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檜垣 博嗣 院長の独自取材記事

みなみ野こどもクリニック

(八王子市/八王子みなみ野駅)

最終更新日:2023/08/21

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック main

八王子みなみ野駅近くの医療モールにある「みなみ野こどもクリニック」は、小児科全般に対応。日本小児科学会小児科専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医の檜垣博嗣院長は、大学病院や地域の基幹病院の小児科での臨床、および基礎研究で得た経験を生かし、アレルギー疾患の外来診療の時間も設けている。院長は優しい笑顔で「子どもが好きで小児科を選びました。当院を開いたのは、地域の中で保護者の皆さんとお子さんの成長を見守っていきたかったからです」と話す。4児の父でもある院長に、病気の子どもと保護者への思い、併設する病児保育室の役割などを詳しく聞いた。

(取材日2023年4月19日)

なるべく子どもに直接語りかける診療スタイル

診療時の心がけを教えてください。

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック1

患者さんはお子さん自身ですから、なるべく本人にも声をかけて話を聞くよう心がけています。小さくて話ができなかったり、泣いて病状をうまく伝えられなかったりすることも多いのですが、それでも「あなたを診ていますよ」という気持ちが伝われば、と。より詳細な情報は同行された保護者に伺って、さまざまな病気の可能性を検討していきます。特に赤ちゃんの場合は、熱が出ると心配して連れて来られますから、保護者に病状をしっかり説明して、必要に応じて検査も行い、不安を軽減してお戻りいただけるようにと考えています。また、当院は八王子市の委託を受けて病児保育室「む~みんルーム」を併設し、保護者の皆さまが安心して子育てができる地域づくりに尽力しています。

ご専門のアレルギー分野ではどんな病気を診ていますか?

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じんましんなどアレルギー疾患全般に対応します。食物アレルギーは医療の対象となる疾患であるとの認知度が高まったせいか、受診される方が増加傾向にあります。一方、気管支喘息については吸入ステロイド薬や抗ロイコトリエン薬、気管支を拡張する薬などが普及し、入院が必要な重症例などは減ったように思います。花粉症は、最近では1〜2歳でも発症を疑うような症状のお子さん、3〜4歳くらいでスギ花粉の特異的IgE抗体が上がっているお子さんもいて、患者さんの低年齢化と増加が進んでいるようです。体質にもよりますが、小さな頃にアレルギー疾患になると、年齢を重ねるごとに次々と違うアレルギー疾患を発症する「アレルギーマーチ」になる可能性もあります。幼少期にかかったアレルギー疾患にしっかり対処することが大切です。

アレルギー治療では何を重視されていますか?

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック2

食物アレルギーでは、血液検査と食物負荷試験を用いて現在の状態を確認し、アレルゲンとなる食物を必要最低限の量のみ除去 するように指導しています。特定の食物を長年除去していると、栄養が偏って成長に悪影響が出るとも考えられるため、少しでも除去が解除できるようサポートしたいですね。このほかダニとスギ花粉の舌下免疫療法にも注力しています。ダニやスギ花粉のアレルギーは、従来、抗アレルギー薬による対症療法が主流でしたが、舌下免疫療法は3年間毎日薬を飲む必要がある一方、場合によっては根治も期待できます。対象年齢は以前は12歳以上でしたが、現在は5歳以上くらいが目安となり、より多くのお子さんが受けられるようになりました。スギ花粉アレルギーと思われていたお子さんも、通年性ならば何種かの花粉にアレルギーがある場合 、ダニアレルギーの場合もあるので、医師の適切な診断を受けましょう。

子どもの病状に応じた保育を行う病児保育室を併設

クリニック併設の病児保育室について教えてください。

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック3

八王子市から委託を受けて5年ほど前に開設した病児保育室「む〜みんルーム」では、風邪などの病気で集団生活が困難になり、保護者が仕事のほか個々の事情によりご家庭では育児ができない場合に、一時的にお子さんをお預かりしています。当院のスペースに併設されており、必要なときにはすぐ診察できるのも特徴です。施設内には隔離室も設けてあり、発熱のある子を分けて保育できます。病児保育室のスタッフは一定の保育経験を持ち、病児保育についても学んだ保育士で、できる限りお子さんの病状に応じた保育を提供できるよう、私たち医療者と密接に連携しています。

病児保育室とはどのように連携されていますか?

