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横山 章光 院長の独自取材記事

あいわクリニック

(世田谷区/駒沢大学駅)

最終更新日:2019/08/28

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駒沢大学駅から徒歩4分、国道246号線沿いにある「あいわクリニック」は、2017年4月に開院したメンタルクリニックだ。院長の横山章光先生は、これまで25年にわたって精神科一筋で診療を行ってきたベテランドクター。経験豊富なだけに、「いろいろなケースがありますが、とにかくどんな方がいらしても診るというのが私の方針」と、どんな患者もまずは受け止めると言い切る。同院の特徴は、横山院長が1994年から取り組んできたアニマルセラピーをはじめとする人間動物関係学分野での治療。ただ、この特色を専売特許にはしたくないと、横山院長は訴える。その真意とは? そして人間動物関係学とは何か。開院のきっかけから診療スタンスまで、さまざまな話を聞いた。
(取材日2017年5月1日)

ペットロスにも対応してくれるメンタルクリニック

こちらはどういうクリニックなのでしょう?

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開院してまだ1ヵ月ですが、誰でも気軽に訪れていただける、至って普通の心療内科・精神科クリニックをめざしているところです。ベースは普通のクリニックですが、そこにプラスして、私が長年勉強してきた人間と動物との関係についての悩みなども解決していけたらと考えています。ペットは今や、人間にとって非常に大きな存在になりました。私は、動物も含めて1つの家族としてご家庭を捉えていきたいんです。例えば、ペットを亡くされて動揺されている方、多頭飼育で困っている方、動物恐怖症や動物虐待。あとは動物介在教育など、人間と動物との関係の良いところも悩みも含め、すべて診ていきたいですね。

開院にあたって設備面でこだわった部分はありますか?

全体として、落ち着いた色合いでシンプルな内装にしました。患者さんのタイプによっては、いろいろ置いてあると落ち着かない、気になって話に集中できないという方もいますから、必要最小限のものしか置いていません。診療室は、プライバシー保護のため防音仕様になっています。扉も分厚いものに換えました。開院にあたって、特に私がこだわったのは診療室のデスクです。喫茶店のカウンターのようなデザインで、1対1の診察ではカウンターの角と角で患者さんと向かい合います。この、角と角が一番リラックスして話せると私自身が思えるスタイルなんです。また、カウンターの中にも座れる形にしていますが、これは、カウンターの周りに、例えば複数のペットロスの患者さんに座っていただき、カウンター内で私が対応する集団精神療法もできるようにと想定したためです。

どういうきっかけで開院されたのですか?

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いろいろありますが、ひとことで言えば偶然です。1つには、ちょうど大学を辞めようと思っていたタイミングだったということがあります。長年研究してきた、人間と動物との関係について一通り学び、全体像が見えたなという達成感があり、気持ちに区切りがついた頃だったんです。それで次にどうするか考えていたとき、学会でたまたまお会いした先輩に「そろそろ開業したらどうか」と言われました。当時の私の頭からは、開院という選択肢がまったく抜け落ちていて、その手もあるかと気づかされたことが大きなきっかけと言えばきっかけでしょう。さらに、その先輩のクリニックオープンを手伝っていた税理士の方が全面的にサポートしてくれるというので、事務仕事が全然できない私でもできそうだと思えたことで踏み切りました。

患者にとって合理的な治療法かを常に考える

どんな患者さんが多いのですか?

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まだ開院から間もないですから、今のところは、これまで勤務した病院でお付き合いしてきた患者さんが多いです。年齢的には若者から高齢者まで幅広い方がいらっしゃいます。訴える症状は、不安や不眠、なんだかうまくいかないとか気分が落ち込むなどさまざま。これは「どんな方がいらしても診る」というのが当院の方針も影響しているのかもしれません。アスペルガー症候群や成人期ADHDなどの発達障害の方もよくいらっしゃいます。最近は、うつ病などを疑って来院し、話をよく聞いてみると成人期ADHDだったなど、発達障害が絡んでいるケースが非常に多いですね。成人期ADHDの方は、だいたい大学や高校を卒業して社会に出たタイミングで受診されます。学生時代は、学力など何か得意なことで周囲とうまくやっていけたものの、社会に出ると協調性をはじめいろいろな能力が要求され、うまくいかないと悩むようになるためです。

先生の診療スタンスをお聞かせいただけますか?

