生気を抜かないようにしたいと思っています。週末は夫婦で、昔から好きな観劇に出かけることもあります。健康管理だけでなく、リフレッシュも大切にしたいですね。

5年後、10年後にこんなクリニックにしたいという、ビジョンがあればお聞かせください。

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乳がんの手術後は、ホルモン治療の影響で婦人科系のトラブルが起きることがあります。今は単科の乳腺外科として診療していますが、ゆくゆくは婦人科や内科などを併設して、女性の悩みに総合的に応えるクリニックにしていけたらと思っています。女性は更年期に入る頃にさまざまなトラブルが起きます。更年期症状だけでなく、脂肪の代謝が変わって脂肪肝や脂質異常症になったり、内科的なサポートを要する場面もたくさんあります。ワンストップで対応する体制が実現すれば、患者さんにも便利になるのではないでしょうか。また、聖路加国際病院に限らず、治療後のフォローが必要な患者さんは広く受け入れていくつもりです。今後も大規模病院との連携を密にしていくので、安心して来院してほしいですね。

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