まず、保育室への受け入れ時にお子さんを診察します。病状を詳しく知るため、お持ちになられた「診療情報提供書・病児病後児連絡票」やお薬手帳で今回の経緯や現在処方されているお薬などをチェックし、同行された保護者にも話を伺います。保育士も持参された昼食やおやつ、寝る時の癖や好きなキャラクターなどを保護者に尋ね、受け入れ後はお子さんの検温を行うなど、お子さんとの信頼関係を育むよう努めています。その後も私や看護師が定期的に保育室を訪ねてお子さんの状況を確認し、必要なお薬を飲ませたり、鼻水の吸引を行ったりしますし、保育士から「少し咳が増えたようです」「熱が高くなってきました」など病状の変化の連絡がこちら側に入るなど、連携は本当にこまやかです。昼食やおやつも病状に応じて、咳が続くお子さんには少しずつゆっくり口に運ぶようにするなど、一人ひとりに合った保育を心がけています。

病児保育室の利用に注意点はありますか?

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック4

利用日の前の営業日までの予約制を原則に、当施設では当日でも空きがあれば受け入れています。ご利用の際は、医療機関からの「診療情報提供書・病児病後児保育連絡票」は必ずご持参ください。記入は、近隣のクリニックの先生にしていただく場合もあれば、当院で診察後に行う場合もあります。COVID-19に関しては2023年5月8日から感染症法上の5類に移行しましたが、現在のところは受け入れ不可です。そのため事前に陰性を確認する抗原検査を、自宅か医療機関で受けていただきます。前日に予約したものの、当日朝には体調が回復して通常の保育園に行くことができた場合、キャンセル連絡をいただくようにお願いしています。

子どもや保護者の一番身近なかかりつけ医に

医師をめざしたきっかけなどをお聞かせください。

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック5

高校の同級生に医学部をめざす友人が多かったことや、私が中学1年生の頃に家族が病気になり、高校3年生の時に亡くなったことなどがきっかけでした。家族が闘病する間に素晴らしい主治医にも巡り合い、医学の道に進みたいという気持ちがより強まりました。小児科を選んだのは、子どもが好きなのはもちろん、内科のように消化器や呼吸器、循環器など臓器ごとに細分化されるのではなく、子どもの全身をゼネラルに診られるからです。ベビー時代に診察したお子さんがどんどん成長していく過程が見られるのも魅力だと感じます。今診ているお子さんが親になり、そのお子さんを診察する機会にも巡り合いたいですね。

お子さんや保護者への対応でどんな点に留意されていますか?

特別なことはしていないのですが、特に初診の場合は話しやすい雰囲気づくりを心がけています。お子さんに今の病状を尋ね、保護者には例えばアレルギー疾患なら、いつからどんな症状が始まったのか、どんなときに症状が起きるのかなどを具体的に伺っていきます。子育て経験のあるスタッフも多いため、お子さんを連れて来られた保護者の気持ちや立場をよくわかってくれていますね。お待たせしている時間に、お子さんや保護者に優しく声かけしながら、問診をしたり、これから行う検査や予防接種の説明をしたり、それぞれ工夫して対応してくれています。講師を招いて接遇セミナーを開いたこともありますし、各自の持ち合わせている個性と長所を生かし、セミナーなどの機会を通してさらに対応力を磨いてほしいと考えています。

今後の展望についてお聞かせください。

檜垣博嗣院長 みなみ野こどもクリニック6

フィンランドのある作家が書いた物語は理想郷ですね。美しい自然に囲まれた、のどかで平和な場所の物語ですが、主人公の一家は、外からやってくるどんなに変わったお客さまでも歓迎するんです。同じようなスタンスで、子どもたちや保護者に親しまれ、気軽に相談ができるクリニックにしたいですね。専門分野であるアレルギー疾患では、保育園や幼稚園、小学校や保健所などとも連携を取りながら、多様化する食物アレルギーの相談にも乗りたいと思っています。予防接種についても、スケジュールの相談に乗ったり、メリットや副反応をわかりやすく説明したりしています。私にも4人の子がいますから、心配が尽きない保護者の気持ちに寄り添いながらアドバイスができればと思っています。

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