治療への答えは、患者さんの中にある程度のものがあるという考えに立って診療しています。つまり、行動療法的に患者さんの外側にある答えに向かって導くようなやり方ではなく、患者さんと一緒に答えを探し、こんがらがっているものを解きほぐすというやり方です。ただ、必ずしも解きほぐしたら治療が終了するわけではありません。答えを見つけると生活スタイルが変わり、そこでまたいろいろストレスが出てくることが多いからです。新しい生活に慣れ、患者さん自身の足でしっかり立てるようになり、私が不要になったときが本当の終了なのだと思います。それから、私は合理主義者で、最短距離での治療を常にめざしています。ただし、単純に通院回数を減らすということではありません。回数を増やせば短期間に改善するならそうしますし、入院が必要なら入院を勧めます。要するに、いかに少ないエネルギーで治すかを考えるということです。

前職では人間動物関係学を教えていらっしゃったと聞きました。

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帝京科学大学で12年間、教えてきました。人間と動物の関係について興味を持ったのは、大学卒業から4年後の勤務医時代。ある看護師の勧めでアニマルセラピーに関わったのがきっかけです。そこからさらに学びたいと思ったものの、日本では当時、人間動物関係学の教科書などなく、教えてもらえそうな専門家もいませんでした。ですから、関連する文献をブルドーザーのように根こそぎあさり、学会に所属してさまざまな人と対話し、自力で学んだんです。前職の時代は、ちょっと知り合いができたらとにかく会いに行くという感じで、毎年どこかの国に足を運んではすべて見てくるようなことをやっていました。

独自の治療を専売特許にせず全国に広めていきたい

診療の際に心がけていることをお聞かせください。

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100%の気持ちで患者さんの話が聞けるようコンディションを整えておくということです。そのためにも、例えば診療の前日は絶対にお酒を飲みません。この仕事では、患者さんに気を使わせたら終わりですからね。患者さんが自分のことについて100%ものが言えるように、同じ顔をして同じ格好をしている私がいつもこの場所に同じように座っているよう心がけています。

プライベートはどのように過ごされていますか?

学生時代から変わりませんが、映画を観たり本を読んだり、ものを書いたりですね。精神科の医師になったのも、活字中毒が高じて人の心に興味を持ったのがきっかけです。これまでの著書や翻訳してきたものは、アニマルセラピーに関連したことが中心。今の日本でこれだけペットが大きな存在になったのに、ペットを亡くした飼い主さんの話を聞いてあげられるクリニックは決して多くはありません。この半年は開院するための作業に忙殺されてなかなかできませんでしたが、当院でやっている動物関連の治療を、専売特許にするのではなく、日本全国どこでも受けられるようになることをめざして、今後も執筆活動に取り組んでいきたいと思っています。

最後に読者に、メッセージをお願いします。

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今は若者を中心に、悩まなくなってきた時代。ちょっと悩んだらインターネットで尋ねたり調べたりして、それで解決した気になってしまいます。でも、悩むというのは非常に人間的で崇高な行為であり、悩みは人間にとって大事なもの。その悩みで少しでも生活に支障が起きている、例えば、学校をよく休んでしまうとか、仕事でどうも上司に怒られる、何となくやる気が出ないなど、ちょっとしたことであっても、1回でいいので近くのクリニックを受診してみていただければ、その後の生活が楽になるかもしれません。また、自分の悩みは本当に悩むべきものなのか、そもそも心の問題なのか、身体的な問題や発達障害の可能性はないか、そういったことを確認するためにも、ぜひクリニックを活用してみてください。本来、心療内科・精神科はそうやって気軽に利用するものだと思います。

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